第67回 宮田レコード本店さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第67回は、東京都台東区にある宮田レコード本店さん(以下、敬称略。)をご紹介します!(ちなみに、新仲見世商店街には支店の新仲店 もあります。)

入口
こちら、宮田レコードの入口で、壁一面に最新作のポスターが貼られています。ちなみに、新宿から自転車で35分かけてお邪魔しましたが、写真の自転車は私の愛車ではありません。(私のは新聞配達も出来そうなカコが付いています(笑)。)

正面1
華やかな演歌歌手の中に、サザンの再始動ポスターが!!確かに、どんなファンにも人気なのがサザンですね!!

大御所ポスター
新人さんだけでなく、ヒット確約されたスターたちも個人名でサインポスターを謹呈。それだけ宮田レコードを重視しているのでしょうね。

さてさて、宮田レコードは浅草の雷門から徒歩5分ほどの一方通行道路に面していて、さらに入口の壁一面に演歌歌手の皆様の直筆サイン入りポスターもあり、もう見るからに“演歌中心の人気店”という様相です。しかし、いざ足を踏み入れてみると、そんな簡単な言葉で表せないほど、ミラクルな品揃えにあれこれ驚くことばかりなのです!

まず、演歌の品揃えが豊富なのですが、ただ単に品揃えが良いだけじゃなく、例えばシングルのB面曲を尋ねる人とか、うろ覚えのタイトルやサビをフフフーンと口ずさんで「この曲が欲しい」とダダをこねる人とか、さらには出身県と性別と洋装か和装かくらいしか特徴を覚えていない人とか(クイズかよ??(笑))、ご高齢を中心としたお客様から様々な難問が飛び交うのですが、それをスタッフの方々が言い当てて、「こちらですね」とただ親切に商品をお持ちになることが非常に多いのです。もし私ならば、その難問が分かった途端、ニヤニヤしながらドヤ顔で答えそうなところ、実に冷静な裁きぶりで、その様子はまるで古典芸能を見ているようでした。

壁右手
入口右手の壁一面が、演歌シングル・コレクションとなっていて華やか!その上には、サブちゃんやひばりさんの歴史的なパネルも飾ってあります。

カセット色紙

カセット棚
反対側の壁には、カセットテープや各歌手のサイン色紙がズラリ!演歌の方たちはみんな地道ですね~。握手会目当てで、一人に何十枚買わせる人たちとは大違い。無造作に積まれたポスターにも歴史有り。
落語1

落語2
落語は、思わず大人買いしてしまいそうなほどレーベル別、演者別で綺麗に並んでいます♪

そして、古典芸能と言えば、こちらのお店、純邦楽の在庫数もおそらく割合で言えば全国一!!(私調べ) 三代目“J Soul”宮田レコード店主の宮田安雄さんによると、常連さんの7割が日本舞踊や、演歌・歌謡曲で踊る新舞踊の家元やお弟子さん、並びに大衆演劇の役者さんたちということもあり、民謡、長唄、清元、端唄に小唄と(私が)生まれて初めて見たようなCDやカセット、ビデオテープがズラリ!しかも、私が不勉強で知らない歌い手が多いと思いきや、実際に有名・無名を問わず取り揃えているそうで、やはりスタッフのソムリエぶりと痒い所に手の届く品揃えのWパンチで、こちらのお店を信頼し、常連になるお客様が多いのだと実感しました。私が何回目かにお邪魔した時は、「今のオススメある?」なんて質問だけで買っていかれるお客様にも遭遇して、これは凄いな~、まさにミュージック・ソムリエ!!といたく感動いたしました。次に、シングルチャートを見てみます。

踊りVHS

踊りカセット
こちらでヒットしている『踊りの手ほどき』シリーズの(ブルーレイやDVDではなく)VHSや、(CDではなく)カセットテープ!確かに、こちらのほうがお師匠さん達も操作が簡単かもしれません。

長唄

清元
ワタクシ、「小唄」「長唄」「清元」というジャンルでのCD(&テープ)ショップのインデックスは、初めて見ました!こういう所からもお店の緻密な対応がうかがえます♪

宮田レコード本店 シングルTOP10 (2013/7/22~7/28)
順位 作品名 アーティスト名
1 南部蝉しぐれ 福田こうへい
2 島津亜矢
3 酒ごころ キム・ヨンジャ
4 酒の河 香西かおり
5 いのちの海峡 大月みやこ
6 ふるさとは今もかわらず 新沼謙治
7 男の意地 池田輝郎
8 雨の函館 角川博
9 黒髪しぐれ 鏡五郎
10 東京スカイツリー音頭 相原ひろこ

これを見ると、オリコンの総合チャートから演歌・歌謡曲だけをほぼ抜いたランキングになっていますが、カラオケ上級者にファンの多い島津亜矢が2位、演歌ファン以外にも感動が広がっている新沼謙治が6位、そして地元&夏ということで、2年前に発売されたザ・便乗商品(笑、でも舞踊家としては第一人者だそうです)の「東京スカイツリー音頭」が10位と、それぞれこちらのお店らしさが出ています。ちなみに、店主によると9位の鏡五郎の「黒髪しぐれ」は踊り向きとしても人気で、踊りともリンクしている音楽って若者向けだけじゃなく、和モノでもあるんだなぁと勉強になりました。

最後に、店主の宮田安雄さんよりオススメ作品をご紹介していただきました。

小田純平 『.R.O.O.T.S.』

8月7日にニューシングル『優しい嘘』を発売する小田純平。その小田純平を知ることが出来るアルバムです。まず何より印象に残るのはその歌声。素晴らしいの一言です。そして、40代、50代の人達にとっては等身大の曲、飾らず気取らずありのままって感じです。演歌を聴く、歌うにはまだ少し抵抗があると言う年代の人達にぜひ聴いて欲しいアルバムです。まさに大人の男のアルバム。聴いたらハマリます。

お店中央
右の壁が演歌シングル、左の壁が演歌カセット、正面の壁が懐メロ洋楽邦楽&演歌アルバムで、中央部に謙虚に(微笑)置かれているのがJ-POP。しかし、ここでも大人向けのグッド・ミュージックは網羅されています!

ゴルベスも
おそらく各タイトルの出荷数300枚以下(爆)と思われるCDが、こちらではワンサカ。演歌のみならずアイドル歌謡にも精通されています♪

小田純平!歌謡曲系で良い曲があるなぁ~と思った際に、このお名前を見ることが度々あって気になっていたのですが、公式サイト経由で動画を見てみたら、確かに谷村新司とか堀内孝雄とかのファンにも響きそうな良い声ですね。これは、またこっそり買いに行かなくては!

そういえば、こちらのCDの棚を拝見して、「あれ、この商品どこにも見かけないし、廃盤じゃないの??」と思うものを結構見かけたのです。それについては、「廃盤の一部は、あえてメーカーに返さないで残しておくこともあります」とお答えくださって、やっぱり!!と驚き、ここでもソムリエの裏技を教えていただきました。メーカーからのポスター貼付(一部は無理矢理なお願いもあることでしょう)も受け入れつつ、お客様のカルトなニーズにも親切に対応するという、個人店の生き残る道を教えて下さっている気がします。今回も大変勉強になりました。またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、OKMusicなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
9月18日に、私らしからぬカップル向けの企画CD『大切な人と聴きたい15のラブソング』なんてコンピレーションが発売になります。GReeeeN「キセキ」、TEE「ベイビー・アイラブユー」、シェネル「ビリーヴ」、JUJU「やさしさで溢れるように」、ナオト・インティライミ「タカラモノ~この声がなくなるまで~」、BENI「歌うたいのバラッド」、C&K「ぼくのとなりにいてくれませんか?」、ウルフルズ「バンザイ~好きでよかった」、Kiroro「未来へ」、槇原敬之「僕が一番欲しかったもの」、DREAMS COME TRUE「未来予想図Ⅱ ~VERSION ‘07~」 などなど、今回よく収録OKにしてくれたな~と我ながら驚いています。結婚式でよくかかるものも多いですが、既に結婚している方も、結婚に関心がない方にも人気楽曲が多いので、仕入れの参考にしていただければ嬉しいで~す♪