第72回 CDプラザWAVE WOW店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第72回は、北海道帯広市のCDプラザWAVE WOW店さん(以下、敬称略。Twitterは@WAVEWOW_obihiro)

“WAVE”と聞くと、かつて六本木や、渋谷、池袋などに存在した、それこそ音楽マニアには“神”として崇められていたチェーン店を思い出し、「あれ?2011年になくなったのでは・・・」と思う人もいるでしょうが、ここ道東の帯広市に全4店舗展開している全く別会社のWAVEは相変わらず元気に営業されています!ある意味、六本木WAVEっぽい音楽熱も感じられます。

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お店の正面玄関。ラジオの公録スタジオみたいな雰囲気で、なんか親しみを感じます。ちなみに、このスペース、イベントが出来るくらいに広く、実際にインストアイベント、随時募集中だそうです。地域イベンターやプロモーターの方、どうぞご活用ください!!(店長談)

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モータウン系の廉価盤の在庫が超充実!!このジャンルの面陳でこれほどの多さは、北海道一、全国でもTOP3レベルでは?素晴らしい!

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直輸入盤レーベル「NOTNOWMUSIC」も“全タイトル”で展開。これも振り切っていて良いですね!この総花(そうばな)的な見た目の凄さはリアルショップならでは!

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地元の愛好家から支持され、どんどん幅を利かせているジャズの廉価盤コーナー。こちらも実際に見れば圧巻です!

CDプラザWAVEは、地元のいちまるグループのお店で、CD部門は創業23年、中でも15年目になるこちらWOW店は帯広のだだっ広い郊外にありまして、その土地柄を活かして、在庫数は約4万点と、人口17万人弱の都市規模からは考えられないほど多いです。しかも、こちらのお店、とにかく“コンプリートするのがお好き”!輸入盤コーナー、廉価盤コーナー、K-POPコーナー、ジャズコーナー、アナログ盤コーナー、などなどとにかく、ここぞというタイトルは、ほぼ全タイトルあるんじゃないか?と思うほどの充実ぶり。そう聞くと、釧路や札幌で巨大店を展開されているコーチャンフォー(第51回に登場)を想起される方も多いかもしれませんが、コーチャンフォーはニュートラルに全商品を眺める感じが魅力なのに対し、こちらはスタッフの方の思い入れが強く、コメントカードや立体的な展開で工夫して買わせようとしている(良い意味での)魂胆が明確で、その情熱が棚からプンプンと匂っております!

店長の斉藤さんによると、これらの他にもロック好き、韓流ドラマ好き、J-POP好き、山下達郎や浜田省吾などベテラン好きなどのスタッフがいらして、そのお蔭で幅広いお客様が店にいらっしゃるとか。やっぱり、好きこそものの上手なれですね!各スタッフのチームワークの良さも感じられます。また、私がお邪魔して感じたのは、他にも洋楽・邦楽のコンピレーションやR&Bアーティストの品揃えも充実していて、これは車をビュンビュン飛ばしたくなるこの土地にも合っているんだろうなと思いました。次に、アルバムチャートを見てみます。

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店頭で好調なDVD BOX『アーノルド坊やは人気者』。ちなみに、エマニエル坊や(←全然関係ないやん!)の「シティ・コネクション」は、コンピレーションCD『こどものうた』(UICZ-809s)に収録されています。

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こちらDVDコーナー。“3枚3000円”(通称:どれ3)や、ワンコインアニメなど、キレイに整理されていてそれでいて安く、エエトコドリです!

 

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カフェ・ミュージック・シリーズもこうして並べると、まだまだ出ているんだな~と実感。コンピだけじゃなく、羊毛とおはな、などソロ作品も充実。

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K-POPの輸入盤コーナーには、面陳のほぼ全ディスクにレビュー有り!!これは、内容が分からない初心者ファンももはや日本盤では満足できないコアファンも嬉しいですね!

WAVE WOW店 アルバムTOP10 (2013/11/18~11/24)
順位 作品名 アーティスト名
1 15TH ANNIVERSARY ALL TIME SINGLES ポルノグラフィティ
2 GENERATIONS GENERATIONS
3 浮き名 椎名林檎
4 ザ・マーシャル・マザーズ LP 2 エミネム
5 十二単~Singles 4~ 中島みゆき
6 ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2 ビートルズ
7 松任谷由実
8 あんたへ amazarashi
9 VOL.1 REPACKAGE ALBUM:XOXO(KISS-VER.) KAT-TUN
10 ALARMS Pay money To my Pain

1位、2位は全国チャートとさほど変わらない様子がありますが、3位に椎名林檎のコラボ集、8位にamazarashi(寒い所で聞いたら余計に心に響きそう!)、10位にハードコアの昇り竜、P.T.P.も上位入りと、やはりスタッフさんの推しもあってロック系が全般に強く、洋楽ヒップホップ全体のラインナップの充実ぶりからエミネムの強さも健在で、お店のカラーがよく現れています。中島みゆきがユーミンよりも上位というのも北海道全体での特徴と一致しています。(ちなみに、松山千春やみのや雅彦も強く、道内出身アーティストは新人からベテランまで応援体制があるお店が多いです。) 最後に、店長の斉藤さんよりオススメアルバムをご紹介いただきました。

ROCO 『こどもじゃず いっぱい~ビビディ・バビディ・ブー』

アルバム『コミカルライフ』(2004年)を偶然知って、ROCOにドップリとはまった1人です。そんなROCOが2010年からリリースしている“こどもじゃず”シリーズ。そのシリーズ「その4」「その5」「その6」の中から人気曲をピックアップしたこのアルバムは、童謡をキャッチーなJAZZアレンジカヴァーで施し、思わず口ずさんでしまうハッピーな1枚に。お子様のいるご家族の一家団欒には絶大な効果を発揮する1枚です!

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こちら“こどもじゃず”シリーズ。クリスマスにもピッタリ!なお、これと対極の失恋系クリスマスソング集ならばこちら (笑)。

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帯広の男性シンガーソングライターで13年2月に急逝されたという、友章さんの特設コーナー。来年2月には追悼アルバムも出るそうです。

“こどもじゃず”もそうですが、こちらは、曲単価、映像分数単価の安い作品が大量に置いてあります。そういったお店は全国的に増えていますが、低価格だけでメンテナンスがおざなりになっている所も正直少なくありません。。。しかし!WOW店は、音楽への愛情、リスナーへの愛情を積み重ねることで、それがお店の音楽スタジオみたいな雰囲気を醸し出しているのだろうな~と実感しました。別件で、ネット通販の担当の方とお話していると、どこも低価格&高ポイント競争ばかりが激しく求められて、超大手サイト以外はリアルショップよりも厳しい状況とも聞きます。そんな中で、価格は安く、それでいてより面白いものを提示するというこちらのお店から、結局、音楽での差別化ができないとどこも生き残れないんだな~と勉強になりました!またお邪魔させて下さ~い♪

 

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、日経トレンディネット、月刊タレントパワーランキングなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。
Twitterは@t2umusic
最近は、平原綾香のニュー・アルバム『What I am』をヘビーローテーション中。以前にも増して歌声が力強くなり、それでいて繊細に心の機微に沿うような表現力も身につけている点も見事だけど、歌っている作品が邦楽とも洋楽ともポップスともクラシックとも見分けがつかないような世界にどんどん入っている感じで、この“需要の有無を考え過ぎずに(笑)、優れた音楽を探求している感じ”がなんともアスリートっぽくて惚れ惚れ。たとえ、イベント参加券付きのアーティストと比べて1/10の売上だったとしても、買われた1枚は10枚分くらいの熱量で聞かれるはず。目先の売上ばかり立てずに、業界全体でこういったアーティストを存続させて欲しいと願うばかりです♪