全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第13回は、長野県を中心に展開されている平安堂(さん、以下敬称略)の旗艦である長野店をご紹介します。
日々、全国を行脚していると(いえ、単なるスパイごっこです(笑))、その都道府県が教育に熱心であるかどうかがなんとなく分かります。それは、街にゴミがあまり落ちていないとか、親子連れの買い物客が多いとかなんですが、そういった素敵な地域は、決まって進学率や全国統一テストの結果が良いので不思議です。(勿論、これは私個人の肌感覚で、社会学的に証明されている訳ではありません。)
そして、もう一つ、書店に入ってみて、教育コーナーや専門書コーナーなどが充実しているかどうかも、かなり大きな指標なのです。それは、単に品揃えが良いというだけでなく、店員さんの応対が穏やかだったり、棚全体から歴史を感じさせたり、児童向けの読み聞かせ会が定期的にあったりで、やっぱりお店の凄さって一朝一夕じゃ築けないなぁと感心させられます。
と、ここまでの部分、すべて長野県、そして長野で絶大な信頼を得ている平安堂に初めて行った時のことを思い出しながらスラスラと書きました(それほど印象的な所なのです)。さらに、私が長野店に入って最も驚いたのは、その知的な書店の魅力をそのまま音楽にも反映させている点です。書籍とCDの複合店の中には、書籍がメインで、CDは“売れているのを適当にチョイスしました~”という所が少なくなく、なんだ音楽は継子扱いなんだな…と、寂しくなることがあるのですが、平安堂なら大丈夫! 当然、ヒット作もありますが、本が好きそうなお客様が聞きたそうなこだわりの音楽がJ-POP、ジャズ、クラシック、ヒーリング、地域限定CDなど様々に並べられています。音楽専門店でいうと山野楽器の雰囲気が近いでしょうか。
また、文学や歴史への造詣の深さが、DVDコーナーに反映されているのもナルホド!と思いました。これって、本の魅力を知っているからこそ、関連するDVDも自信を持ってオススメできるのですからね。私のように、教科書以外の本は、音楽誌かアーティストの自伝本しか読んでこなかったような視野の狭い者(大汗)には、こういう風にやさしく指導してくださるととても有難いです。ここで、アルバムチャートを見てみましょう。
順位 | 作品名 | アーティスト名 |
---|---|---|
1 | グッバイ・ララバイ | アヴリル・ラヴィーン |
2 | my Classics 3 | 平原綾香 |
3 | 絶対絶命 | RADWINPS |
4 | まとめ Ⅰ | aiko |
4 | まとめ Ⅱ | aiko |
6 | ケツノポリス 7 | ケツメイシ |
7 | 奇蹟のニューヨーク・ライヴ ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 |
小澤征爾, サイトウ・キネン・オーケストラ |
8 | 願いの塔 | EXILE |
9 | いきものばかり~メンバーズBESTセレクション~ | いきものがかり |
10 | EXIT TUNES PRESENTS SEKIHAN the BEST | 赤飯 |
震災の影響で新譜が少なかったことに、平安堂らしく書籍同様にじっくりと売っていきたいというスタンスも加わって、全体にロングセラー作が目立ちます。その中で1位はアヴリル・ラヴィーンで、ここからアヴリルの最新作は若い方だけでなく大人にもアピールできる良質な作品であることが分かります。瞬間的に週間1位を取った作品よりも、長く売れる作品ってやはり信頼がありますね。
そして、2位は平原綾香。全国チャートでは30位台の平原さんですが、ここではお店とアーティストの相性の良さが如実に現れています。私、平原さんのLIVEに何度か足を運んでいますが、20代のアーティストのLIVEとは思えないほど、上品なシニア層のカップルが多くて驚きました。でも、だからこそ、被災地からリクエストが多く集まるように、本当に必要な時に必要とされる歌い手なのでしょう。また、7位の『奇蹟のニューヨーク・ライヴ』も、全国チャートでは200位台。そして、10位にはニコニコ動画で人気の、七色の声を操るボーカリスト「赤飯」もランクイン(私は、『あらびき団』で注目していました)、こちらも全国チャートではTOP100圏外。いいなぁ、この独創&独走っぷり!!!最後に、こんなユニークな長野店に勤める井出さや香さんよりオススメの作品のコメントをいただきました。
V.A./ 静かな夜のカフェ-SLOW JAZZ-
「音のサプリメント」シリーズから、ゆったりとくつろぎの「夜時間」をテーマにしたジャズコンピをご紹介!気鋭の日本人ジャズ・アーティストや北欧レーベル音源をセレクトし、ハイセンスなジャズを楽しめます。この一枚でオシャレな空間を演出というアプローチで、ジャズ・ファンではなく、女性層に向けてプッシュしています。新生活を始める方や普段ジャズに馴染みの無い方、プレゼント用にもオススメの一枚です。
このシリーズのコンセプトは“生活に潤いを与える音楽”だそうですが、確かに、これも平安堂と合致しているな~と、妙に納得しました。またお邪魔させてくださ~い♪
最新週の店頭トップコーナーはユーミンのアルバム。
季節企画CDの箱付初回盤もあります!買い逃した方、是非。
平原さんのCDって、発売から2,3年経っても
普通に定価で売れているんですよ。
やはり、こういうお店の展開が大きく影響していそう。
見よ!面陳だけでこのスペース。
“音楽が「おとな」に戻ってきた。”という独自のコピーも素敵です。
ヒーリングCDとして人気のMARTH CDシリーズや
DANIEL KOBIALKAシリーズも常設。こちらも2008年発売!
こちらはジャズ・コーナー。オススメ盤同様に、
ラインナップの幅広さから間口の広さを感じさせます。
長野県のスーパースター三四六とその奥様網浜直子(W-NAO!)、
バカボン鬼塚(おに魂!)など地元に縁のアーティスト5人の競作CD「しなの恋巡り」。
なんと8万円であなたも「しなの恋巡り」の競作CDが作れちゃいます!
書籍コーナーに隣接する不朽の名作映画コーナー。
DVDタイトル文字の明朝体って、歴史の重みを感じますね。
『MUSIC FAIR』のシオノギ製薬の文字然り。