第45回 タワーレコード新潟店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第45回は、新潟市江南区にあるタワーレコード新潟店 (さん、以下敬称を省略し、愛情をこめて「タワレコ」と呼ばせていただきます)をご紹介します。

 連載45回目にしてタワレコ初登場!いえ、タワレコが元気じゃないわけなどないのですが、連載初期から取り上げたとて、「元気なタワレコって、そんなの猿でも知ってるよ!」とか読者から言われるのではと怯えたり、その前にローカル店で面白そうな所を全国的に紹介したいと思ったりで、なんとなく2年が過ぎてしまいました、ごめんなさい。

 でも、リスナーの方のみならず、業界内でも、タワレコの渋谷店と新宿店と、あとは自分の通勤圏内だけチェックして終わり、みたいな人も多いかと思い、実際はタワレコ店舗ごとの個性もあることをお知らせできればと思い直し、今回ご紹介するに至りました。

 こちら新潟店は、新潟駅から南へ4kmくらい、例のごとく自転車(市のレンタサイクルは3時間までなら100円と激安!)だと20分ほど走ったイオンモール新潟南にあります。この5年間で、ラフォーレや三越のある古くからの繁華街にはCDショップが殆どなくなっていて、その代わりに、駅の南側全体にショッピングセンターが沢山出来て、ここタワレコ新潟店も午前中から人が賑わっていました。


新潟と言えばNegicco!リリースがあろうとなかろうと、一番推しです!


他にも、新潟コーナーはアクの強いアーティストが勢揃い!


新潟名物フェスの“音楽と髭達”を協力プッシュしたコーナー。この人選も、このコーナー展開もすっごくハートフル♪


EXIT TUNESシリーズも、このようにスターな展開。

 こちらのお店を訪れて数分で感じたのが「とにかく分かりやすい!」ということ。それは、コアなリスナー向けの「パンク」「ヒップホップ」「レゲエ」、さらに一般向けの「地元アーティスト」「大人のJポップ」「泣け歌ミックス」「キッズ」など各コーナーを愛情をもって展開されているのが見て取れたからなんです。それでいて、ワンフロアで全体を一望できるほどよい広さなので、すごく探しやすいのです。新潟といえば、「こんにちねぎねぎ~」の挨拶で東京でも注目を集め始めたNegiccoが、ここでは既にハロプロ級のVIP扱いで、他にも地元アーティストや、人気の夏フェス『音楽と髭達』のコーナーも、応援体制がバッチリ。また、地方シェアの高いEXIT TUNESのコーナーも、かなり充実していて、タワレコらしさを保ちつつ、新潟にカスタマイズされているのが、逐一素晴らしいな~と勝手にニヤニヤしてしまいました(笑)。


グッズもCDも置いてある夏フェス・コーナー。


輸入盤セールもあるし夏フェスで財布が枯渇したロック・ファンもこれでひと安心(?)。


洋楽も、ロックもポップスもヒップホップもバランスがとれていて親切丁寧です♪


専門店のような作りのJ-PUNKコーナー。これ以外もレコメンドがズラリとあります!


“カタログ・コレクター御用達”と書かれたら、これも覗かずにいられません!

 勿論、ロック系もかなりの充実!特に、驚いたのがJ-PUNKコーナーやHR/HMコーナー、ビジュアルコーナーで、まるで西新宿の小さな専門店が集って、幅2mずつスペースを借り、レコメンドを書いたり、LIVEやCDリリースの予定を告知したりしているのではないかと、錯覚するほど凄いことになっています。お店のスタッフの方が全員、音楽が好きそうなオーラを放ちまくっているので、時には火花を散らしながら(?)、しのぎを削るようにこのような熱いコーナーを作っているように思えました。

 そして、昨今のタワレコで外せないのが、嶺脇育夫社長の激愛っぷりも名物となっている女性アイドル!ももいろクローバーZは、ここでも大フィーバーです。POPに“世界のももクロNo.1!!”と書かれていることから、お店に“モノノフ”がいると確信!彼女達のLIVEのゲスト出演歴のある松崎しげる「愛のメモリー」14曲収録のメガ盛りシングルが大量に面陳されていたのも、ももクロからの流れでしょうか。とにかく、逐一楽しくて、ホントに常連になりたい気分です!次に、アルバム・ランキングを見てみます。




連載でも常連化してきた「ももいろクローバーZ」コーナー。1作ごとの特長がきめ細かく解説されていて、後追いファンにも親切♪


これは全店で展開されているNEXT BREAKERSコーナーですが、ここもCDショップ大賞ファンにはたまらない人選!


スマホでも大人気のなめこちゃんをキモ可愛く増殖させていてツボ!

タワーレコード新潟店アルバムTOP10 (2012/7/23~7/29)
順位 作品名 アーティスト名
1 I LOVE YOU -now&forever- 桑田佳祐
2 Sexy, Free & Single : Super Junior Vol.6 SUPER JUNIOR
3 ENTERTAINMENT SEKAI NO OWARI
4 MASH UP THE WORLD MAN WITH A MISSION
5 Days Go By オフスプリング
6 ビリーヴ シェネル
7 Midnight Sun : BEAST 5th Mini Album BEAST
8 Living Things リンキン・パーク
9 Antennas To Hell スリップノット
10 Wild Ones フロー・ライダー

 さすがのタワー、こんな総合店でありながら我が道を行くチャートとなっています。2位と5位に、昇り竜の男性K-POPの韓国盤があったり、MAN WITH A MISSIONがSEKAI NO OWARI並みにメガヒット化していたり、シェネルよりもオフスプリングが上位だったり、何かと特徴的。チャートを見ただけでも、「この店、こだわり強そう。行ってみてぇ~!!」と思わせます。ちなみに、10位にフロー・ライダー、邦題は『俺たちワイルド・ワンズ』で、ワーナー石坂会長の影を感じているのは私だけじゃないはず。

 最後に、同店のJ-POP担当、星野雄太さんに、お店のイチオシ作品についてコメントをいただきました。

Various Artists/BRAT PACK 2012

注目の若手ラウドロック系バンドを集めたコンピレーションアルバム。その冒頭の1曲目を飾るのが、地元新潟出身の5ピース・バンドa crowd of rebellionです。a crowd of rebellionが今年2月にリリースした1stミニアルバム「hydrangea」は、リリース当初、当店でパレット展開を行い、非常に好調な売行きとなりました。

そんな同バンドが、このコンピでは新曲で参加しており、その点でもこのコンピが多くのお客様に注目を集めています。a crowd of rebellionは今後注目のスクリーモバンドであり、タワレコ新潟店では今後もプッシュしていきます!


こちらが8月現在の『BRAT PACK 2012』の展開状況です!



モール内のCDショップとなれば、KIDSコーナーが充実!特に、ドラえもんで「120分以上収録」なんて視点は、コスパにうるさい奥様方もイチコロ!よっ、商売上手!


入口ほど近くにある(これ、重要!)大人のJ-POPコーナー。矢沢永吉、中森明菜、T-BOLANとオールジャンル体制が嬉しい。演歌も、オトナも充実してるから、きっと『エンカのチカラ』も展開次第で売れると思うな~。(ニヤリ)


知識だけじゃなく、お値段でも対抗の映像コーナー。予約、予約~!

 これは私の記憶なんですが、商品の搬入や陳列時にお客様の妨げになりそうな時、「すみません、そこ、ちょっとどいて下さい」を「いらっしゃいませ~」に言いかえたのって、タワレコが最初だと思うんですよね。あと、モール内のタワレコ・スタッフは、音楽好きなのに、例えば他テナントのスタッフと比べても、ちょっとおとなしめの服装な感じがして、こういうのも含め、実は見えない所で、音楽的なおもてなしの心が行き届いているのでは?と勝手に妄想しています。一社会人としても、一音楽リスナーとしても、とっても勉強になります!またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
タワーレコードと言えば、その那覇店で猛プッシュされている男性2人組のGOLD RUSHが9月にメジャー・デビューしますね。そのデビュー曲「宝物」が、音楽にうるさい人にも音楽にさほど興味のない人にも刺さるようなこの絶妙なサジ加減、上手いなぁ~と思ったら、亀田誠治プロデュース、レコード会社はユニバーサル・シグマ、事務所はアミューズ・グループのA-Sketchと、これまた(良い意味で)コアとライトを繋ぎたがる人達ばかり!これは、インストアやっても、試聴機つけても売り伸びるタイプなので、皆さん要チェックですね♪