全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第61回は、前回に引き続き東京都品川区武蔵小山駅前にあるペット・サウンズ・レコード(さん、以下敬称略)です。
お店はごく普通の個人ショップの広さなのに、それを感じさせないAORコーナーの展開っぷりに感動!
AKBのコーナーは数枚しかないのに(微笑)、店名の由来でもあるビーチ・ボーイズは大量~!この辺の振り切りも潔いです。
オールディーズも多数。コメントの一つ一つが勉強になります。向かいのミスタードーナツで感化されたら、ペット・サウンズへGO!
前回、コメントカードのあまりの多さに、感激しつつも一つ一つ読むだけで時間がかかってしまったので、今回もこちらのお店に居残っていまぁ~す。それにしても、このコメントカード、どれを読んでもちゃんと音楽を聴いた人の言葉だとすぐに分かります。「大ヒット曲○○やドラマ主題歌○を含む大ヒットアルバム!」とか書いてあると、もうそれだけでそのお店を出て、中古店で安売り探しに行きたくなっちゃうヒネクレ者の私ですが、こちらはその真逆。読めば読むほど音楽の奥深さにハマります!
特に、勉強したくなったのがやっぱり店名由来でもあるビーチ・ボーイズなどのオールディーズ系、そしてソウルやジャズのコーナー。ここから入門すれば永遠の少年(←いえ、悪い意味で)から粋なオトナになれそうな気がします。勿論、私もネットが大好きでCDやダウンロードでも大いに活用していますが、それはあくまでも自分の興味のある所だけを探す場合なんですよね。だから、こうした場所は、自分が門外漢でも素敵な音楽があるというのを教えてくれてとっても有難い。つまり、玉石混交の情報が溢れかえった今だからこそ必要なんじゃないかと思います。次に、今週のランキングを見てみます。これまた個性的~!
1位のナイアガラ30周年記念のインスト盤と、地下のライブハウスで定期的にイベントを行っている伊藤銀次のベスト盤。ナイアガラとの併せ買いでまたヒットしているようです。これもお店のチカラ!!
8位の大橋トリオはデビュー当時からの応援。毎回メーカー許諾の上、特典を制作されています。
こちら10位に1作がランクインしたソウル名盤1000円シリーズ。ワーナー作成のカタログに、山下達郎インタビューが掲載され、ダニー・ハサウェイのアルバムとの出会いについて語っているんだって!!
順位 | 作品名 | アーティスト名 |
---|---|---|
1 | NIAGARA SONG BOOK 30th Edition | Niagara Fall of Sound Orchestral |
2 | レイモンド・スコット・ソングブック | レイモンド・スコット |
3 | ZOOEY | 佐野元春 |
4 | sakanaction | サカナクション |
5 | JUNK SCAPE | ジャンクフジヤマ |
6 | ザ・ネクスト・デイ | デヴィッド・ボウイ |
7 | The Best Story | BOΦWY |
8 | plugged | 大橋トリオ |
9 | ゴールデン・ベスト~40th Anniversary Edition | 伊藤銀次 |
10 | 新しきソウルの光と道 | ダニー・ハサウェイ |
1位は、3月21日のチャートを使いたいとスタッフの森陽馬さんがおっしゃった狙い通りの『NIAGARA SONG BOOK 30th Edition』!お買い上げの方には発売記念オリジナル・リーフレット進呈だそうで、20日と21日は地下で記念イベントを行い、ファンの方で大いに盛り上がったそうです。ゆえに、佐野さんも上位入り。
また、サカナクションと同じくらい売れているのが同じメーカーのジャンクフジヤマ!1位作品との併せ買いも多かったということは、山下達郎激似の声はベテランファンにも受け入れられていてホッとしました。
そして、10位はダニー・ハサウェイの1970年名盤再発!やっぱり、こういうのもランクインするのってお店の愛情と手腕によりますよね~。「店内中央コーナーで展開されているので、ソウル初心者もどうぞ♪」とのことでした。最後に、森さんより同店のオススメ作品をご紹介していただきました。
『レイモンド・スコット・ソングブック』 (LDCD-001 CD2枚組 5,250円)
細野晴臣/デイジーワールド関連作のデザインを手掛けている名グラフィック・デザイナー、岡田崇さんが7年以上もの歳月をかけて監修・制作した素晴らしいBOXセット!
こだわりぬいた装丁と超・超充実のブックレットやオマケなど、真に岡田崇さんの“レイモンド・スコット愛”が詰まった入魂の作品。1930年代から活動していたアメリカ人作曲家/ミュージシャン/孤高の電子楽器発明家、レイモンド・スコットの貴重音源が収録されたディスク1 と、細野晴臣、星野源、徳武弘文、コシミハル他がレイモンド・スコット楽曲をカヴァーした新しい今の音が収録されているディスク2。どちらも聴きものです!
パッケージ・メディアの存亡が危惧されている現況ですが、作り手の情熱が伝わってくるこういう作品を様々な音楽ファンに知ってもらえるよう、CDショップはこれからも存続していかなければ、と実感、そして勇気づけられた至高盤です。
「この1枚!」のPOPといい、「お値打ちもののボックスです」の文字といい、スルーできないほどの名盤オーラが!!
こちら書籍コーナー。レコード・ハンター必携の『レコード・コレクターズ』のバックナンバーがズラリ!
なんと、村上春樹だけで1コーナーを作ってしまう素晴らしさ!ここまで凄いのを見てきたら、こういうのがこちらにあるのも当然と思えてしまいますね。
こちら珍盤コーナーということですが、ゲテモノというよりも変わった音源を集めたオムニバスCDが多くありました。ちなみに、ちあきなおみなど優良歌謡モノも揃っています♪
ゆえに、サントラ盤も珍しい作品中心にセレクトされている気が(微笑)。
あぁ、もう紹介しきれない魅力的なコーナーの数々!!こちらのお店、大手チェーン店のミニ店舗と比べても決して大きくなく、それゆえ在庫も限られると思いますが、その中でどれだけ面白い音楽、素敵な音楽を紹介していくか、しかも懐メロだけじゃなく、新しいものをどう紹介していくか、物凄く綿密に考えられているなぁと感銘を受けました。ネット通販も便利なんですが、どこも注文書のまる写し、あるいは独自の紹介文がある場合でも、それはメーカー担当者に任せっきりでサイトの記入欄に委ねただけ。それってどこに愛があるの??本当に音楽や音楽ファンを育てていこうという気があるの??と検索をする度に、どのサイトも同じ文章ばかりで新発見がなくイライラすることが多々あります。まぁ、だから私も含めネットユーザーは1円でも安いサイトが見つかれば、情け容赦なく浮気して別のサイトで買っちゃうんでしょうけど(笑)。こちらの1枚1枚のコメントカードやその陳列を見て、やっぱりCDショップって、他の消耗品を売るのとは訳が違うなぁ~とあらためて勉強になりました。これからも音楽ファンが増えることを大いに期待しております!!またお邪魔させて下さ~い♪
ワタクシ、男性ソロのジャンクフジヤマも大橋トリオも大好きですが、やっぱり心が勝手にムズムズと蠢くのは女性ボーカリストや女性シンガーソングライターなんです。だから、 『モナレコードのおいしいおんがく』シリーズはよく愛聴しておりまして、中でもシンガーソングライターのゆりえが歌う「ホワイト・リトル・スクエア」の寂しげな雰囲気が好き。今はまだあどけなさが残るけど、今後育っていってほしいなぁ~。女性ソロ、ましてや非アイドル、となるとなかなか世知辛い時代かもしれませんが、「音楽」が残る「音楽市場」を存続する為には絶対に必要だと思うんですよね~。あっ、私はそんな義務感からではなく、単純に好きで聞いているだけですが(笑)。