第51回 コーチャンフォー釧路店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第51回は、北海道釧路市のコーチャンフォー釧路店さんをご紹介します。

 コーチャンフォーは、北海道で展開されている書籍、文具、CD・DVD・BDのセル、そしてカフェやレストランの複合店チェーンで、 公式サイトを見ていただければ分かるように、郊外にドーンと立っているまるでお城のような超大型店です。超大型店はともすれば規模の大きさに胡坐をかいている雰囲気のお店もあるので、この元気ショップの連載では、そういう所は実際避けてきたのですが、ここ釧路店は、あまりにミラクルに予想外だったので、是非ご紹介したいと思いました。

 コーチャンフォーは道内に6店あって、札幌の3店は業界内でも有名だと思うのです。しかし、この人口20万人足らずの極東の街で、玄関口であるはずの釧路駅は北口が、シャッターの海と化しているのに、そこから3kmほど離れた春採湖のほとりに、夜に見るとまるでそこだけお城のような別世界があるとは誰が想像することでしょう。しかも、同店の統括マネージャー佐藤暁哉さんにお尋ねしたところ、音楽事業は今年で17年連続プラス成長になる見込みとのことで、まさにミラクルな現象だと思います。ちなみに、今年の音楽業界のプラス要因はアイドル・グループの複数買いに起因するところも大きいのですが、こちらは、それに大きく依存している訳でもないので、いっそうミラクルです!


澄みきった夜空に突如現れるお城!!


音楽コーナーの入り口付近。左手は、新譜コーナーだけど、その週発売のCDが、有無を言わさず(?)大量に面陳されています。


例えば、B’zのコーナーだけで、はいこの通り!こんな感じで、メガヒット・アーティストは常時コーナー展開されています。


マイコーだけで、追悼特集でもないのに、ご覧の通り!


AKBをはじめとするアイドル・コーナー。こうして旧譜も面陳されると、AKBのジャケットは、1作ずつコンセプチュアルに作られていて心ニクイです。


某量販店とはコンセプトが真逆と思われる、広々とした通路。

 音楽コーナーの入り口付近が、まず驚きで、「えぇ?こんなもの(失礼)まで大量に仕入れるの?」と思うほど、ほぼオールジャンルの新譜が平積みされています。そして、その横に、おびただしい数の『GOLDEN☆BEST』シリーズも面陳。そして、その壁面上部に今後のリリース一覧表が十数メートルにわたって大量に印刷されています。とにかく、こちらのお店、どこをどう見ても「大量」なんです!

 上に、B’zやマイケル・ジャクソンのコーナーの写真もありますが、このように発売時期とは無関係に常時この大きさで大量展開されているアーティストが何十組もいるのです。これ、ファンなら嬉しいだろうなぁ~。(ちなみに、私も自分が好きなアーティスト・コーナーを記念に撮影してきました(笑)。)前述の佐藤さんによれば、「うちは、札幌のお店より少なくて、8万枚くらいしかありませんが・・・」と謙遜されましたが、人口18万人の街で8万枚の在庫って、凄すぎだと思います!!


こちらのお店の中で、最もユニークだったのが、演歌コーナーの幅広さ!サブちゃんと北山たけしだけで1区画使っているという贅沢さ!


落語・漫談のコーナーも幅広く、ご高齢の方でもゆっくり楽しめそう。


壁一面のアニメ・コーナー。独特の色彩感は、ファンならニヤニヤするはず。


アンパンマン・シリーズだけで、この凄まじさ!夢に出てきそう。。。ムニャムニャ・・そんなに食べられにゃい(笑)!他にもディズニーも夢に出そうなレベルの怒涛の陳列です。

 しかも、あれもこれも大量にありますが、それに加え釧路は、やっぱりご年輩、とりわけ海の男・海の女が多い街ですから、演歌の高シェアもちゃんと考慮されて、物凄く充実しています!また、アニメイトは同市内のイオン釧路にもあるのですが、“同市内”と言っても10km前後離れているせいか、こちらにもかなりお客さんが多いそうで、壁一面アニメ作品となっています。また、この他、北海道は新人にも敏感なのか「女性シンガーソングライター」ネクストブレイク・コーナーもありこれも面白いなと思いました。とにかく、それぞれのジャンルの“夢の国”が展開されつつも、それが整然としているのがコーチャンフォーなのです。次に、アルバムTOP10をご覧ください。


廉価版のクラジャズCD&DVDコーナーも、このように大半を網羅。


シューズ・メーカー『VANS』のロック・コンピやバンドを特集したコーナー。ちなみに、右上の「91011」という番号は、あまりに広いお店の中に付けられている番地です。


釧路が舞台の映画『僕等がいた』コーナー。他に、地元アーティスト・コーナーも充実。

コーチャンフォー釧路店 アルバムTOP10 (2012/10/22~10/28)
順位 作品名 アーティスト名
1 LEO 家入レオ
2 常夜灯 中島みゆき
3 OPUS ALL TIME BEST 1975-2012 山下達郎
4 レッド テイラー・スウィフト
5 8EST 関ジャニ∞
6 ALL SINGLES BEST 2 コブクロ
7 Breakfast Pay money To my Pain
8 イケメンボイスパラダイス5 オムニバス
9 歌ウータン Team Pansy
10 Force Superfly

 これは全道的な傾向ですが、こちらのお店でも中島みゆきが2位と健闘。また、ハード・コア・バンドのPay money to my Painも全国チャートに比べ上位で、さらに8位のニコ動出身の歌い手が集ったオムニバスも上位と、色んなジャンルに強いことが分かります。なお、9位のTeam Pansyは、釧路で活躍するアーティストだそうです。ネットで検索しても出てこない謎のバンド!これは、気になる~!!

最後に、同店の音楽コーナーのリーダー近江貴博さんにオススメ作品のコメントをいただきました。

『アニメ・ミーツ・ジャズ』Kazumi Tateishi

 当店の書籍・文具コーナーで店内演奏を行っているアニメ主題歌のジャズアレンジCDです。懐かしいアニメの主題歌がおしゃれなジャズアレンジで生まれ変わりました。明るいテンポのリズムが心地よく、店内にいらっしゃるお客様からの問い合わせが非常に多いです。この他、当社店舗がイメージする高級感と落ち着いた感じの音楽を定期的に入れ替えて流しており、それぞれお客様に評価を頂いています。


このCDを薦めているお店、ありそうでいて意外と見ないかも。品揃えもありつつ、ユニークさもあってお見事。

 実は、僻目まるだしの私は、コーチャンフォー全店の書籍・文具コーナーで、いつもかかっている“高級感”あふれる音楽に、ポップ・カルチャーの匂いがしないことについて、(心の中で)難癖をつけていたのですが、その音楽はちゃんとお客様のCD購入に結び付いており、しかも、こちら釧路店の音楽コーナーのBGMは、それとは別に状況に応じて、騒がしくない程度にヒット・アーティストの音楽がセレクトされているということを知りまして、ホントに至れり尽くせりの状態に参りました~。一見“静かで穏やか”でも、お客様に向けて作られている各コーナーがあることを現場で確かめて、頭が下がる思いでした。勉強になります!またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
 10/24に発売された秋川雅史の『You Raise Me Up』収録曲の鼻血が出そうなほど濃厚なカバーにうなされ気味な(笑)今日この頃。「瑠璃色の地球」は、松田聖子版とは似ても似つかぬスケール感で、もはや「真赤なスカーフ」だし、「防人の詩」は夜中に聞いたら凄味のある♪死にまーすかーーの連続で夜中にトイレに行けなくなりそうだし(笑)、極めつけは「天城越え」の♪あまぎーーーーと天空に伸びそうな雄叫びは逆に失禁寸前に追い込まれそう(笑)。最近は、ニコニコ動画でもいじられキャラになりがちな秋川雅史だが、自ら「ネタ???」と疑われそうなほどのカバーを提示してくるあたり、相当な確信犯かも?オススメ♪