第33回 シェトワ白揚AV館さん

 全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第33回は、いまじん白揚グループから三重県四日市市にあるシェトワ白揚AV館 Twitter@hakuyoav (さん、以下敬称を略します)をご紹介します。


おそらく2F(レンタル・コーナー)への階段から撮影して下さった全景の写真。CDの什器、上3段と下3段の角度が違うのも特長的!


絢香の復帰第1作のアルバム・コーナー。正方形の紙に1文字ずつ書かれたPOPは、自分でやってみると分るのですが、意外と時間がかかるんですよ。その根気もまとめて買いたいです!


YUKIの10周年ベストのコーナー。単にベスト盤だけじゃなく、オリジナルやDVD、更にはジュディマリのベストやトリビュート盤まで勢揃い。

 西野カナのブレイクですっかりメジャー化した三重県(だって、関西や東海では常識なのに、それまでの関東では三重?滋賀?それとも佐賀?どこ?みたいに混同している人が多かったのです。ちなみに関西では、群馬と栃木の区別がかなり際どいです)。しかし、県別で見たCDの売上シェアは、どの作品でも軒並み好調な地区なのです。それは、クルマ社会が発展しているからか、それとも県内でのカラオケ大会が多いからか、はたまた名古屋にも大阪にも抗わない(微笑)穏やかな県民性からか分かりませんが、確かにお店にいるお客さんの密度が総じて高め。鈴鹿市の「みどり楽器」なんて、いつ行っても店主とお客さんが「いや、この曲はここがこうで~」と歌謡談義をされているほどです。

 そんな県内CD販売の屋台骨になっているのが白揚で、特に全ジャンルの音楽が充実しているのが、こちらシェトワ白揚AV館です。ゲームやレンタル、しかもCDやDVDでも中古が併設されていますが、それでもちゃんと新品CDを買う魅力をそこかしこでアピールされていて、正直買う気になれます!

 まず、お店のメインでは、絢香とYUKIが置かれていますが、どちらも丁寧なPOP。特に、YUKIのコーナーは、ベスト→オリジナル、ベスト→DVD、ベスト→ジュディマリ、ベスト→ジュディマリ・トリビュートと、縦横無尽に“ついで買い”を想定されているのがお見事!まるで、渋谷乗換えで下北と中目黒と青山と三軒茶屋を網羅したような品揃え。そう、渋谷で下りる人は全員、渋谷の用事だけではないのです。


札幌在住のGalileo Galileiはじめロック系のオススメ・コーナー。深すぎず、それでいて決してヒットの上辺だけではないセレクトのバランスが絶妙。


K-POPコーナー。他店よりも男性をかなり攻めていますね。店内でダントツに、レコメンドの文字が細かい・・・さては、スタッフに熱烈なファンがいると見た!(笑)


上はグラミー賞関連作品、下は邦楽注目作品。個人的にはMetisのアルバムがちゃんと置かれていて嬉しい。これ“「人間失格」効果”を(メーカーが)もう少し平たく見せれば、もっと伸びると思います。

 また、ロック・コーナーもヒット・チャートだけでない、それでいて何の脈絡もない隠れた名盤が放置されている訳でもないセレクトで、この半歩先くらいがお店で買うメリットかな~と思います。K-POPも、飽和気味な女性ではなく、男性を詳しく紹介しているし(これはK-POPジャンキーの店員さんがいそう(微笑))、グラミー賞も関連作品をリンクさせて、そういう目利きのお客さんが好きそうなMetisやCOLTEMONIKHAも置かれているし、全体に様々な音楽との出会いの扉が用意されているようで嬉しくなります。ちなみに、写真にはありませんが、店員さんの制服も決して事務的ではなくパステル・タッチで、それも気さくな雰囲気を醸し出しているなぁと思いました。


床のふかふかな感からして、他の部分とちょっと雰囲気の違うクラジャズ・コーナー。でも、コーナーの入口はあくまでもお茶の間目線です♪


新譜コーナーから外れたけれど、まだまだロングヒット中という準新譜コーナー。ロングヒットを出すことこそリアルショップの強みですよね~。


まだチャートに入っているあの作品も、この作品も、ごっそり対象となっている20%OFFのコーナー。

 他に、私が気に入ったのはクラシック&ジャズ・コーナー。ここだけ木目調でちょっと高級感があるのですが、コーナーの入口には由紀さおりや辻井伸行など、お茶の間目線を大事にされています。でも、その奥には通好みのものも置くという、こちらも二段構え。他にも、新譜の他に準新譜を一堂に集めるとか、20%OFFコーナーに今でもオリコンTOP300内に入っているロングセラー作を結構な確率で入れるとか、そこかしこに工夫が垣間見えます。勿論、お客さんは「なんとなく、ここって良いなぁ」程度かもしれませんが、その積み重ねがお店の賑わいに繋がっているのでは、と思いました。

 次に、シングル・チャートを見てみます。

シェトワ白揚AV館 シングルTOP10(2012/1/25~1/31)
順位 作品名 アーティスト名
1 片想いFinally SKE48
2 グッドラック BUMP OF CHICKEN
3 KISS KISS キム・ヒョンジュン
4 戦姫絶唱シンフォギア
キャラクターソングシリーズ 1
ツヴァイウィング
(CV:水樹奈々、高山みなみ)
5 ナイショの話 ClariS
6 ひとつ 長渕剛
7 sign JUJU
8 片想い miwa
8 Where you are CNBLUE
10 イエス Acid Black Cherry

 1位は、いまじん白揚グループではどこでも桁外れに売れているSKE48ですが、他店と比べるとBUMP OF CHICKENがロングヒット傾向で、またアニメ関連がやや好調、あっ!1種類だけで発売している長渕剛もJUJUもTOP10入りしているので、ちゃんと曲の良さをアピールできている様子もうかがえます。

 ちなみに、品番別のランキングを見せていただいたところ(今回は作品ごとに合算して表示)、DVD付とCDのみの2種類あるものは、他店と比べるとDVD付きが意外と売れている印象を受けました。それは、DVD付きのポイント還元率がやや高めなことに加え、たとえそれ1つだけだとネット通販より高いとしても、他の商品が店内で20%off、ちょっと古いのは50%off、さらに廉価盤もあるので、トータルで買うとネット通販よりもお得という考えがお客さんにあるからかなぁとも推察しました(お客さまあたりの単価を上げるってとても大事)。勿論、そこに良い接客があれば鬼に金棒ですね!最後に、オススメ作品について、同店の副店長(CD担当)の森考平さんからコメントをいただきました。

The Mirraz /言いたいことはなくなった

 前作からわずか1年、ハイペースでのリリースをし続けるMirraz4枚目のアルバム。相変わらずのストレートなロックサウンドと熱い胸を打つ歌詞に心も身体も反応せずにはいられません!思わず走り出したくなったり、好きな人に告白したりなったり、とにかく何か行動したくなる。そんなアルバムです。オススメ曲②、③、④、⑦!


ヒット作品からオススメ作品まで網羅された試聴コーナー。45秒でははみ出してしまう魅力をじっくり堪能できます!


こちら演歌コーナー。時期によっては、県内のカラオケ大会とリンクした豊富なラインナップでお出迎え。


いわゆるナツメロを中心とした廉価盤コーナーは20%OFFでさらにお安く。「今だけ!」かどうかはさておき(笑)、お得に違いありません!

 The Mirrazは、確かに好きになり出したら「持っておきたい!」と思わせるバンドですよね!試聴コーナーでは、そんな作品が目白押しですし、また演歌コーナーも県内のカラオケ大会のチラシと、その課題作品のシングルを陳列(ついでにE-POPカバー『エンカのチカラ 最強Z』も置いておられました。)されていますし、ドライブ向けmix CDも実は豊富だったりします。1回では紹介しきれないほど、なんとフックの多いお店だこと!またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネットなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。私、普段はアンケート分析やヒット・チャートの解説などをしているせいか、面と向かって「私、マーケティングはキライです!」と言われることがたまにあります(苦笑)。そういう人に限ってTwitterやブログの意見をすべて鵜呑みにしていて、お店で「買う」と「買わない」の間にあるものを、ないがしろにしている気もしますが、まぁそういう風に誤解されることを励み(?)にしつつ、今日もお店周りに励みます。あっ、2月22日に、いかにも『金スマ』視聴者が買って下さるようなコンピレーション『LIGHTS OF LIFE~明日のために』が発売になります。ご参考までに♪