全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第50回は、徳島県徳島市の平惣(ひらそう)レコード徳島店 さんをご紹介します。
第1回から2年が経過して、なんと連載50回を迎えることが出来ました~!!当初は、「えっ?もう(ショップは)無くなるんじゃないの??」とか「音楽ソムリエって言われても・・・自分でネット検索すれば済むし」とか、業界内からもあれこれご鞭撻(苦笑)いただいていただけに、今回は他の執筆以上に嬉しいです!これも、快く毎回資料を送って下さる全国のショップの店員の皆様とリスナーの皆様のお蔭でございます。この場を借りて御礼申し上げます。
ということで、初心を思い出して、第1回の「アワレコ」こと「ディスクステーションAWA」と同じく、今回は徳島県のお店です。平惣は、創業者が平野惣吉さんだそうで、徳島市や阿南市、小松島市などで本やゲームの販売およびCDレンタルもされていますが、こちら平惣レコードは音楽&映像ソフトの販売のみ。大型車が大量に行き来して、いかにも大型複合店がありそうな国道55号線沿いながら、その一途さにまず感心します。(ちなみに、お隣の別館では書籍が販売されています。)
こちら邦楽旧譜コーナー。しかし、この中で特集されているのが↓という振り切り方が見事。
70年代の名盤を復刻したベルウッドレコード・コーナー。はっぴいえんど周りだけじゃなく、全タイトルあるのも圧巻!
2Fの洋楽コーナー。連載にはあまり登場しない床の模様が分かる1枚ですが、こういう所にもカルチャーの匂いがするのって大事ですね♪
KISSやエリック・マーティンが、GREEN DAY並みにデカデカとしているのもお見事。
UM社やWM社がお得意(?)の二重価格商法ですが、確かにこのラインナップで999円は安い!CCCの999円シリーズの邦楽って、選曲がかなり変わっているのが多いですが(優劣ではなく)、こちらは、かなり分かりやすいと思います。
こちら2F建てになっていて、1Fは注目作全般と邦楽、2Fは洋楽、クラシック、ジャズと分かれているのですが、私がこちらを見て一番に印象に残ったのが、とにかく「カタログ好き」ということ。1Fのベルウッドレコーズの棚とか、洋楽の廉価盤とか、ジャズ&クラシックとか、とにかく揃えたい感じがありあり。私がお邪魔した時も、洋楽の紙ジャケ復刻盤が「これでもか!」というほど展開されておりました。
クラシック&ジャズも、四国トップクラスの充実ぶり。面陳も綺麗です。
こちらクラジャズの新譜や廉価盤のコーナー。ライトなファンはこちらから。
四国で唯一のMEG-CD取扱店。これがあると、演歌やアイドル歌謡に理解あるお店というカラーが出て良いですね♪
また、アイドルやK-POPコーナーも当然ながらありますが、大人のリスナーを大切にしている印象があります。それは、他店に比べ、洋楽やジャズの比率が多いからかもしれません。郊外型のお店って、ミックスCDや無名のアーティストによるカバーCDが大量に置いてあって、それはそれで新しいヒット現象を作っていて見事なんですが、継続的に活動できる“アーティスト”を育てるぞ!という意志も感じられると、さらにハートフルなお店になるんじゃないかって思うんですよね。実際に、こちらのお店のランキングからも、その雰囲気が漂っていると思います。次の、アルバムTOP10をご覧ください♪
ポスターはデスメタル調ですが、置いてあるのは幅広いジャンルの自主制作音源コーナー。県人愛に溢れています。
2Fにある、「DVDどれでも3枚3000円」コーナー。この2年間で、この「どれ3」コーナーは全国的に拡充されていて、実際に映像ソフト市場は(アイドルの複数買いに依存せず)躍進中です。ここから音楽系も学ぶことがありそう。
八代亜紀の『夜のアルバム』と、彼女が「いとしのエリー」や「リバーサイドホテル」で参加した演歌歌手によるJ-POPカバー・コンピ『エンカのチカラ』 そして、髙橋真梨子の洋楽カバー、ビージー・アデールなどなど、クロス・オーバー系満載です!
この新譜案内コーナー、インパクトありまくり!ポイントのインフレ(?)も魅力的です。
順位 | 作品名 | アーティスト名 |
---|---|---|
1 | OPUS ALL TIME BEST 1975-2012 | 山下達郎 |
2 | 変身 | チャットモンチー |
3 | Force | Superfly |
4 | キス | カーリー・レイ・ジェプセン |
5 | ALL SINGLES BEST 2 | コブクロ |
6 | DEAR ROCKERS | SNAKE ON THE BEACH |
7 | トゥルース・アバウト・ラブ | P!NK |
8 | 熱力学第二法則 | ミューズ ザ・セカンド・ロウ |
9 | J-POP IN JAZZ | ビージー・アデール マイ・ピアノ・カヴァーズ |
10 | 夜のアルバム | 八代亜紀 |
同店の新田篤史さんからは「面白味のないランキングですみません・・・」とコメントいただきましたが、チャットも高いし、ロック熱からかSNAKE ON THE BEACHも高いし(普通、バンドから飛び出したコラボ作やソロ作は売り上げがガクンと下がるのに大健闘)、店頭展開が積極的なビージー・アデールや八代亜紀がTOP10入りしていて、全体に大人のグッド・ミュージック色が漂っています!洋楽、邦楽のバランスも良いですね。最後に、新田さんにオススメ作品のコメントをいただきました。
チャットモンチー 『変身』
メンバー脱退後、2人体制として初となるオリジナルアルバム。『変身』というタイトルにこれからを見据えた強い意志を感じるが気負い過ぎる事なくチャットモンチーらしい作品で、2人になった事で今まで以上に純粋に音楽と向かい合い楽しんだんだろうなぁと思ってしまう程に暴れまわるポップでエモーショナルな楽曲が満載。彼女達の進化し続ける才能と音楽への愛が溢れる最高の1枚。
2人組となってますます元気なチャットモンチー。「応援しよるけんな!徳島出身アーティスト」や熱いコメントに本気の応援を感じます!!
キッズコーナーはぬいぐるみだらけ!アンパンマンが棚を妨害(?)していたり、クマがポスターの上に顔をのぞかせていたり、愛嬌抜群♪
そして、こちらも本連載のほぼ常連、ももクロ・コーナー。このポスター、ピンクの下地に、文字を見やすくした完全手作り仕様!!なんかウルウルきますね。
出ました、チャットモンチー!もう十分ブレイクしているけれど、こうやって今でも応援してくれていると、アーティストもチャットのファンも嬉しいでしょう。第二章の幕開けとなる本作をこんなに本気で応援してくれていると尚更に!ほかにも、自主制作音源の委託販売やイベントの後援(最近では『徳島ロックストリート』)もなさっているそうで、こういう音楽愛に溢れている所にいると、心まで洗われていくような気がします。最後に紹介しているももいろクローバーZのPOP、このデザイン構想と実施にどれだけの労力と時間がかかったかを考えれば、自ずと愛が滲んできますよね!またお邪魔させて下さ~い♪
11/2売りの日経エンタテインメント!12月号の第二特集は“アイドルやK-POPに頼らない音楽”がテーマです!miwa、SEKAI NO OWARI、MAN WITH A MISSION、家入レオについての記述、アイドル以外にも積極的なビクターエンタテインメントとタワーレコードの両社長インタビュー、そして“もうすぐトップテン”の15アーティストの名鑑など、イマドキ珍しい内容になっていますので、是非ともご覧になって下さい。みんなで、「音楽ゆえに売れるヒット曲/ヒット・アーティスト」を育てたいですね♪