第35回 フタバ図書TERA福岡東店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第35回は福岡県糟屋郡粕屋町にあるフタバ図書TERA福岡東店(さん、以下敬称を省略します)をご紹介します。


パノラマで撮っていただいたお店正面。ハリウッド映画に出てきそうなスケール感!


見よ、この眩しい全景!これを見るだけでも元気になれます!


おそらく日本一細かくCDショップ大賞の入賞作品を陳列されています。あー、行ってみたい!!

 サーバーがダウンしてしまうほどCDショップ大賞が大きく盛り上がった本サイトの前回連載から3週間も空いてしまい申し訳ございません。実は、事前に4軒にお願いしたのですが、いずれも人事異動などでキャンセルが入りまして、執筆できずにおりました。中には、「そんなミーハーな連載お断りです!」なんて門前払いもありました(泣)。もし、是非うちの店もご紹介ください!とおっしゃる方はこちらまでご一報ください。きっとお店のプラスになりますので♪

 さて、そんな切羽詰まった状況の中、フタバ図書GIGA天神の元・店長(昨年10月にいったん閉店しましたが、現在再生準備中とのことです)の大畑亨さんにお願いしたところ、ご紹介いただいたのが、今回のTERA福岡東店です。実は、私、ここ・・・行ったことがないのです。フライトの時間にギリギリ間に合いそうになかったのと、“TERAは、巨大モールで順当にバカ売れしているだろうし・・・”と見学の優先順位を下げていました。しかし、お店の画像を拝見したところ、そこには愛が溢れんばかりの状況でした。(大畑先生、ごめんなさい!) このCDショップ大賞のPOPも、きっと全国一クラスの応援ぶりだと思います。もう、これを見るだけで胸が震えそう!!


Hostessだけで、こんなにコーナー展開してしまう素晴らしさ!それにしても、「フタバでホステス祭りやってるよ!」なんて音楽ファン以外とは話せないですね(笑)。


↑Hostessの説明文、拡大させていただきました!試験に出そうなほどの名文(メモメモ)。


洋楽の紙ジャケを並べるだけでなく、どこから入門すればよいか書かれていて、これまたナイス!


輸入盤コーナー。年代を区切るって大正解ですね!上手いなぁ。

 そして、“Hostess祭り”と名付けたこのコーナー。そう!これは、まぎれもなくGIGA天神のDNAを受け継いでいます。ネットカフェやレンタルCDが超充実している繁華街のお店なのに、セルCDも洋楽邦楽問わずブレイク・アーティストに目を向けていたGIGA天神。私が昨年訪れた時も、同社のアークティック・モンキーズが、長期にわたって展開されていました。“中州とかでお酒をついでくれるお姉さん”なんてベタなギャグから入る説明文もナイスです。そして、紙ジャケや輸入盤への熱い想いもそのまんま。輸入盤は雑然とした中で探しまくるのが醍醐味だ、という考えもあるかもしれませんが、ショッピングモール内の幅広いお客様には、こちらの方が親切ですよね。


ビジュアル系コーナーは、スタッフに好きな人がいるかどうかで充実ぶりが大きく分かりますね。これは間違いなく好例の一つ。


こちらK-POP専用の試聴コーナー。棚の色合いもオシャレですね♪


ディスプレイコンテストの盾。ファンの方は見に行かないと!


岡村靖幸の再発コーナー!文字も踊っています♪


『エンカのチカラ』を気遣って置いて下さっているのは置いといて(笑)、ブレイク前の若手もしっかり応援されていて、しかもアルバムも充実しています!

 そして、モール内のお店らしからぬ特長が、ビジュアル系、K-POP、邦楽紙ジャケ、邦画DVD、演歌など数々の偏愛(微笑)コーナー。確か、GIGAは演歌に注力されていなかったように思いますが、こちらは逆に松原健之や三山ひろしなどの若手勢から、ミカチュウこと三門忠司や冠Revolutionこと冠二郎アニキなどの団塊オヤジまで、幅広く網羅。
 
 
 考えてみれば、巨大モールのお店のスタッフの方って、時としてその立地の良さばかりが評価されがちで、80点は取りやすいかもしれませんが、100点ってなかなか取れないと思うんですよね。その為か、一部の大型店の店員は、どうせ100点なんか取れないやと、努力を怠っていたり、あるいは自分の能力とお店の好条件を勘違いして80点で悦に浸っていたり、正直言ってこんな人は普通のお店では使いものにならないな、なんて人も見かけます。

 そんな中で、こちらのお店は、それぞれのジャンルに強いスタッフさんが頑張っておられて、見ていて気持ちが良いです。ちなみに、フタバ図書の多い広島県と福岡県って比較的ネット通販率が低いのです。それは、「ネットで買うのはどうも好かんばい(←方言は適当(笑))」という人が多いこと(?)や、クルマ社会の発達もありそうですが、逆にフタバ図書の充実ぶりこそが、そのネットへの流出を食い止めているのかもしれないな~、なんて現場を見てひしひしと感じました。

 次に、アルバム・チャートを見てみます。

フタバ図書 TERA福岡東店 アルバムTOP10 (2012/3/21)
順位 作品名 アーティスト名
1 Party Queen 浜崎あゆみ
2 2012 Acid Black Cherry
3 COVERS BENI
4 Naturally 清水翔太
5 サクソビーツ アレクサンドラ・スタン
6 トマホーク・テクニーク ショーン・ポール
7 NEWTRAL いきものがかり
8 guitarium miwa
9 BEST~2008-2011 in KOREA 2PM
10 21 アデル

 この週のオリコン決戦で大きな話題となっている“浜崎あゆみVS Acid Black Cherry”ですが、ここでは浜崎が1位です(特に、関西のお店ではかなり逆転現象が起きています)。他にも、BENIが3位、アレクサンドラ・スタンが5位と女性ボーカルが強め。今年は、女性ソロの巻き返しが目立つので、それが端的に現れていますね。9位の2PMはK-POPの集中展開、10位のアデルは“Hostess祭”がそれぞれ奏功している模様。やっぱり、お店でどれだけプッシュできるかが大事ですよね。最後に、同社福岡地区スーパーバイザーでいらっしゃる大畑亨さんからオススメ作品についてコメントをいただきました。

東京女子流 / 『Limited addiction』

 昨今のブーム、ずっと客観的に観てきたつもりなのですが、先日ももいろクローバーZのツアーに仕事(即売)で出かけたときにつくづく流れが変わってきたんだなと痛感し、さらに先日のCDショップ大賞の現場で間近で彼女たちとショップの人たちとの思うところがリンクしてる瞬間を感じることが出来たのは大きかったです。間違いなくその文脈(CDショップが売りたい)から流れ着くのは東京女子流。

 頭ひとつ抜きん出ていることをこの新作で証明してくれました。内容については語りません。ただ、間違いなくうるさい音楽ファンをも唸らせる傑作であります。


各定価のコーナーも大きいが、こちらセール・コーナーも巨大!また、「店内奥にK-POPコーナーございます!!」も親切。「!!」の「!」2つにも懸命さが滲んでいます。


日活映画だけで充実したコーナーがあるお店、初めて見たかも。こうして邦画だけ並べると、独特な分陰があって良いですね。


アンパンマンとバイキンマンが巨大なファミリーコーナー。思わず子供たちが駆け寄りそうです。


九州新幹線全線開業時、そのキモカワぶりが話題となった「くまモン」。真夜中に売れ残ったくまモンたちが、ブーたれて店内で暴れ出します(想像)。

 女性ソロが熱いのと同時に、ももクロなど楽曲の魅力で差別化を図る女性アイドルグループも進んでいますが、ももクロの次に来るのでは?と言われている東京女子流。数多くの楽曲を毎月聞いて地区全体にアドバイスされている大畑さんのお墨付きとなれば、彼女たちもチェックしておいた方が良いはず。
それにしても、お店の写真を眺めていると、やっぱり仕事をしながら、勉強も継続すべきなんだなぁってあらためて思います。でも、CDショップって好きで始めたはずですし、他業種の方々より楽しみながらの勉強だし、これってラッキーだと思うべきですよね。そんな原点を教えていただきました。今度こそお邪魔させて下さ~い♪

 

 

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネットなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
 3月28日に、企画・監修・解説をした早見優の30周年2枚組ベスト『Thank YU~30th Anniversary Single Best』が出ます。2枚組では、初めてのコンプリートシングル集なので、基本在庫商品としてどうぞ♪それにしても、私が復刻に深く関わった元アイドルさんは、岩崎宏美、河合奈保子、早見優と、いずれも歌の上手いアイドルが多いのですが、共通点として女性3人組のEVEのコーラスが、恐ろしく吼えまくっているのが共通点でした。それは、「アイドルと思ってナメたらあかんでぇぇぇぇ!」と歌手とコーラスが一体となって主張しているようで、なかなか興味深いです。EVEのゴルベス&コーラス参加曲コンピ作りたいなぁ~。