第57回 TENDO八文字屋さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第57回は、山形県天童市のTENDO八文字屋(さん、以下敬称略)をご紹介します。

八文字屋は、聞くところによると創業300年以上(!!)だそうで、現在は山形と宮城の二県内にチェーン店を展開、書籍の他にもCD、映像ソフト、ゲーム、トレカとあれこれ併売されています。余談かもしれませんが、山形市や天童市って仙台市とも非常に近く、特に山形-仙台間は高速バスで片道1時間、900円、10分~20分おきに出ているので、宮城県内の他の観光地を周るくらいのイメージで意外と気軽に行けます。(・・・ということを知らずに、私は仙台のお店周りと山形のお店周りを別日程で組んでしまい、割高になってしまいました。)さらに余談ですが、私が05年に初めて訪れた時、山形駅前にあった全国チェーン店の閉店がなんと18時!! 17時45分頃、店内に「蛍の光」が流れた時は「ここは図書館??」と一瞬焦りました。それほど夜中に出歩く人が少ない穏やかな街なのです。(現在は郊外に行けば、22時くらいまでは結構開いています。)


お店全体とランキングコーナー。中央のコーナーには地域で使える商品券「GO!モンテディオ券」のPOPも。10%も多めにチケットがつくそうです!


こちら邦楽コーナー。上段の注目作が、やや古めなのは、ここが旧譜コーナーで、より新作は別コーナーにまとめておいてありますのでご安心を。

そして、こちらTENDO八文字屋は山形駅付近から国道13号線で10数キロ北上した国道沿いにあるお店で、2005年に県内最大規模の書店としてオープンし、CD/映像ソフト売り場も他の複合店より大きいです。しかも、これは八文字屋の特性なのか、はたまた県民性なのか(果樹園も多く東北他県に比べてこじんまりとしたイメージがあります)、お店もピカピカながら、陳列も綺麗に整理整頓されているのが印象的でした。ちなみに、八文字屋は各店にBOOKSアドバイザーがいらっしゃいます。そのキャッチコピーをこちらに拝借させて(笑)いただくならば「CDは文化。出会いと発見に満ちています。そんなステキなCDの世界とあなたを結び、音楽の楽しさを広げる“ミュージックソムリエ”」が、いつか日本にも多数誕生すればいいなと本当に思いますね~。


今や全国的に拡大勢力となっている「大人音楽」コーナー。単にベスト盤だけじゃなく、歌謡曲系の最新オリジナル作も注力されています!


そして、こちらは「大人音楽」洋楽盤といったところでしょうか。それにしても、こちらのお店、ナナメに面陳するのがお好きですね♪


洋楽コーナー。奥ゆかしく(?)遠巻きに写真撮影いただきましたが、実は主要な作品にコメントカードが入っています。

そしてお店の特長としては、大人音楽が邦楽・洋楽・ジャズ・クラシックと全ジャンルで強化されているということでしょうか。ちなみに、仙台の泉中央にある同チェーンの八文字屋書店SELVA店では子連れの主婦層が多い為か、もう少し若いアーティスト中心ですが、いずれにしても、アイドル系がさほど強化されておらず、音楽で勝負しているアーティストものが多いのかなと感じました。次に、アルバムランキングを見てみます。

ジャズ&クラッシックコーナーの上段にはライト向けの作品を面陳、そして下段はコア向けにインデックスを多めにつけて、と細かい工夫ぶり。


こちらもどれ3コーナーが派手で目立っています。このキラキラ感も売れる秘訣なんだろうな~。


隣のおもちゃコーナー。他にも、ジグソーパズル、ナノブロック、食玩など撒き餌(笑)が豊富です。

八文字屋全店 アルバムTOP10 (2013/1/28~2/3)
順位 作品名 アーティスト名
1 REAL 中島美嘉
2 テイク・ミー・ホーム ワン・ダイレクション
3 BLAU 藍井エイル
4 800BEST -simple is the BEST!!- MONGOL800
5 アップ・オール・ナイト ワン・ダイレクション
6 SCUMS NIGHTMARE
7 SID 10th Anniversary BEST シド
8 Signed POP 秦 基博
9 MIRACLE 三代目 J Soul Brothers
10 アンオーソドックス・ジュークボックス ブルーノ・マーズ

TOP10は、どれも全国チャートでヒットしたものなのですが、よくよく見ると発売3週目、4週目なのにTOP10入りしているものが多数。いや、数年前なら当たり前だったのですが、最近は超大物のベスト盤を除いて2週目以降急落する作品が殆どですよね。そんな中で、コツコツと長く売ろうとするスタンスがランキングからも読み取れるようです。これもスタッフの方の努力あってこそですよね。最後に、同店のオススメ作品を商品部の吉田さんからご紹介いただきました。

タダセンパイ 『多田宗晃の世界』

『タダセンパイ』とは。ちょっとコワモテ。でも直接話すとすごくイイ顔をする人。熱い人。

信念を持ち、自分の周りの全てをすごく大事にしている人。音楽にもその人間性が出ており、

「媚びず」「あきらめず」「丁寧に」楽曲は作られています。

決してイマドキの音楽とは言えないけれど(懐かしいとさえ感じてしまうほど)、

決して前へ、前へという音楽ではないけれど、

聴いてみると、心に沁み入ってくる、そんなアルバムです。


やはり、店内のどのコーナーよりも熱いタダセンパイのコーナー。2枚組で2500円!


男子たちが集うトレカのコーナー、販売コーナーも対戦コーナーもやたら綺麗~。これも山形の美意識でしょうか。

どこまでもスマートに並べたお店だな~と思っていたら、こちらタダセンパイのコーナーは、同郷アーティストということで、熱っぽくみっちり応援されています!公式サイトを見ると、確かにコワモテで任侠ものでも弾き語るのかなぁと思いきや、爽やかフォーク系!きっとLIVEでMCを聞いたらまたファンになる人も多いのでしょうね。それにしても、八文字屋は子供が遊びまくって雑然としているトレカのコーナーすら、上の写真のようにとっても綺麗。私などは、ザワザワやゴチャゴチャのCDショップも好きなんですが、確かにこちらのお店は年輩の方も若い女性も多いので、この方がきっと入りやすいし、そういった清潔感ゆえに地域に密着した300年以上の歴史があるのでしょうね、きっと。何かと勉強になりました。またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic。(←最近、私事多忙で休みがち(笑)。)
先日、昨秋に発売されていた臼澤みさきちゃんのデビュー・ミニ・アルバムをあらためて聞いてみて、民謡からJ-POP、英語曲など幅広く歌えることに気づいて驚き。実は先行シングル「故郷~Blue Sky Homeland~」のテーマや、“復興の街からデビューした奇跡の歌声”という触れ込みが、分かるけれど、ちょっと“震災枠”に便乗し過ぎなんじゃないかなと、少し冷めていた部分もあったのです。でも、ちゃんと歌を聞いてみて、確かに14歳でこんな美声でクロスオーバーに歌われちゃうと、将来色々と楽しみだなと実感できました。夏川りみ、平原綾香など幅広い年代に好かれる歌声+アイドルファンにも受けそうなルックスなので、ショップでもプッシュしてみてはいかがでしょうか。