第63回 スクラム石巻店さん(後編)

 全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第63回は、前回に引き続き宮城県石巻市のスクラム石巻店【Twitter@scrum_isinomaki】さんをご紹介します!今回は、同店の“音楽を売るだけじゃなく、人と音楽をどう繋げるか”の具体例に迫っていきます!

 まずコチラ、下の写真は昨年10月にキネマ旬報社から発売された『「こどもと映画」を考える 13才までに見せたい名作映画50ガイド』と連動した店頭独自の企画で、さらに店長が選んだ映画も集めてDVDを展開したそうです。しかも、「子供に見せたいもの」と掲げつつ、「それは大人たちも観るべき映画でした」とはなんと心ニクイ演出。これならば親御さんだけじゃなく、子供時代を懐かしむ人たちも幅広く楽しめそうですね!また、こちらのお店、「この作品が好きな人はこんな作品が好きかも~」のセレクトも、ベスト盤特集というAmaz○n的切り口じゃなく、アーティストのルーツに迫ったり、映画の内容に沿ったものにしたり、と工夫を凝らしているそうです!!


お店の入口は、モールによくある広いお店という感じですが、一歩踏みこめば、あなたの人生が変わるはず!?


あぁ、私もこんな街に育っていたら、音楽並みに映画にものめりこんだはず。。。


セレクトも幅広いし、1枚ずつのレコメンド文も丁寧。熱がこもっています!

 そして、店内にはCDだけじゃなく、地元のLIVEハウスや地元のイベントの告知にも積極的で、店頭展開も自ずとスゴイことに。それにしても、人口15万人都市とは思えぬほど、超豪華なラインナップ!おそらく、どのミュージシャンも、石巻に来てエネルギーを放ち、そしてエネルギーをもらいたいのでしょうね♪こうしたイベント情報が、ここに来れば文字だけじゃなく、音やビジュアルも含め立体的に知ることが出来るなんて、本当うれしいことですね。しかも、11年に場所を移転した『La Strada』も含め地元ライブハウスの半券を持って店内で買い物をすればポイント10倍!! こうすることで、出演したアーティストをキッカケに他の作品にも興味を持つことができますよね。握手券も思い出作りとして非常に魅力的ですが、そのアーティストだけにつぎ込む金額ばかりがエスカレートするのって、音楽的に広がりがないと思うのですよ。

 次に、同店のアルバムチャートを見ていきます。


近年、全国の各ショップで見られるようになった地元のLIVEやコンサートと連動した店頭展開ですが、こちらは、さらに細かい!年季が入っています!!


地元ライブハウスBLUE RESISTANCEの面々・・・よくよく見たら超豪華!


LIVEの半券でポイント10倍!!!私が中高生なら、LIVE終演後、会場付近を、目を皿のようにして、チケット拾いに行きそうです(笑)。いえ、どちらも潤って欲しいです!


このヒットチャートコーナー、展開はメッチャしっかりしているものの、この写真の撮影には唯一愛情が感じられない(?)ということから、このお店がオススメしたい本当のポイントがにじみ出ています!!

スクラム石巻店 アルバムTOP10 (2013/4/22~4/28)
順位 作品名 アーティスト名
1 ザ・パスト・マスターズ vol.1 ゴールデンボンバー
2 LAST BEST FUNKY MONKEY BABYS
3 Lesson1 E-Girls
4 佐村河内守:交響曲第1番「HIROSHIMA」 大友直人
5 ベスト!ベスト!!ベスト!!!(4) V.A(DJ HIROKI)
6 THE BEST “STORY” BOΦWY
7 5TH DIMENSION ももいろクローバーZ
8 Smile T-SQUARE SUPER BAND
9 Shout to the Walls! NICO Touches the Walls
10 街の14景 the band apart

 1位~4位は、ほぼ全国的な傾向ですが、注目は5位のドライブ系コンピで、これ全国順位は76位です。写真はありませんが、こちらはMIX CDがめっちゃ揃っています。さすが、ハイウェイの起点にある店は気合いが違います(微笑)。ちなみに、10位のthe band apartが強いのは、6/25に地元BLUE RESISTANCEでのLIVEも決まっていて、その連動展開も奏功していそう。それにしても、音楽の匂いがプンプンするラインナップで、CDショップ大賞とも相性が良さそう~。最後に、同店のチーフ杉山沙織さんよりオススメ作品をご紹介していただきました。

カラーボトル 『生きる』

デビュー前から見てきた…聴いてきたカラーボトル。結成10周年経った今でも、何もかわらずに、“魂の歌”を歌い続けている。“生きる”ということを前面に押し出し“生”の詞、“生”の声で、聴く者の深層心理に入り込む。聴いた人はみな、グッとくるものがあるのではないか?もう一度人生を見つめ直し、『これで良いのか?』と自問自答さえしてしまう。聴いただけで生きる力を与えてくれる、被災地・東北の人々の応援歌そのもの。


ハングリーな人ならみんな大好き、カラーボトル!彼らは、ずっとガムシャラです。


こちらが、Twitter発で取引が始まったという盛岡のファンクバンド、Saturday player meeting。


港町のCDショップは、決まって演歌のシェアが多く、ここモール内のお店でも超充実!


最近人気という、華乃家ケイと其の楽団 による「石巻の女」のチンドン・バージョン。

 私もカラーボトル大好きなんですが、震災以降、さらに力強く、さらに無骨になっているので、東北に限らず、全国の優良なショップ店員さんのチカラも信じたいところです。そして、上のSaturday player meetingも華乃家ケイさんも、まだ全国流通していない頃から、こちらで独自に取引を始めたそうで、「人と音楽を繋げる」をモットーに道なき道を切り開いていくそのフロンティア精神にただただ感動。道がないことを、批判したり、非難したりすることはとても簡単。その道を作ることの難しさを実感していないから尚更に、その簡単さ、ひいてはその愚かさが理解できないのだと思います。なんだかそう考えると、ここに来るだけでも、明日に踏み出す一歩が、より大きくなるかもしれませんね。あれこれ勉強になりました。またお邪魔させて下さ~い♪

 

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
私、対面でお会いした人からは「そういった視点は初めて見ました」とか「鋭い分析ですね」とかヨイショ半分にしても、よく分析を褒めてもらえますが(まぁ、それしか取り柄がないとも言える(笑))、ネット上では雑誌や新聞の連載について「こんなの誰でも書ける」とか「どうせ提灯記事だろう」とかケチョンケチョンに言われることが多々有ります。それで、過去に私を酷評した人がファンとなっているアーティストをあらためて調べてみると・・・Perfume、Berryz工房、℃-ute、9mm Parabellum Ballet、ストレイテナー、田村ゆかり・・・ 分かったぞ!どのアーティストも最初のブレイクから少し時間が経っていて、音楽的にはそこから成長を続けているものの、今、トップ記事として褒められない人ばかりだ。だから、各ジャンルのトップセールスのアーティストばかりがメディアで褒められるのにイライラして、「こいつ、どこ見てんだよ??」となるのだ。長らく岩崎宏美、中原めいこ、河合奈保子、中村美律子などなど大ファンの時期があった私にはその気持ち、よーくよーく分かります!そう考えると、敵というよりも、かなり親近感すら覚えてきたぞ(笑)。でも、だからと言って、私を批判するヒマがあったら、同じフォーマットで、自分が好きなアーティストを応援してくれればいいのに。私だって本当はそうしたいけど、スペースの都合で、トップ記事が多めになっているだけで、決して無視しているわけじゃないのです!! ともあれ、遠くの敵は、意外と近くに行けば大親友になれるのかもしれませんね♪