TOP » CDショップ大将! » 第10回 ハスキー・中川さん

カリスマバイヤーに会いたい!CDショップ大将!

全国各地の名物CDショップ店長やカリスマバイヤーを訪れ、音楽のこと、お店のこと、いろいろお話を伺います。

みなさん、こんにちは。このコーナーでは全国にいる名バイヤーを紹介して行きながら、配信などに押されつつあるパッケージビジネスの現状で今こそCDショップの存在価値を見い出そうじゃないか!という企画です。これに便乗して美味いもん巡りでもしたいところですが、さてどうなることやら…

第10回 ハスキー・レコード ハスキー・中川さん

ああ、久しぶりだなあー! 無事、「第ニ回CDショップ大賞」も終わったし、これからどんどん大将探しに行きますよー!

今回、お邪魔したのは東京世田谷区の経堂にあるハスキー・レコードさんです。ここの店主、ハスキー中川さんは90年代のDJブームの先駆けとしてその名を轟かせる有名人。その活動はDJだけでなく、プロデュースから選曲、ライターとまで幅広く、現代の植草甚一のような方です。

写真 このお店、スゴイです。これまでも数々のお店をご紹介してきましたが、個性的という意味においてはダントツだと思います。しかも品揃えではなくて、店主のキャラクターが、です。品揃えはマニア向けに偏ることなく、一般のリスナーでもとっつきやすい作品も多くあるぐらい。なにより、とにかくハスキーさんのキャラクターが濃くて、普通のCDショップに買い物に行く感覚でうっかり入ると、軽いカルチャーショックを受けるぐらいの衝撃です。

実は取材のこの日、少し遅れて到着したのですが、店の扉を開けた瞬間の出迎えがなんというか、とても温かいんです。まるで行きつけのバー(んなもんないですが)に来たような感じ。初めて訪れたのにもかかわらずですよ。のっけから仕事観みたいなものを語っていただきました。

「ボクは体を大の字にしてグルッと一周するぐらいの範囲でしか、仕事はできないと思ってるんです。自分の目の届かないところまで広げたとしても、絶対にうまくいくはずがないと確信してる。だから、たとえ事業に成功しても、従業員を雇ったり、会社を大きくしたりとかは考えたことがないんです」

写真
店主のハスキー中川さん(左)と息子さん。

現在、ハスキーさんはご子息と2人で店頭に立ってらっしゃいます。アグレッシヴな親父さんと対照的に穏やかな雰囲気の息子さんは、店にいるとコーヒーをさりげなく出してくれる、これまたナイスガイ。親子だからこそ、技術的なことだけでなく、CD屋とは、商売とは、という深いところまで指導できるのだとハスキーさんは言います。つまり、置いてあるCDを知り尽くして、働いてる人を理解して、それで初めて自信を持って仕事ができるということ。そのハデなキャラクターとは裏腹に堅実な側面をお持ちでした(って失礼ですが)。

「CD屋で『コレってどんな内容ですか?』って聞くと、『いやあ、聴いたことないんですよね』ってなること、たまにあるじゃないですか。でも、米屋で『コレってどんな味ですか?』って聞いて『いや、食べたことないんでわかんないです』なんて、普通許されないですよね? CD屋だって同じだと思うんです。それがまかり通ること自体がぬるま湯に浸かっていると思います」

ちなみにハスキー・レコードでは、店内のすべてのCDが試聴できます。新譜であろうが、サンプルがなかろうが、すでに開封してあるのです(笑)。

「聴いてもらったうえで買ってほしいですからね。だからすでに開封してあるモノが嫌だとおっしゃるなら、どうぞ普通のCD屋で買ってくださいって言うんです」

写真
コレを欲しがるお客さんもいるという、ハスキーさんのキャプション。お店で売られている商品すべてに付いてる!

これは一見、破天荒な行為にも見えますが、実はリスナーの立場に立った、理にかなった考えだと思うんです。もちろんハスキーさんも聴いたうえでキャプションカードを書けるし、やはり中身をわかって売るのとわかってないで売るのでは、ユーザーにとっての信頼度も違います。未開封にこだわるお客さんにとっては抵抗があるかもしれませんが、ハスキーさんはそのあたりも承知の上。

「万人ウケなんて、ありえないと思うんです。実は“無難に済ませる”ということが一番リスクが高いと思ってます。“無難”っていうのは、誰でもやってるってことでしょ? 商売は競争ですから、他人と同じことやってちゃダメですよ」

つまり無難に手広く、不確かなグレーゾーンを取り込もうというのではなく、“振り切る”ことでターゲットを明確にするのがこれからの時代だということでしょう。もはや「おめぇに食わせる坦々麺はねえ!」の世界ですよ。がんこ職人。かといって敷居が高いワケでもない。

写真
なんすかコレ?

ハスキーさんが一番スゴイと思うのは、ここらへんの駆け引きのうまさだと思います(無意識だと思いますが)。たとえ我の強いお客さんでも、自分のペースに持っていってしまう。最初は「なんだよ、この店員は」と思っても、気がついたらまんまとハスキーさんの口車に乗せられて……といってもお客さんに媚を売るワケでもなく、自然に迎合させてしまう。コレはなかなか凡人にできる業ではありません。 って見たワケではないのですが、3時間ぐらいお話してわかりました。自分も話をしてて、CD屋って楽しいところだなあって、久しぶりに思えたような気がします。

SHOP INFORMATION

ハスキー・レコード
東京都世田谷区経堂1-6-14-C
営業時間:12:00~20:00
定休日:火曜
TEL:03-3425-1723

TOPに戻る

back number

第10回ハスキー・中川さん

第10回
ハスキー・中川さん

第9回伊藤晃さん

第9回
伊藤晃さん

第8回山田一夫さん

第8回
山田 一夫さん

第7回大畑亨さん

第7回
大畑 亨さん

第6回松永好司さん

第6回
松永 好司さん

第5回三浦直貴さん

第5回
三浦 直貴さん

第4回福嶋恵介さん

第4回
福嶋 恵介さん

第3回字見勝良さん

第3回
字見 勝良さん

第2回吉見雅樹さん

第2回
吉見 雅樹さん

第1回石川千鶴子さん

第1回
石川 千鶴子さん


2