第70回マイナー堂さん

全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第70回は、東京都青梅市のマイナー堂さん(以下、敬称略。Facebookは、minordoo)をご紹介します。今回は第70回記念でいつもより倍の長さになっています~。

マイナー堂は奥多摩の玄関口、青梅駅を下りて徒歩5分くらいのところにあるお店ですが、こちらなんと今年で創業60年!!!(創業日は1953年5月5日)、人間で言ったら赤いチャンチャンコなお店です。実は、ずっと前から、“マイナー堂”という店名が気になっていたのです。「これは、大阪によくある“日本一マズイお好み焼き屋”的なノリで“うちは、マイナーな音楽しか扱いまへんで!”というお店なのかな。。。」と。しかし、実際は、創業者である先代が、ハーモニカの名手でマイナー調の楽曲を好んで吹いておられたことからこの名前になったそうです。確かに、メジャーとかマイナーとか一般的に言われたのはこの十数年ですもんね、失礼しました(汗)。でも、そんなインパクトあるお名前に、ちっとも負けていないのが店内とスタッフの方々なのです!

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こちらマイナー堂の昼の顔です。古き名画が描かれた看板と、「演歌力」の看板の華麗なるコラボレーションをお楽しみください(笑)。

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テレビ神奈川の『saku saku』で紹介され、そのメインキャラクターから直筆サインも届くほどの注目のお店です♪

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『赤胴鈴之助』のポスターもレトロ~!あきる野市出身の三田りょうさんもしっかりプッシュ。

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放送が終わっても『あまちゃん』ブームは熱いよね~。あと、荒井由実『ひこうき雲』もスタジオ・ジブリとのコラボした豪華限定盤をちゃんとご紹介されているなんてイカしています!

さてさて、こちらのお店、道路沿いから見える映画風の看板からして、ひとクセありそうなお店ですが、これは青梅市の活性化事業の一環で“昭和レトロ・映画看板のある街づくり”がされているからだそうです。それに伴って、十年ほど前にお店の方も、演歌・懐メロ・純邦楽・落語・浪曲といったジャンルを強化し、カセット・テープ(現在は約2500本!)やDVDカラオケ(なんと900枚!)の充実化に転換されたとのこと。従来はごく普通のJ-POPと洋楽のヒットチャート上位作品が売れるお店だったのが、今では、CDシングルとカセット、DVDカラオケの売上げがお店の過半数を占めるまでとなり、昭和の面影を求めて訪れる観光客も昭和の雰囲気漂う作品を自分へのお土産として買っていかれることも多いそうです。また、昭和アイドル歌謡にも注力されており、山口百恵や南沙織といったメジャー・アイドルだけじゃなく、風吹ジュンなどマイナー・アイドルも面陳されており、中には製造中止となった掘り出し物もあるとのこと。これは、カルト・アイドルのファンも行かなきゃ!(くれぐれも、“マイナー堂”とはそういう意味ではございません(笑)。)

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こちらは演歌コーナー。演歌誌の『歌の手帖』も置いてあります。六本木ヒロシ、気になりますが、動画サイトで歌を聴くと更に凄いことになっています。青梅にいながら六本木の彼に目をつけるなんて恐るべしマイナー堂!

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シングルCDやカセットの面陳、そして『きよしんぶん』(氷川きよしフリーペーパー)の並びも綺麗ですし、新聞からの切り抜きや注目作の見出しなどどれも丁寧~。

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充実のDVDカラオケコーナー!!お店のDVD売上げの屋台骨となっているそうです。確かに、この細やかな気配りAmazonには出来ますまい(笑)。

さらにこちらのお店、店構えや品揃えのみならず、店員さんも実にユニーク!まず、下の写真の通りタレントらしきオーラを放つ店長さんは、自治会や商店街、神社など地域のために奔走され、西多摩新聞での執筆、商工会議所のゼミにてJAZZ講座の講師を務められるほど多彩。御歳64歳とは思えぬほどギンギンです!

また、創業者である社長さんは88歳となった現在も、目が不自由でありながらお喋りと確かな耳がご健在ですので、昼過ぎまでお客様を楽しませていらっしゃいますし、若者からお年寄りまで人気の「ながちゃん」、マラソンやギターを担当するバンド活動も精力的な「恭ちゃん」といったお二人の女性スタッフのファンも多いとのこと。こちらのお店を見ていると、「(そこで楽しくやっていけるかどうかは)結局は人なんだよね~」という『あまちゃん』での天野春子の台詞が身に沁みます。次に、シングル・チャートを見てみます。

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高橋克実似(褒め言葉です)で何かやらかしそうなオーラたっぷりの店長様。

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NPO『青梅まちづくりネットワーク』にて企画されている、地元のお寺で開かれるコンサートも支援されています。まさに音楽で街を支えるお店!!(10月27日:世界的なクラリネット奏者リチャード・ストルツマン、マリンバ奏者 ミカ・ストルツマン夫妻による、デユオ・コンサート、 11月29日ベースのロン・カーターを招いて、ギタリスト、山口武、ドラマー、ルイス・ナッシュによるジャズライブ)

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店長は、西多摩新聞(毎週金曜日発行)にて、『マイナー堂店主の音楽よもやま話』という連載もなさっています。

 

マイナー堂 シングルTOP10(2013/9/30~10/6)
順位 作品名 アーティスト名
1 おもいでの宿 中村美律子
2 男の火祭り 坂本冬美
3 強く儚く flumpool×MayDay
4 男の酒場 西方裕之
5 南部蝉しぐれ 福田こうへい
6 カモネギックス NMB48
7 男っちゅうもんは 吉幾三
8 君の住む町で 北川大介
9 ごめんなさいのKissing You E-girls
10 風の旅人 三田りょう

中村美律子、坂本冬美、西方裕之・・・と演歌カラオケファンの多い作品が並び、実際、福田こうへいのシングルも300枚近く売れているそうですが、そんな中でflumpoolやE-girls、NMB48といった若手J-POPアーティストの作品も売れているのが、やはり他の演歌の強いお店との大きな違いですね。また、10位の三田りょうは、隣町のあきる野市出身で、この作品は、親善支援活動を行っているキルギス共和国との友好目的で作られた楽曲で、カップリングの「船出の時」もライフワークとなっている病院コンサートで人気。こうした人間性もマイナー堂と大きく共鳴しているのでしょう。

最後に、名物店長の須崎八洲治さんよりオススメ作品をご紹介していただきました。

なかの綾『へたなうそ』

往年の昭和歌謡ポップスが、現役のホステス・シンガー なかの綾の艶っぽいヴォーカルとともに、サルサ風にアレンジにのって、平成の今に甦った。お聴きあれ!

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マイナー堂推薦の、なかの綾デビュー・アルバム。

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マイナー堂の夜の顔。お洒落な街灯も相まって、なんとも後ろ髪ひかれる魅力的なお店ですよね。

この、なかの綾のデビュー作、私も気に入っていて、こちらにレビューを載せております。確かにジャズにも通じる匂いがありつつ歌謡曲をカバーするというのはマイナー堂の雰囲気とかなりオーバーラップしています。

それにしても、人口は10万人ちょっとの街にあっても、お店のあちこちから努力と音楽への情熱が漲っていて楽しい!須崎店長からは、「2月は青梅マラソン(日本最大級)、5月は青梅大祭と面白い街ですから是非とも来てください」とコメントいただいています。私も勉強に伺います。またお邪魔させて下さ~い♪

つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品に携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、歌ネット、日経トレンディネット、月刊タレントパワーランキングなどでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic
8月28日に発売された阿部真央のアルバム『貴方を好きな私』、じわじわと気に入ってよく聴いています。YUIが活動休止&バンド転向となって、その位置を狙うのかと思いきや(微笑)、「それ以上でもそれ以下でもない」とか「(三万円)返して」とか「怖い話」とか、挑発的な歌詞が多く、曲調もEDMを取り入れるなどかなり野心的です。やっぱり、こういったオリジナル作が売れるには店員さんのスキルと媒体での本気の応援が不可欠なので、メーカーさんもベスト盤とアイドルばかりじゃなく、こういった事情も理解してほしいと切に願っております!