全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る＜CD＞ショップ”」。第16回は、横浜市にあるエラート金沢八景店（さん、以下敬称略）をご紹介します。

　いやぁ～、5/23付けのoriconシングルチャート、驚きました。ついに初登場週1位から2週目には100位圏外の作品が現れるなんて…。いえ、別にその1位のアーティストはコアファンが喜ぶだけの魅力が十分ありますし、そもそもモノが売れないと言われる時代に、対価としてファンの方がちゃんとお金を支払う、という正しい行為自体、本当に感心しています。ただ、現在のLIVEチケットと連動したCD予約枚数や、握手目当てに何度もループする人達の会場限定分も考慮したCDチャートからは、“ヒット曲”が見えなくなっているということが、これで明らかになったわけで。今後、同じように集計するならば、それはヒットチャートではなく、タレントチャートあるいは、グッズチャートの方が適当かもしれないですね。

　その点、リアルなCDショップでのヒット感は、（ごく一部、広告媒体として機能しているお店を除き）間違いなく良い音楽や面白い音楽を探そうとしている店員さんとお客さんが作ったものなので、本当にあれこれと教えられます。今回、ご紹介するエラートも、「音楽が大好き!」「面白いものいっぱい仕入れといたよ!」と、まるで下町の商店街のように、コーナーのあちこちから声が聞こえるようで、まさに、うれしい!たのしい!大好き!なお店です。ちなみに、エラートは京急金沢八景駅から北に400mほどのダイエーの3Fにあり、♪海の見え～る国道沿いの店（by「風は海から」クスリじゃない方の岡村ちゃん）で、大都会の横浜市にありながら周囲はどことなくローハスな雰囲気を漂わせています。

　
入口は、ビーチで流行りつつある「漁サン」と、格安サングラスがお出迎え…と一見、チャラいですが（これも作戦ですね（微笑））、中は専門知識がギッシリ!店員さんのチェック柄の制服も声をかけやすくていい感じ。

新譜一つ一つ愛のこもった手書きPOPがあって、しかも読みやすくて、とってもええぞう（byいきものがかり）。

邦楽のみならず、洋楽のレコメンドもビンビン!注文書からの書き写しでは太刀打ちできません。

　まず、入口付近に新譜コーナーがあり、まぁこれは模範的な良いお店という感じですが、それでも各レコメンド文が熱い、熱い!新人の高橋優くんにも、この文章読ませてあげたいほどです。
　そして、そこからお店の奥の方に進むと、ヒップホップ、昭和アイドル、ジャズ、K－POPなどなど、ジャンル区分があるのですが、それらも近年それぞれのブームに便乗して作ったのではなく、どこのコーナーにも随分前から意識して作られた感じが、その品揃えから感じられました。これって、各音楽を聴いていないと出来ない技ですよね。中でも、ハードロック&ヘヴィメタル(HR/HM)コーナーは、かなりの充実っぷり。都心の大型ショップに行かなくても、『BURRN!』を読んで、エラートに通えば、十分この道を全うできるはず（微笑）。

ここは西新宿か??と見まごうばかりの充実ぶり。下のインデックスも、新旧問わず相当なラインナップです!

K-POPを観て、聴いて、読んで、飾って楽しめる作り。入門者用の書籍も多数あります。　

　さらに驚いたのが、アーティストやそのジャンルに関する書籍や雑誌がそこかしこに陳列されていること。どうりで、カリスマ性の高いあの人やこの人が、エラートでよく売れているわけだ・・・と現場を見て納得できました。察するに、CDだけでなく書籍も置かれることで、そのアーティストの器の大きさが分かったり、またビジュアル面での魅力を再認識できたりして、よりセールスに繋がるのではないでしょうか。さらに、そういう買い方をしたのならば、次回からもそのお店を信頼することができますよね。私自身も某電気店のCDセレクトが大好きで、近くに立ち寄る度に何かと買っていました（今は、会社の吸収合併でCD事業を縮小されてしまいましたが）。

私が最も素晴らしいと思ったのがこのコーナー。永ちゃんの『成りあがり』が、こんなに置いてあるCDショップ、いや本屋さんもしばらく見ていません。他にも、入手困難なアーティストBOOKもありました。オークションで不当な高値を支払う前に、一度立ち寄ってみては？

同じ階にダイエーチェーン系の本屋さんもありますが、そこを凌駕するほどの絵本の数々。ちょい昔、Olive少女だった人たちなら思わず手に取りたくなるはず。

　それだけでも素晴らしいのに、さらにアーティストと関係なく、音楽が好きな人ならこれも好きそう・・・という絵本が置いてあったり、グッズが置いてあったりと、その提案ぶりが一つ一つ面白いなと思いました。勿論、“ヴィレちゃん”とか“ブルちゃん”とか他の有名雑貨店も楽しいですよ。でも、やっぱり私は、音楽や映画が真ん中にありつつも、他のモノゴトが考えられているという環境が好きなのです。そこには、（トイレじゃなくて）音楽の神様がいるような気がしてきて、自然と心が和らぐのですよね～♪だからこそ、こういうお店は作品が連続して売れるアーティストが多いのだと思います。近年、急上昇したものの、急落するアーティストがあまりに多いのは、こういったリアルショップを大切にすることを忘れてるからじゃないのかな??と現場の趨勢を見ながら肌で感じています。つまり、単に現代人が飽きやすいのだと上から決め付ける前に、レコード会社やメディアなど送り手側には、まだまだできることがある気がするのです。

こちらハイセンスな洋モノグッズの数々。どれも音楽好きがよく分かる品々ですね。

ロングヒットしているキッズ向けCD『キッズ・ボッサ』のキャラクターのクマちゃんのぬいぐるみなど、可愛い小物がいっぱい。他の雑貨店で通路ギリギリに置かれたカップとか割ってしまいそうでドキドキですが、これなら安心ですね。

次に最新のアルバムチャートを見てみましょう。

　全国チャートではBGIBANGが1位ですが、ここでは3週連続で安室ちゃん。店頭で手書きコメントも関連書籍もいい感じで配置された効果が出ています。あと、陽気な土地柄かナオト・インティライミの2ndアルバムも好調。ちなみに、CDショップ大賞では1stアルバムから既に入賞していました（さすが、全国の店員さん!!)。他には、福原美穂が全国チャートよりもかなり上位。あのパワフルな歌声、洋楽ファンにもきっと人気なはずです。ユーミンもロングヒットしているのは、逗子マリーナが近いことも影響しているでしょうか。とにかく、グッド・ミュージックの匂いがプンプンします。（ちなみに、冒頭の1位から急落したアーティストについて、1枚も仕入れがなく、お客様から1度も問合せがなかったようです。）
最後に、店長の長沢尚一さんよりオススメ作品のコメントをいただきました。

マイケル・フランティ＆スピアヘッド
『ＴＨＥ　ＳＯＵＮＤ　ＯＦ　ＳＵＮＳＨＩＮＥ』
　レゲエ、ヒップホップ、ファンク、ブルース、フォークなど様々なスタイルなサウンドに乗せて社会的なメッセージを歌う『魂のシンガーソングライター』マイケル・フランティ。この最新作は、開放感たっぷりの気持ちのいいサウンドに仕上がっていて、ジャック・ジョンソン等のサーフ・ロック系好きにもおすすめの１枚です。マイケル曰く『音楽は太陽の光さ、力と意欲を僕達に与えてくれる。辛いときに元気をくれる』作品です！

CDショップがオススメするカフェ・ミュージックって、本物という感じが漂っていますよね。

CDのみならず、オーディオ環境もご提案。後ろの30分フィットネスだけでなく、こちらも無料体験して下さい♪

昭和のアイドルCDが多数。なぜか私が以前企画した00年代の女性ポップス集『想いうた～歌姫エール・ソングス』（奥華子「ガーネット」、KOKIA「ありがとう」など人気の高い応援歌を集めたもの）まで面陳して下さっているのは、ご愛嬌でしょうか。

　様々な異業種のお店がCDを置くようになったように、CDショップも、もっと色々なものを置いて独自のエンタメ感を発信していってもいいんじゃないかな～と、エラートを舐めまわすように（苦笑）見学していたら、あらためて思いました。音楽以外の面白いものを置くにしても、音楽ファンという軸がしっかりあれば、問題があるどころか、音楽好きならではのハイセンスってあると思うのです。エラートは、そんな大きな可能性を積極的に提案されています。また、お邪魔させてくださ～い♪