第26回 デュークショップ松山さん

 全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第26回は、愛媛県松山市のデュークショップ松山(さん、以下敬称略。)をご紹介します。
(ブログはhttp://blog.goo.ne.jp/matuyamashop/


大街道沿いから店内を覗くとこんな感じです。とても綺麗なLIVEハウスとガラス張りの入口が、CDショップというよりセレクトショップみたいでステキです♪


お店正面の最も良い場所で、The Mirrazのシングルや女王蜂のミニアルバム(共に9月発売)を大推薦!THE BAWDIESのシングルも展開されているので決して2か月前の写真ではありません。

 数年ぶりに松山市に来て思ったのは、以前に比べ女子グループの旅行客が増えたこと。確かに、街を挙げて「坂の上の雲」のイベントがあったり、道後温泉での足湯巡りのパンフレットが配られていたり、歴史や癒しを求める女子には絶好の観光地と言えましょう。確かに、繁華街を歩いていても、ほとんどゴミが落ちておらず、これも女子に人気の一因だな~と納得。

 しかし、音楽面は決しておとなしい訳ではありません!今回ご紹介するデュークは街一番の繁華街、大街道沿いにあって、外観はオシャレなセレクトショップ風ですが、中に入ると、メインの場所にいきなり轟音系のロックが猛プッシュされていて度肝を抜かれます。

 そして、その後ろにはパンクロックの棚と、ビジュアル系ロックの棚が背中合わせに中央を陣取るというなんとも飛び抜けたセンスのお店!デュークといえば、四国全土のライヴの多くを手がけるイベンターさんでもあるし、こうやってライヴ・アーティストを応援するのも当然と言えば当然なんですが、それでも数か月前の作品を継続的にプッシュするというのは、相当の覚悟があると思います。「こりゃ本気だわ!!」と感心することしきりです。福山雅治のPOPだって、昨年の11月発売のベスト盤ですが、店長の久保さんによると、長年のファンというお客さんが多いとのこと。リリースがある度に大きく展開していて、7月にLIVEがあった時も、福山雅治本人が突然来店してサインをしていったこともあり、継続中なのです。やっぱり地方都市で、特定のアーティストを飛びぬけて応援することって重要なんですね。何より、アーティストご本人も嬉しいですし、現場を見たくなる気持ちも分かります。

  

ビジュアル系ロックって、もはや“単なる分かりやすい入口”に過ぎず、音楽的には無限に広がりつつあるので、こうやって丁寧に解説してくれるリアルショップって本当に有難いです。


こちら四国のインディーズ・コーナー。RODEO FIXERに使われているキャッチコピー“心臓直行”にズドーン!と来ました。


こちらは福山雅治コーナー。そりゃあ大スターご本人のサインもあれば、お客様の参拝場所になるし、1年間も展開しますって。

 お店の正面ではロック全開をアピールする一方で、右の側面には売れ筋のJ-POP、アイドルグループ、左の側面にはK-POP、洋楽なども展開され、奥のレジ付近にはソフトなクラシックやジャズ、演歌やキッズなど比較的ファミリーからエルダー向けの作品も並んでいます。この場所にあれば、店員さんもすぐに対応できるし、お客さんも店員に尋ねやすいし丁度いいなぁと思いました。でも、平積みの棚でも、邦楽・洋楽の試聴機でも、そのセレクトやレコメンド文に音楽への情熱が漲っていて、オールジャンル一通り揃えつつ、イチオシを明確にするって大事だなと思いました。私が来店した時も、エレクトロ系のMADEMOISELLE YULIAが猛プッシュされていて、やっぱりこの変化球っぷりって絶対に信頼されているなぁと確信しました。


ソナーポケットも斉藤和義もSHINeeも長渕剛も同居している邦楽新譜総合コーナー。しかし、通常のCDシェアと比べると、アイドル系が随分少ない。まさに“音”で判断した総合コーナー!


こちら邦楽試聴コーナー。都会ギャル代表のカエラちゃんと、カーユーザー御用達のNERDHEADが仲良く同じ試聴機に。こういうのを見ると嬉しくなります。


こちらもオールジャンルで洋楽を網羅。ちなみに、となりの試聴機では、かなり早期から『たけしとジャズ』を展開。こういう目利きもデュークならではなので尊敬します。

 ここで、最新のシングル・チャートを見てみましょう。

デュークショップ松山 シングルTOP10(2011/10/17~10/23)
順位 作品名 アーティスト名
1 ゼロ BUMP OF CHICKEN
2 red rocket ship THE BAWDIES
3 365日のラブストーリー ソナーポケット
4 シャングリラ Acid Black Cherry
5 Your Best Friend 倉木麻衣
6 Rosario-ロザリオ- Sadie
7 X X X L’Arc~en~Ciel
8 ウインターマジック KARA
9 愛をくらえ Superfly
10 恋のプリズン ひめキュンフルーツ缶

 全国チャートではNMB48が27万枚の売上げに対し、BUMP OF CHICKENが16万枚とNMB48が圧勝なんですが、ここではBUMPの圧勝で、NMB48はTOP10圏外と真逆の結果・・・というか、こういうお店の方が多いです。局所的に何十万枚も売れるよりも、全国で万遍なく売れる作品の方が本当のヒット作って感じがしますよね(決して、アイドルを蔑視している訳ではありません)。そして、お店のカラーを象徴しているTHE BAWDIESと、10代・20代に大人気のソナーポケットが一緒に並んでいるのもお見事。これ、ソナーポケットの『ミュージックステーション』出演前ですからね(出演後、全国的に大ヒット)。やっぱり、デュークは早いです!東京より断然早い!6位のビジュアル系Sadieも、本作で急上昇してきましたから、これもきっとブレイク組に来るでしょう。
最後に、オススメ作品をお願いしたところ、スタッフの福島和代さんからコメントいただきました~。

オノマトペ  『せかいのひみつ』

 Superfly、水樹奈々、ジャパハリネット・・・愛媛も大きく羽ばたいたミュージシャン達が結構多いんです。そして、次へ続いて欲しいステキなバンド達もまたまだ居るのが、ここ愛媛です。
ギターロックなこの4人は、その作品やアートワークはもちろん、お洒落かつ柔らかな笑顔の本人達もタダ者じゃない気配。まだ[えひめのひみつ]だけど、[せかいのひみつ]になって欲しい、てか、なるはず!

 うーん、簡潔かつワクワクするコメント。有難うございます!さらに、久保店長からはご当地アイドル、『ひめキュンフルーツ缶』をご紹介いただきました~。


地元アイドルひめキュンフルーツ缶のLIVE映像。こんな間近でミニ・スカート軍団が来たら、青少年たちは鼻血ブー続出では。


別の日のLIVE風景を背面から。ミニ・スカートに季節はありません!  


そして、こちらがコーナー展開。サイン色紙や新聞切り抜きなど、AKB48並みの優遇っぷりに本気を感じます♪

 ひめキュンフルーツ缶は、銀天街を歩いていても、大街道を歩いていても、そこかしこでポスターを見かけたな~と思っていたら、地元のメディアも商店街も専門学校も一丸となって、プロモーションや衣装製作を手掛けているそうです。ロック猛プッシュのお店でありながら、地元のアイドルやアーティストもしっかりサポート。愛あるところに、デュークあり!!またお邪魔させて下さ~い♪

 

つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネットなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic。最近、分析レポートやら、CDショップのサポートやらでTwitterもFacebookもすっかり固まっております(苦笑)。執筆を増やしたせいで、公式サイトなんて3か月に1回の更新頻度に。それでも、ある特定のキーワードだとかなり上位に残っています。今の世の中に逆行した方が、意外と自己アピールできるものって有るのかもしれませんね♪(←といいつつ、更新が止まっている私(汗)。)