全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る＜CD＞ショップ”」。第21回は、兵庫県姫路市にある学園通り音楽市場（さん、以下敬称略）をご紹介します。

　WAVEの自己破産申請のニュースが流れ、再び「CDショップなんてもう有り得ないだろう」といった短絡的な意見や、はたまた音楽ファンの人の中でも「WAVEは六本木が無くなってからダメだった」といった意見を目にします。確かに、ここ数ヶ月の畳み掛けるような閉店の動きは尋常ではなかったけれど、その直前までは、本当に良いお店が多かったのです。その存在自体がロック少年の啓蒙活動となっていた大宮店、ユーミンの充填率はきっと日本屈指だった池袋店、更には品揃えも接客も商品知識も半端なく良かった愛知県郊外の木曽川店などなど（連載でお邪魔しようと思っていたほど）。だから、そういうニュースにも、お店にも、愛情をもって見て欲しいなとあらためて思った次第です。ともあれ先月から今月にかけて、HMVとして生まれ変わるお店も多いので、今後も応援したいです♪

１Fの本屋さん（Begin）からも入れますが、2Fの入口がサーフショップみたいで心地良いです。ちなみに、M2Fのランチ&ケーキ屋さんもオシャレ～。

　さてさて、今回紹介する学園通り音楽市場は、姫路市の郊外なのですが、世界遺産である姫路城の観光客が多いからか、中心街はどことなくのんびりしている感じで、その郊外はさらに輪をかけて、ゆったりしていました。関西エリアでは「姫路ナンバーの車には（ぶつからないよう）注意やで」というのが、暗黙のルールだと聞きましたが（苦笑）、街自体はいつ行っても海の街ならではの爽快感と、山の街ならではの郷愁を併せ持つ素敵な所だと思います。そんなのんびりとした街並みからか、音楽市場の建物の中も「市場」というより、とってもキレイな「故郷アンテナ・ショップ」に近い雰囲気があります。店の奥に萌え度の高いコミックとか、かなり際どいDVDとかも、ニュートラルに置いてあって普通に買えそうです。

「市場」という名前よりもずっと整然としていてキレイなフロア。ちなみに、この奥にはコミックやDVDコーナーがあり、コミックはメジャーなアニメの原作も腐女子ものも仲良く陳列されています。

同じフロアのコミックコーナー展示用の切り抜き。キャラクターの下書きの様子も描かれていて、実にマメな仕事っぷり!是非、サンボマスターとかザ50回転ズとかの似顔絵もよろしくお願いします!

　そして、私が最も目を見張ったのがキッズ・コーナー。音楽市場では、NHK教育からディズニー、アンパンマン、ウルトラマン、仮面ライダー、コロちゃんパック、さらには学校教材用と非常に幅が広く、またCDもDVDも大量にあるので、例えば兄弟や従兄弟で好みが分かれていても、充実のラインナップで選べそうです。最近は、郊外の大型CDショップでもキッズ・コーナーは多数あるのですが、なんだか子供向けが継子扱いされていて、せっかく子供優先で動くファミリー層への強力な“エサ箱”（笑）となっているのだから、もっと強調してもいいんじゃないかな～と思ったりもするのです。

　いえ、私自身、3～4才の頃、「子供扱いしやがって（←子供のくせに！）」と、童謡とか子供向けのアニソンとか聴かされるのが嫌で、反抗して『スター誕生!』とか『レッツゴーヤング』とか観ていたクチですよ（笑）。でも、自分が大人になって、子供向けの歌は、歌詞は基本ピースフルだったり、2行ごとにメッセージやメロディーが転々としていて実はパンキッシュだったり、「え、これWISEが歌っているの？」とか「この張り上げ方、中西圭三だよなぁ」とか意外な発見があったり、「『崖の上のポニョ』は、きっと普段コミュニケーションの少ないお父さんと子供のために、ああいったデュエットにしたんだろうな」とか制作側の願いが読み取れたりして、実は面白いものなんです。そういった、実は大人も楽しめるという雰囲気をショップからも出せるといいなぁ、と常々思っていたので、音楽市場は、本当に楽しくて正しいお店だと感じました。

キッズ・コーナー。ポスターもたくさん貼られていて、これは子供たちが思わずコーナーに駆けていきそう♪

キッズ・コーナーその2。現在は「アンパンマン夏祭り」キャンペーン中ですが、この日以外も様々なキャラクターが置いてあったり、ディズニーなど人気アニメのDVDが回っていたり、毎日お祭り状態です！

キッズ・コーナーその3。こちらはウルトラマン・シリーズが大充実。ここにも、ウルトラマン達のコミカルなイラストが!

　そして、そういったキッズの親御さんを意識してか、はたまた車でブーンと飛んでくる中年男性を意識してか、70年代～90年代にブレイクしたビッグ・アーティストや昭和の女性アイドルのコーナーが、店の端っこではなく、かなりメイン･ストリート寄りにあるのも大きな特長だと感じました。また、カバー特集では、ボッサ系から歌謡曲系まで幅広く置かれていて、お仕事であれこれさせてもらっている私も知らないものがあり、勉強になりました。

　もちろん、昨今のK-POPやAKB周辺の女性アイドル、ジャニーズ系もしっかりコーナー展開されているのでご安心を。但し、握手券など初回特典がないと、この手は途端に売上げが落ちるそうです。お店の活性化のためにも、レコード会社の方には、是非ともリアルショップ特典を充実させていただきたいところです。なんといっても、リアルショップは、スターの存在感をより強く見せうる格好の場なのですから。

昭和だけでなく、90年代デビューのアーティストも包括したちょっと懐かしいJ-POPコーナー。これなら、アーティストの現役感を保った紹介の仕方が出来ますね。ちなみに、音楽市場では万引き防止用の通常ケースが、おそらく全国一のサイズでそれが棚からはみ出ています（微笑）。

DVDもブルーレイも廉価盤セールを強化されているお店多いですが、音楽市場では、それをよりわかりやすく陳列していて、（私を含む）映像ソフト初心者でも思わず買いたくなるはず。

　次に、最新のシングル・チャートを見てみましょう。

　まず、全国チャートでは4位～5位が多い遊助が音楽市場では2位。アルバムでかりゆし58が3位だったり、声が爽快でHUN-KUNや九州男が好きな人ならハマりそうなハジ→が7位だったりするので、そういった“ヤンチャ”な男性ポップスが受けているようです。そして、全国的にもロングヒットですが、それ以上に売れまくっている3位の｢マル･マル･モリ･モリ!｣、10位のマツケン×仮面ライダーという驚異のコラボ作と、やっぱりキッズ・コーナーの充実がより大きなヒットに繋がっているようです。また、7位のSecretが新人ながら早くもTOP10入り、9位の少女時代は4月のシングルが4ヶ月間もロングヒットと、K-POPの女性陣が売れていて、こちらはDVD付が男性客に人気だとか。最後に、同店の林田弘平店長にオススメをご紹介いただきましょう。

　久保田利伸　『 Gold Skool 』

　前作『Timeless　Fly』での完全復活を経てのニューアルバムも、期待を裏切らないファンキー＆ソウルアルバムに！昨今のアーティストもので多い、“シングルをまとめただけのアルバム”とは一線を画し、従来のファンだけでなく新たに彼を知ったファンも楽しめる一枚になってます。また、EXILE ATSUSHIとのデュエット曲は、話題性だけでなく本当にイイ曲なんです！最近はイイ音がないなぁ～と思われる方に是非オススメしたい一枚ですね。

林田店長オススメの1作。熱がこもっています。「音量大丈夫ですヨ、内部問題で～」・・意味は通じますが、“内部問題”って語弊があるような（汗）。

こちらレジの様子。お辞儀なんて恐縮です!ただいま、夏の元気祭りも開催中♪ちなみに、早期予約だと別に11%のポイントという大盤振る舞い。書籍と兼用できるので使いやすいです。

　別のメールでは、星野源さんを推薦されていて、CDショップ大賞の過去の受賞作に近い作品を紹介されると思ったら、あまりに直球ポップスの作品が挙がってきました。でも、ここ数作の久保田さんは確かに、もう一度ヒット・シーンに返り咲こうとしているような、しかも、実力でJ-POPシーンを変えようとしている感じが作品から読み取れます。こういうヒットを増やすことこそ、お店の役割かもしれないですよね。またお邪魔させて下さ～い♪