第8回CDショップ大賞2016 クラシック後期推薦盤

部門賞を選出しているCDショップ大賞では、第8回よりクラシック賞の“推薦盤”を、前期(1月~6月発売)と後期(7月~12月発売)の年2回に分けて発表しております。

前期に続きCDショップのクラシック担当の有志の方にお集りいただき、それぞれご推薦いただいた作品を「クラシック賞の推薦盤」としてご参照、ご参考いただければと思います。(推薦盤の中から部門賞「クラシック賞」が決定されるという事ではありません。)

■第8回CDショップ大賞2016 クラシック後期推薦盤
(アーティスト名五十音順)

「ANIME CLASSIC」石川綾子
(エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ/ AVCD-93302)

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今やコンサート、テレビ・ラジオ出演を含め活躍している全豪No.1ヴァイオリニスト、石川綾子の待望のメジャー・デビュー盤。ネットで有名になったきっかけであるアニソンがメインのカヴァー・アルバムです。クラシックの枠を飛び越えた逸品は、全豪1位の実力があってこそ。2015年下半期の話題盤。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

「NUKUMORI」IL DEVU
(日本コロムビア/ COZQ1071)

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メンバー総重量は500kgを超えており、体重90kgを下回ったら脱退などの逸話と、その名前が実にユーモラスなグループの2作目。しかしメンバーは日本オペラ界屈指の実力派歌手たちと、歌曲伴奏の第一人者による本格的なもので、そのギャップもまた楽しい。重量級の厚いハーモニーと伸びやかなメロディラインが大きな魅力で、クラシックからポップスまでの有名曲ばかりを並べながら、それぞれの作品に新たな命を吹き込んでいる。声楽の素晴らしさを堪能できるアルバム。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

「モーツァルト:ホルン協奏曲全集」Radek Baborak、小沢征爾、水戸室内管弦楽団
(ソニーミュージック / SICC-19002)

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ホルン奏者にとってバイブルであるモーツァルト4曲を、現代世界最高のホルン奏者であるバボラークで聴ける日が来ようとは!ライヴ録音とはいえ、4曲まとめて発売されたことに感謝したい位の珠玉のアルバムです。小澤征爾との息もぴったりで、ホルン好き以外の方々にもぜひ聴いていただきたい演奏。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

「シベリウス:交響曲第6番、第7番」尾高忠明指揮 札幌交響楽団
(フォンテック / FOCD6049)

尾高忠明指揮 札幌交響楽団『シベリウス:交響曲第6番、第7番』

透明度の高い弦と抑制の効いた管のコンビネーションでシベリウス作品の美しさを歌い上げ、好評を博したシリーズもこちらで完結。尾高忠明の音楽監督任期中最後の定期公演ライヴでもある。2曲の特徴である多用されたロングトーンを、絶妙のバランスで絵の具を塗り重ねるようにコントロール。特に6番にあってそのポジティブな響きが持つ魅力を存分に引き出している。シベリウス・ファンに愛される佳曲「アンダンテ・フェスティーヴォ」も、15年以上に渡った尾高&札響時代の余韻を噛みしめるような美演。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

「バッハ オルガン作品傑作集第5集」小糸 恵
(クラヴェス / 501503)

小糸 恵『バッハオルガン作品傑作集第5集』

スイス在住のオルガニスト、小糸恵の世界のオルガンの名器を使用してのバッハ・オルガン曲シリーズ第5弾。1730年代制作の、ドイツ、エアフルトのクルツィス教会の歴史的なオルガンを使用。バッハの息吹を感じるオルガンで、オルガン音楽の真髄が堪能できます。中でも無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番からのオルガン編曲版は見事!美しい写真入りのジャケットとともにいつまでも愛聴したい1枚。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

「J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」五嶋みどり
(オニックス / OONYX4123)

五嶋みどり『J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』

我が国が世界に誇るヴァイオリニスト、五嶋みどり待望のバッハ無伴奏全曲録音。バッハというより五嶋みどりの今を聴くアルバム。一音一音に情感が込められ、バッハが楽譜で表現しきれない微妙な揺らぎや、豊かなインスピレーションから生まれるほとばしるエネルギーは圧巻。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

「リスト」反田恭平
(日本コロムビア/ COGQ-78)

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「Live!」Kyohei Sorita
(タカギクラヴィア / NYS-15110)

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今年颯爽と登場した反田恭平。モスクワ音楽院に留学中ながら、あのホロヴィッツの弾いたニューヨーク・スタインウェイを弾くことを許され、古き良きピアノの黄金時代を髣髴とさせる響きで、演奏会は常に熱いファンで埋まっている。メジャーデビューアルバムも見事だが、インディーズ時代に発売されたライヴも豊かな響きで聴き応え満点。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

「バッハオルガン作品集」塚谷水無子
(キングレコード / KIGC-19)

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有名なオランダの聖バフォ教会のパイプオルガンによる演奏。昨今評価がうなぎ上りの塚谷水無子によるバッハ作品集は、名曲から塚谷自身の編曲による「シャコンヌ」まで、選曲と録音の見事さが極まったオススメ盤です。キング・レコードへの第4弾となるSACDハイブリッド盤による発売。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

「プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』」バッティストーニ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
(日本コロムビア/ COGQ85)

アンドレア・バッティストー二指揮 東京フィルハーモニー交響楽団「プッチーニ 歌劇『トゥーランドット』」ジャケ写

冒頭から凄まじい音圧と緊張感で一気に掴まれる。ダイナミックな表現と細部にわたる繊細な歌心を両立させるバッティストーニの技量は、これまでリリースされた管弦楽作品でも大きな魅力であったが、今回は得意の歌劇ということでまさに本領発揮となっている。歌手陣も素晴らしく、伸び伸びとその実力を発揮して物語にアクセントを添えた。圧倒的な表現力で最後まで一気に聴かせる快演。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

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■第8回CDショップ大賞2016 クラシック前期推薦盤
(アーティスト名五十音順)

『CINEMA CLASSIC』 石川綾子
(TURTLE MUSIC RECORD/TMRC-011)

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CLASSIC界で新たな境地を開拓し続ける石川綾子の最新アルバム。前作ボカロカバーアルバム「VOCALO CLASSIC」で話題沸騰となった勢いをそのままに、世代を超えて心に染み入る不朽の映画の名曲をヴァイオリンで奏でます。ジャンルの柵を超えて訴えかける音楽性は本物。魅惑的な響きと素晴らしいメロディーが見事に融合した素敵なアルバムです。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

『シベリウス:交響曲第4番、第5番』 尾高忠明、札幌交響楽団 
(フォンテック/FOCD-6048)

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札響<シベリウス交響曲シリーズ>のライヴ録音第3弾。シベリウスの音色を魅力的に奏でる、日本で最右翼のオーケストラによる至高のシリーズ。純度の高い弦楽器の音色と、透徹した響きの木管楽器群、力まず明快な金管楽器群による現代最高のシベリウス演奏のひとつです。シベリウス生誕150年に相応しい、日本が誇るアルバム。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

『IX〜ヤニス・クセナキス:プレイアデス/ルボン』 加藤訓子
(LINN RECORDS/東京エムプラス/CKD-5955)

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6人に打楽器奏者のために書かれた『プレアデス』を、一人で多重録音したアルバム。「金属」「鍵盤」「太鼓」と、楽章ごとに同種の楽器によるアンサンブルで構成される作品。リズムと音程の微妙なズレが生み出す音響を、由緒あるオーディオメーカーでもあるLINNならではの優秀録音でたいへん心地よく捉えており、一見難しい印象の現代音楽を、広い層に愉楽の響きを提供するアルバムに仕上げている。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

『ファンタジー』 清水真弓
(オクタヴィア・レコード/OVCC-00115)

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リンツ・ブルックナー管弦楽団の首席トロンボーン奏者(オーストリアで初の女性首席)を経て、2012年秋より南西ドイツ放送交響楽団(バーデン=バーデン/フライブルク)首席奏者を務める清水真弓の1stアルバム。彼女の音楽性と技術が存分に発揮されたこの盤を聴くと、楽器の垣根を越えた表現にただただ脱帽。待望の世界レベル・アルバム。
(タワーレコード株式会社 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

『ゴルトベルク・ヴァリエーションズ』 清水靖晃&サキソフォネッツ
(エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ/AVCL-25869)

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2段鍵盤のために書かれたバッハの名曲を、5台のサキソフォンと4台のコントラバスで演奏。クラシカルの範疇を逸脱しないアレンジで、レコーディング・ロケーションの音響を有効に取り込んで作られた音が、結果的にたいへん先鋭的な響きを内包するという、20年近く前の、あの『無伴奏チェロ組曲』の手法を発展させたアルバム。この作品が持つ普遍性と、新たな魅力を感じることが出来る一枚。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番《春》・第6番・第10番』 庄司紗矢香、カシオーリ
(ユニバーサルミュージック/UCCG-1700)

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2010年からリリースされてきた全集録音の完結編。お互いにリスペクトし合う二人だからこそ可能な、時に厳しく、特に寄り添うようなやり取りが魅力。『春』冒頭の溜息のような表情から、深い表現力にぐっと引き込まれる。さらには、ピアノがヴァイオリンの伴奏ではなく、両者対等な形式を確立した第10番において、二人のアンサンブルの魅力は最大限に引き出されている。
(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

『DUO』 荘村清志&福田進一
(日本コロムビア/COCQ-85265)

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我が国の代表的ギタリストのお二人のデュオが、CDとなって初登場。荘村清志はスペイン、福田進一はフランスと留学先も違い、日頃プログラミングもファン層も異なる二人が、それぞれの個性を生かしながら映画音楽あり、オリジナル曲あり、委嘱作品ありの多彩なプログラムで聴き手を楽しませている。まさに奇跡の共演。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

『シベリウス:交響曲全集』 ピエタリ・インキネン、日本フィルハーモニー交響楽団
(ナクソス・ジャパン/NYC-27286)

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シベリウスの演奏では定評のある日本フィルが、来年から首席指揮者に昇格するピエタリ・インキネンの指揮のもと、交響曲全曲を録音。
全曲を通して繰り返し聴いていただくことにより、卓越したシンフォニストであったシベリウスの真髄を体験できる。インキネンの指揮も静謐なシベリウス・トーンを際立たせ、聴き終えた後に言葉で言い表せない充実感で満たされる、出色の全集。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

『ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」』 山田一雄、大阪センチュリー交響楽団
(ナミレコード/WWCC-7782)

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亡くなる5ヶ月前の1991年3月のライヴ録音が、24年の時を経て初めて陽の目を見た。熱い音楽作りでファンも多かった山田一雄の指揮で、当時結成3年目の大阪センチュリー交響楽団(現:日本センチュリー交響楽団)が小編成ながら音に厚みがあり、地に足の着いた堂々としたベートーヴェンを聴かせている。英雄交響曲の魅力が改めて堪能できる1枚。
(株式会社山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)