第86回 音楽堂サカエチカ店さん(前編)

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第86回は愛知県名古屋市の音楽堂サカエチカ店さん。(@ongakudo_jp。以下、敬称略で呼びます。)今年で創業62年目の老舗です。

昭和の頃より、東京・銀座の山野楽器、大阪・心斎橋のミヤコ、そして名古屋・栄の音楽堂と、三大都市の活気を象徴するレコードショップがありました。このうち、ミヤコは心斎橋店を閉店され郊外のショッピングモールに多数出店し、音楽堂もいくつかの支店をたたまれていますが、ここサカエチカ店は、バリバリの現役です。音楽堂といえば、サラリーマンが大量に行き交う地下街の中心地で、クラシカル・クロスオーバーな作品が大ヒットするというイメージがありましたが、現在はスタッフの方の努力で様々な音楽を提案する店に生まれ変わっています!

67-外観
お店の西側から見た外観。ここも、単なるポスター陳列じゃなく賑やかな感じです。

20-シングル
めまぐるしくヒットが変わるシングルでもすごいコメント量!どぶろっく推しに、スタッフさんの愛を感じます♪

21-ねごと
イチオシにねごとを選出。確かに若い女性スタッフさんが多いから、これは大有りですよね!オススメ曲に加え、収録されたオススメCDがわかるとより買いやすいかも~。

88-用語集
学生時代に音楽誌など読んでいた時に、こんな親切なコメントがあれば、もっと楽しかっただろうな~なんて、思いました。現在はWikipedia等に載っていますが、詳しすぎて、「結局、何?」って思うし、これくらい簡潔なのが最高です!

まず、スタッフの方が若くて一所懸命な人が多いという印象に変わりました。決してかつてのベテランのスタッフがサボっていたというのではありませんが(汗)、コメントカードの色使いや細やかな展開など、若さが垣間見えるほどとっても丁寧なんです。また、上の用語集の解説コーナーなど音楽が好きになり始めた中学生~高校生にも気配りがあり、私が30年前、名古屋に住んでいたならば絶対に通いたいっ、て妄想したら嬉しくなってしまいました。それほど、若い音楽ファンの入口としても理想的なお店です!

23ー新譜
シングルアルバム含め長く売れ続けている作品のコーナー。アルバイト急募!音楽好きな学生さんは、趣味と実益を兼ねて応募してみては?

42-新譜
更なる新譜は過去作品の資料を切り貼りして再利用。これも勉強になります!!

43-ギャラリー
訪店アーティストのポラロイド写真やサイン一覧。その下の、人気のキャラクターボイスを一人(?)ずつ紹介する緻密な気配りにも感服。

84-現代アイドル
ポップスにせよクラシックにせよ音楽重視で置かれている音楽堂ですが、アイドルグループも音楽的に切り込んでいます。まさに“音楽堂”!

さらに、アイドルについても、ビジュアルだけでなく音楽面で解説されているのが、さすが”音楽堂“。学生アルバイトの方たちが学校での話題を参考にこうした特集を作られているそうで、そのプロとしての責任を感じつつ、お客様に親しみやすく工夫されているなんて、惰性で仕事をしながら給料をもらっている中高年に見せてやりたいほど。もうどのコーナーを見ても、頭が下がる想いです!

勿論、決して若者だけじゃなくて、これまで以上にタイトルうろ覚えの中高年(私も含む)にも優しいお店で、それは次のシングルランキングの売れ筋からも分かります。

39-演歌
演歌・歌謡曲でも多数コメントがあって、これも珍しいです。限られたスペース内で、シングルカセット、シングルCD、アルバムと絶妙にチョイスされて並べられています。

44-キッズ
ゲラゲラポー、ディズニー、ジブリ、そして『chazz』と子供に人気の音楽がズラリ。ミッキーとミニーの似顔絵がややズルそうに見えるのは何故?(笑)

47-ワンフレーズ

82-ワンフレーズ
胸に刺さる歌詞のワンフレーズを並べた特集コーナー。これも、音楽を聴いているスタッフならではの展開ですね。

音楽堂サカエチカ店 週間シングルTOP10(2014/6/16~6/22)
順位 作品名 アーティスト名
1 7日目の決意 UVERworld
2 Sunshine/メガV(メガボルト) 遊助
3 眠らない青春 舟木一夫
4 にじいろ 絢香
5 ちょっとイイ女 荒木とよひさ
6 NIPPON 椎名林檎
7 誰も知らない
8 愛鍵/パステルブルー ~コーラスガール~ 秋元順子
9 峠越え/南部のふるさと 福田こうへい
10 リバーサイド・カフェ KANA

1位から順に、男性バンド、男性ポップス、歌謡曲、ガールポップ、演歌、ガールズロック、ジャニーズ・・・と、通常ランキングに比べて演歌・歌謡曲の強さが目立っていますが、その中でも、3位の「眠らない青春」とか5位の「ちょっとイイ女」とか、「もしかして、これはタイトルの響きからロングヒットするのかも・・・」と以前から気になっていたものが、しっかりヒットの芽を出しているというのもお見事。10位のKANAさんも歌謡ポップス系で、ブレイク前のアーティストを売るのもやはりスタッフの方の力量によるものでしょう。そして、その上で、あくまでもオールジャンルをきちんと扱っているというのがポイントだと思います。

前半の最後に、スタッフオススメ作品のコメントをいただきました。

長渕剛 『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷つき打ちのめされても』

1978年リリースのデビュー作「巡恋歌」から、2014年の最新作「走る」まで“東芝EMI ~ フォーライフ ~ ユニバーサルミュージック”所属レーベルの枠を越えた、初のオールタイム・ベストアルバムついにリリ-ス!定番ソングである「順子」「乾杯」「とんぼ」などはもちろん「Myself」「ひざまくら」「コオロギの唄」などなど反骨精神全開ソングから涙腺崩壊確実バラ-ドまで男の生き様を見せつけてくれる全58曲。1988年「とんぼ」が大ヒットした年にこの業界に入りました。それ以来、人間関係に悩まされた時、仕事に行き詰った時、常に彼に励まされてきた自分がいます。孫の代まで伝えたい、そんなアイテムです!!!

45-プレイバック

46-プレイバックPartII
大ヒット商品の大規模展開の下に、中高年狙い撃ちのコーナーも。キャリアは少なめだが、ターゲットがストライクな馬場俊英をベテランと織り交ぜるセンスもナイス!

41-トレンディ
新譜リリースもプッシュされていますが、注目は90年代のドラマ主題歌のCDを横一列に並べた「トレンディドラマ主題歌特集」。この限られたスペースですら、ギャラリーにしてしまうのがお見事!

49-オムニバス
ソニーに大きく偏っているのが気になりますが(ユニバーサルにも『COVER』とか『大切な人と聴きたい15のラブソング』とかロングヒット沢山あります(笑))、コンピレーションも網羅。その下のアニソンのテーマ曲集も素晴らしい。文字小さめですが、若者は問題なし。

お店全体を眺めていると、子供から大人まで(同社の内田英徳社長の言葉を借りると『0才から100才まで』)、それぞれが好むような音楽、更には世代を超えて愛される音楽をあれこれと提案されていて、ああ、音楽のある空間、音楽のある人生っていいな~とあらためて思いました。まだまだ面白い展開があるので、次回も、サカエチカ店をご報告します。引き続きお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、日経トレンディネット、月刊タレントパワーランキングなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
6月18日に発売された中田裕二のカバーアルバム『SONG COMPOSITE』 がオススメです。「シクラメンのかほり」「あの日にかえりたい」「いっそセレナーデ」といった昭和の名曲から、玉置浩二「ロマン」原田知世「シンシア」UA「情熱」森山直太朗「愛し君へ」といった平成の名曲まで幅広くカバー。昭和のは大ヒット曲中心なのに対し、平成のは隠れ名曲が多いので、なんだか2人の選者によって作られたように分散(できれば前半と後半や2枚組みたいに分けた方が良かったでしょうね~。)していますが、どちらもうまいです。特に、リード曲「シルエット・ロマンス」(原曲:大橋純子)は、独特の男の色気が入って、哀愁漂っております。椿屋四重奏時代から、昭和のウェット感を表せる人だと思っていましたが、まさに本領発揮。大人のお店でも受けると思います!

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