第76回 精文館書店TSUTAYA豊明店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第76回は、愛知県豊明(とよあけ)市にある精文館書店TSUTAYA豊明店さんです。(以下、敬称略で“TSUTAYA豊明店”と呼びます。)

豊明市は人口だけ見ると7万人と小さめですが、名古屋市の左隣で、もろ通勤圏!店長の奥村さんによると、豊明店の最寄りの駅から名古屋駅まで電車で27分だそうです。中京圏は、数字上では小都市や郡部でも、実はすごく活性化しているお店が多いですよね~。

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大都会が近くにあるとは思えない広大な駐車場。なんだかここに来ただけで開放的になれそうです。

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こちらがCD/映像のセルコーナー。スッキリとして、むしろ表面的にはごく一般的なお店に見えますが、実は違うのです。

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レジ付近。下の矢印が、そこかしこにあって、これは迷いやすいオッチャン(私を含む)、オバチャンも安心~。

そして、こちらの大きな特長は、なんと24時間営業!精文館書店内のTSUTAYA RECORDS全店を統括される映像音楽商品部の鈴木敏文さんによると、もともとはレンタルのみ24時間営業だったそうで、そこから売上増を目指し、コミックレンタルの導入・ゲームソフト販売の開始(ゲームソフトは26時まで営業)、さらにCD/DVD販売の24時間化と広げたそうです。それにより、“CDを買わないと言われている若い世代”の購入が予想以上に多かったとのこと。確かに、深夜ってテレビの通販にしても、「買っちゃう!?」って妙にテンションが上がりますよね。あと、夜中は暇つぶしに映像ソフトでも借りようと思いつつ、こちらに来たら249円はじめ数百円で大量に売っているし、借りて返しに来る手間とか何回も見ることとかを考えたら、ここでも「買っちゃう!?」ってなりますよね。お見事!

そして、24時間営業ということは、気になるアーティストのCDがいち早くゲットできるわけです。私も学生の頃、店着日の午前~お昼前後、今か今かと何度もお店に足を運んでいました。現代では、店着日の明け方には到着する商品が多いですし、ここに来れば他店より少し早く予約商品を引取れるのです。これは、アイドルやコアな音楽ファンにはたまりません~。(実際、深夜帯は時間との闘いだそうで、これもスタッフの皆さんの努力あってのことですよね!)

次に、シングル・チャートを見てみます。

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廉価版DVDコーナー。「死ぬまでに観たい」って、すごいインパクト!それでいて249円(激安!)ならば、映画に疎くても「これは、何本か見ておかねば・・・」と思います。

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ファミリー層の人口の多さにみっちり対応されているアニメのコーナー。安いからと、ついつい沢山買っちゃいそうです。

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映像ソフトの「どれでも3枚」コーナーをバラ売りした1枚1000円の棚。ランキングで陳列されていると、初心者も安心ですね。

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書店等を中心に流通している全曲集もののCDコーナー。となりには、レンタルからの「リユースCD」「リユースDVD」もあり、様々な選択肢を一望できます。

精文館書店 TSUTAYA豊明店 週間シングルTOP10(2013/12/23~12/29)
順位 作品名 アーティスト名
1 Ride With Me Hey!Say!JUMP
2 表裏一体 ゆず
3 ナノ・セカンド UVERworld
4 Run Away/Oblivion [Champagne]
5 Feel the love/Merry-go-round 浜崎あゆみ
6 南部蝉しぐれ 福田こうへい
7 Heart Song クリス・ハート
8 ココロ空モヨウ 関ジャニ∞
9 からたちの小径 島倉千代子
10 棚からぼたもち 舞祭組

1位、8位、10位とジャニーズ系が3組もランクイン。やはり常連さんが多いのでしょうか。その一方で、バンドも3位、4位で好調です。どちらにしても、熱い音楽ファンが多いということでしょう。さらに、6位と9位に話題の演歌シングルもあり、まさにカオスなランキング!!ちなみに、アルバム4位には洋楽オムニバスの『ワッツ・アップ!ザ・ベスト~10周年記念盤』、10位にはミックスCDの『進撃のカバー アニソン神曲MIX』もランクインし、ますますチャンプルーな売れ筋!高度成長期からのベッドタウンゆえに、当時若かったご年輩ファミリーから今の若いファミリーまで住んでいるとはいえ、これだけ幅広くヒットさせるお店の力量にあらためて感服いたしました。それだけ、幅広いお客様に対し親切に接客できるスタッフの方がいらっしゃるのだろうともお察しします。

最後に、鈴木さんよりオススメのアルバムをご紹介いただきました。(なお、今回の店舗画像は同社TSUTAYA RECORDS担当の土井さんの撮影です。ご協力有難うございます!)

シェネル『ベスト・ソングス』

どのお客様にもおすすめ出来る作品です。1曲目の「ベイビー・アイラブユー」はシェネルの持ち歌かと思うほど市中に流れてましたが、その他にもCMタイアップ曲、劇場映画タイアップ曲など多数収録されていて聞き応え満載です。3曲目の「アイシテル」を聞いたら一気に彼女のファンになってしまうのでは。新曲「HIKARI」を含む5曲のボーナス・トラックもあり、全18曲はかなりお得です。

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懐メロ系洋楽の「NOT NOW MUSIC」コーナーがこんなに広いなんてかなり貴重!隣のジャズコーナーはご年輩に人気だとか。

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ニコ動系のCDコーナーは、1文字ずつ貼り付けて手のこんだPOPになっているのは、うるさ型のお客様に合わせてのことでしょうか(微笑)。

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若い世代に人気のアニメ映像コーナー。プライスオフに購入特典、さらにお店のポイント付与と、映像ソフトはネットとの対抗措置が凄いです。ファイト~!

出ました!ロングヒットゆえここ数年のリアルショップの救世主となっているシェネル!今回は映画『海猿』主題歌や『ニベア』CMなどお馴染みの曲も盛り沢山ですし、声も良いし、若者向けを敬遠しがちな年輩の方も安心して聞けますよね~。まさに、豊明店を代表する1枚かと思います。

ということで、こちらのオールジャンルの売れ行きや、廉価版の価格対策などから、リアルショップはまだまだやることがあるなぁ~と思いました。大都市隣接のベッドタウンは、特に狙い目なのかな~。そうだ、小学生の頃、三陸沖は親潮と黒潮の潮目となっているから好漁場だと習ったじゃないですか。それと同じような事が、リアルショップにも生じているようにも感じました。勉強になります!またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、日経トレンディネット、月刊タレントパワーランキングなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
昨年末の紅白歌合戦、『あまちゃん』特集で視聴率も上々、ダウンロードやCDアルバムチャートでも軒並み上昇を見せ、“お茶の間”という言葉があった頃のように盛り上がり、普段「あんなもん見ないよ!」とスカしている人たちも「へぇ・・・」と気にしていたのがやや愉快でした(微笑)。そんな方にオススメしたいのが一音楽ファンの柏井さんが毎年詳細にレポートなさっている『紅白歌合戦のお話。』これを読めば、すっかり見た気分になって、音楽の豊かさが分かるはず♪