第34回 TSUTAYAすみや富士中央店さん

 全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第34回は静岡県富士市にあるTSUTAYAすみや富士中央店(さん、以下敬称を省略します)をご紹介します。


ずずずいーっと、CDコーナーが奥まで続きます。それぞれの棚に愛があるのは、すみや時代から。

 ご存知の方も多いと思いますが、かつて静岡県では、“東のすみや、西のイケヤ”と2つの老舗CDチェーン店が競い合っていました。そのどちらも音楽に愛情のあるスタッフが多く、静岡県には大量のCMスポットが投下されやすいことも相まって(一地方局と思われがちですが、実は人口は宮城や広島よりも多く、コスト・パフォーマンスが非常に良いのです)、どちらのお店も賑わっていました。その後CD不況が進み、イケヤは多角化経営を強化して存続したのに対し、すみやは会社としてはなくなってしまいました。しかし!「TSUTAYAすみや」として、そのブランドは継続し、そのDNAを受け継いだスタッフの方による元気なお店もあるのです。静岡市の中心街にある静岡本店は洋楽の紙ジャケの在庫が豊富だし、東静岡にある同流通どおり店もテーマに沿った大胆なコーナー展開が多いし、どちらも好きなんですが、今回はあえて中規模の富士市から元気なお店をご紹介します。

 富士市は紙の街でJR富士駅から道を歩けば、すぐ近くに製紙工場があり、駅前のメインストリートは昔懐かしい小さなお店が立ち並んでいて、CD店は本当にあるのだろうか・・・と不安になりますが、そこから歩いて20分(←普通歩かないって!)、市役所のある大通りに出ると、やってきました富士中央店!この周りは、洋服や外食の大手チェーン店がこぞって出店しています。そう書くと、郊外のお店だから単純に元気かと思われがちですが、実際は“すみやブランド”の良さが残った、きめ細やかなお店作りになっています。


今年の大賞だけでなく、歴代の受賞作品もしっかりと告知!


グラミー賞の棚は後方にもビッシリ!文字で説明があるのも初心者に親切です。


AIの移籍第1弾アルバム。黄色いシールは、お店で手渡しされるDVD特典の印ですね、きっと。宇多田ヒカルのベスト同様、EMIは、このやり方でうまく価格を維持していますね。(お店の味方!)

 まず、お店に入って気付くのがゲームも取り扱う便利な「TSUTAYA」にも関わらず、CDやDVDの比率が非常に高いこと。そして、今回のグラミー賞特集を見ても、単純に『グラミー・ノミニーズ』とアデルだけではなく、2012年の他の作品や過去の受賞作品まで置いてあって、音楽史全体への愛情を感じさせます。「演歌・歌謡曲」と「大人の邦楽(昭和のフォークやアイドルなど)」を区別して陳列されたのも、「ジャニーズコーナー」が出来たのもかなり早期だったと記憶しています。そういうお客様目線の配慮も、音楽を沢山聞いていらっしゃるからだろうな~と思いました。


DVDやブルーレイにもド派手な展開が多く見られます。『アンフェア』の応援ぶりからも注目作なのがよく分かりますね。


HI-STANDARDのコーナーや、その周りに見える「氷室の文字」「VAMPSの唇」など、そこかしこに目を奪われます。


DVDの注目作を、新作と廉価盤からチョイスしたコーナー。映画の歴史がちんぷんかんぷんな私には、とっても有難いです!


こちらの良いところはAKB偏重ではなく、他のアイドル・グループにも、そこそこ大きくスポットを当てているところ。これも勉強になります!

 また、DVDコーナーは新品の予約ポイントの多さも魅力ですが、旧譜のバーゲンセール(30~50%off)も掘り出し物多数。しかも、お得なだけじゃなく、オススメ作品のチョイスも絶妙で、その価格・質ともに満足いくものを目指しておられるんだなぁと感心します。上のDVDコーナー、どれも愛情がいっぱいだと思いませんか?ちなみに、静岡県のお店って、トイレが施錠されているお店が多いですが、ちゃんとスタッフの方に声をかければ使えますので、安心して好きな音楽や映像を探してみて下さい(微笑)。次に、アルバム・チャートを見てみます。

TSUTAYAすみや富士中央店 アルバムTOP10(2012/2/13~2/19) 
順位 作品名 アーティスト名
1 東京コレクション 東京事変
2 The beginning 絢香
3 チャットモンチー BEST~2005-2011~ チャットモンチー
4 21 アデル
5 BUTTERFLY L’Arc~en~Ciel
6 1969 由紀さおり&ピンク・マルティーニ
7 GO! GO! LGYankees!!! LGYankees
8 グラミー・ノミニーズ 2012 オムニバス
9 YOUR STORY DEEP
10 おるたな スピッツ

 一見すると普通のチャートに見えますが、絢香のようなスタンダードなポップスが発売2週目でも2位というのは、地域の幅広いリスナーに人気があるという証拠。また、由紀さおりと『グラミー・ノミニーズ 2012』もTOP10入りしており、世の話題性をしっかりフォローした展開が奏功。その一方で、LGYankeesが7位と、やはりクルマ社会での強さも垣間見えます。最後に、店長の岡本賢一(男闘呼組じゃないですよ)さんからオススメ作品についてコメントをいただきました。

ヴァン・ヘイレン 『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』

『1984』から28年ぶりのデイヴィット・リー・ロス復活作のオリジナルアルバム!!1995年の『グレイテスト・ヒッツ』でデイヴ復帰か!?と思いきや2曲だけで、もう無理なんではと諦めていたファンも多かった事でしょう。
先行シングル①を聴いて少しあった不安も吹き飛びました。エディのギタープレイにデイヴのヴォーカル、往年のファンはもちろん若いROCKファンにも是非、聞いてもらいたい。そして祈る、来日!!


こちら岡本店長オススメのヴァン・ヘイレン。上のコメントが素敵なので、握りしめたペンが折れるほどの熱いコメントも書いていただきたいですねぇ~。


こちらK-POPコーナー。ここと、ヒップホップ・コーナーは、TSUTAYA全店共通のカラーが反映されていますね。


演歌コーナーは、上段のカラー写真が良い味を出してます。ハレーションを起こしているのは、おそらく天童よしみちゃんのオーラでしょう!

 ヴァン・ヘイレンのご推薦、来ました!全国的に1週目にドカーンと売れたのは、きっと岡本店長のような熱いスタッフが沢山いらっしゃったからでしょうね。そういった情熱が、しっかり伝えられるのがお店の良さだと思います。また、コンピューターで検索して大量に出たデータは受け流しがちだけど(これもデータベースを完備された方が凄いですけどね)、人に尋ねてみて自分にカスタマイズされたデータが出てきた時はなんだか感激してしまいます。商品知識もお店のレイアウトも一朝一夕ではないのだな~(じーん)。またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネットなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
 最近、“遅ればせながら、浪花の放送禁止ブルース・シンガー”こと小林万里子の『朝起きたら・・・』を買いました。私は、つボイノリオも宮崎吐夢も面影ラッキーホールも好きだし、「ブツブツとハゲのブルース」(←誰のことか分かりますね)、「朝起きたら・・・」あたりは面白いんだけど・・・、虐待とか性犯罪とか聞いているのが辛くて飛ばしてしまいました。やっぱり私はまだまだ甘い人生を送っていますね。でも、そんな人にオススメなのが、そっと“心のともしび”となるようなコンピレーションCD『LIGTHS OF LIFE~明日のために』(笑)。以上、「結局は宣伝かい!」のコーナーでした♪