第56回 ワンダーグー茂原店さん

 全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第56回は、千葉県茂原市のワンダーグー茂原店(さん、以下敬称略)をご紹介します。

 新星堂との業務提携のニュースにより、近ごろ元気なお店としてますます注目されているワンダーグー。業界内で様々な方に話を伺う時、いわゆる郊外型店舗の元気なイメージを同チェーンから持たれている方も多いように思います。そんなワンダーグーは、北関東のお店と思われがちですが、今や全国チェーンで、こちら南関東外房エリアにもデカいお店があります。茂原と言えば、田舎暮らしが満喫できる老後セカンドライフの楽天地としてよく紹介されていますが、そんな人口10万人弱で田畑も多い穏やかな町にあるチョー元気なお店がこちらの茂原店です。ちなみに、オープンしたのは、CDバブル(笑)もとっくに弾けきった2004年と聞いて、ますます驚きました。


ワンダーグーでは、レンタルよりもセルが元気な感じがしますね。


ワングーと言えば、AK兄さん(と勝手に呼ぶ)の聖地と言っても過言ではありません。


洋楽のヒット・コーナーの導入口として、『DJ KAORI IN MIX』や『ワッツ・アップ!』を大きくフィーチャー。リスナーの洋楽入口を作ることも大切なんだと勉強になります。

 郊外型のお店の中にはレンタルや中古ソフトのオマケのように新品セルコーナーがあって、しかも、大ヒットCDだけちょぼちょぼあるような殺風景な所もありますが、こちら茂原店は、レンタルよりもセルの展開がデカくて、“借りるより買って聞くと楽しいよ!”と呼び込まれているような気分になります。そんな茂原店でよく売れるのは、やっぱりAK-69とDJ KAORI。彼らの凄さを理解するには、ドライブがてら郊外のワンダーグーに行くのが手っ取り早い(笑)。


オムニバスのド派手な展開もワングーさんならでは。しかも、『J-POP PARTY』は、収録されている楽曲のオリジナル・アーティストの写真まで総動員で、ヒット感満載。見せ方って大切。


ユーミンもファンモンも金爆も“ヒット作”として同時展開すれば双方の新規リスナーが増えるかも。

 そして、なんといっても、ドライブ向けのオムニバスの展開が強力!ここから少し南下すれば海岸道路が続くので、ここで買っていく人も多いのでしょうか。しかも、アーティスト写真やキャッチコピーで強力アピールしているので、こりゃあお客様はどんどん引き込まれるや、と思います。しかも、オリジナル・アーティストが歌っていないカバー系のMIX CDですら、オリジナル歌手の豪華な顔ぶれをアピールして、猛烈アタック。この手のCDってネットでは殆ど売れないわけですが、確かにネット信者の方たちは、こういう作戦は逆に引いちゃう人が多そう。でも、リアルショップではこうした超ポジティブなスタンスが有効なようです。人を口説くのにも似ているのかも(笑)。また、アニメ関連作や動画系、さらには同人CDと、いわゆるコアファン中心の作品も、かなり積極的に取り組んでおられます。これらはネットユーザーに強いイメージもありますが、実際に商品のラインナップを見てみると、「ネットに強い作品でも、本当に良いものをセレクトすれば、リアルショップでもヒットが作れる」という意気込みを感じました。次に、アルバムランキングを見てみます。


アニメのコンピレーションも、コミックに強いお店という特長が出まくっています!


初音ミクの展開は、どこのお店も大きく定着していますが、こういう立体的な展開はやっぱワングーさんらしいですね♪


同人CDコーナーもいち早く作られていて、早速店内ヒットに影響している模様。


AKBのPOPが雑然としているのが功を奏し、場から凄いパワーが湧き出ています。

ワンダーグー茂原店 アルバムTOP10 (2012/1/7~1/13)
順位 作品名 アーティスト名
1 THE INDEPENDENT KING AK-69
2 A CLASSICAL 浜崎あゆみ
3 月と星の虚構空間 WhiteFlame
4 MIRACLE 三代目J Soul Brothers
5 V love 25~Exclamation~ オムニバス
6 EXILE BEST HITS -LOVE SIDE / SOUL SIDE EXILE
7 DJ KAORI’S PARTY MIX Ⅳ オムニバス
8 J-POP BEST GENERATION MIX!1991-2000 オムニバス
9 ファンキーモンキーベイビーズ5 FUNKY MONKEY BABYS
10 BIG HITS!-Best Cover Mix!!- オムニバス

 3位の同人バンドWhiteFlameも大健闘していますが、最も注目すべきは、やはりオムニバスの上位タイトル数で、なんとTOP10に4作、しかも8位と10位はカバーMIXです。近年、アイドルとK-POPを拡充するためにオムニバス・コーナーを大幅縮小しているお店も多く、コンピレーションの企画仕事もしている私にとっては寂しい限りですが、でもこうやって場所の良さに胡座をかくのではなく、猛烈アタックして、そして流行を作ってしまうなんてお見事!こちらも元気になれます。お店では、20代後半~30代のお客様が多いので、8位の90年代カバーMIXも売れるんでしょうね。また、こちら演歌・歌謡曲コーナーも同チェーンの中では充実していて、CD担当の荒張さんによると、今後はこの他にクラシックも強化したいとのことです。確かに、他の郊外店に比べ年輩の方が多いし、大賛成です!最後に、同店のオススメ作品を荒張さんからご紹介いただきました。

オムニバス『A GIRL↑↑ mixed by DJ和』

 当店で今、イチオシのCDです!新旧人気曲から隠れた名曲までノンストップで繋げた最強の邦楽MIX CD!来店されるお客様全員に見てもらえるようにモニターも2つ使い、大きく目立つ展開をしています。36曲全てオリジナル音源で2,100円というお手頃価格もおススメ!是非お手に取って聴いてみて下さい!!


褒めて、褒めて、褒めまくる!レーベルを超え写真素材を総動員させてボリューム感も演出!

 出ました!既に60万枚以上のコンピレーション実績を持つDJ和さんの新シリーズ!(ちなみに和さんは、とても気さくで人あたりの良い音楽好きな青年です。)それにしても、まるでPOPから松岡修造が出てきそうな勢いで、この作品も褒めまくっているし、アーティスト写真もあちこちからよりすぐってカラーで掲出されているし、もう手間かけまくり!でも、考えてみれば、こういうことって、その良さを心から理解しなければ到底できないことだし、最高の愛情表現じゃありませんか!! なんだか子育てや部下育てにも勉強になりそうなショップだと強く思いました。やっぱりお店って人ありきだと実感!またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
歳を取ってしまったせいか、ここ数日の真冬日が体に堪える今日この頃(笑)。そんな時は、『新日本プロレスリング旗揚げ40周年記念アルバム NJPWグレイテストミュージック』を聞いて、体を燃やしています(できれば脂肪から燃えてほしいんですが(笑))。BGMにすると、お店がリングと化して熱くなって、さらに音楽に疎かった格闘技ファンも呼び込めるかも!? どちらのお店様でも結構ですので、どうぞ実験してみて下さい♪