全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第74回は、東京都新宿区のディスクユニオン 昭和歌謡館さん(以下、敬称略で“昭和歌謡館”と呼びます。Twitterは@diskunion_showa。)
関東地方の音楽マニアのみならず、レコード・コレクターなら全国規模で誰もが一度は行ったことがあるはずのディスクユニオン。そんな日本のディープな音楽文化を支えてきた同店が、2013年11月、新宿駅のすぐそばに昭和歌謡館をオープンさせました~。長年にわたってそこそこのお布施(笑)をしてきた私も、早速行ってみました~。
繁華街に面する入口の案内板。上にはヘヴィメタ館やシネマ館(それぞれ11/22にオープン)など、それぞれカルチャーのうるさ型が一堂に会する館です。
地下1Fに降りる階段。レコードジャケットのみならず、13年に大ヒットしたオムニバス盤『春子の部屋』の拡大ジャケットもあるし、必ずしもマニアックではないことがここからも分かります。
マルベル堂のブロマイドがお出迎え~。これだけでも、昭和の香り(シャワラン・ビューティーかな?)が漂ってきます。そして右手には、専門レーベル“昭和歌謡ジュークボックス”の特設コーナーも!
場所は、新宿駅の中央東口から地上に出た中央通り沿いで、7Fまである新宿本館の少し手前のビルの地下1F。地下というだけでなんとなく秘密の匂い(笑)がするし、さらに“昭和歌謡館”というネーミングもどこか楳図かずおのイメージかと思いきや・・・店内はすっごく明るくて逆に驚きました!!これなら、女性ファンも安心ですし、長らく音楽から離れていて、最近そういったゆとりが出てきた中高年の方も、また昭和歌謡を学ぼうという平成生まれの若い方も入りやすくなっています。そうですよね、自分から率先して昭和歌謡を探求し続けるコアな人数よりも、『あまちゃん』などによって覚醒されたライトな歌謡曲ファンの方が圧倒的に多いわけです。だから、そういった需要に応えうるお店ができるというのはとても大切なことですし、自然な流れにも思えました。
また、壁際にアナログレコードのコーナーはありますが、大半はCDで、しかも、中古よりも新品が多い!ゆえに、大型レコード店の昭和コーナーを書籍、中古、レコード、ブロマイドなど多面的に広げた総合歌謡コーナーと考えたほうが良いかもしれません。こう書くと、すごく広く感じる人もいそうですが、普通のお店と比べてもやや狭いくらい。それでも滞留時間の長いお客様が多く、明らかにみなさんCDやレコードなどを楽しんで見ている感じです。次に、アルバム・チャートを見てみます。
老舗系のCDショップではお馴染みとなったシングル1枚単位でCDを作る“MEG-CD”コーナーも有り。確かに、こことのシンクロ率高し!
音だけじゃなく、書籍からも昭和を学ぶことで、より深く知ることができます。必ずしも正しくないのよWikiは(HA HAN~♪)
アルバム・レコードのコーナー。壁面のラインナップは、ランダムなようで、実は飾り映えするものが意図的に選ばれていて(河合奈保子『デイドリームコースト』や松田聖子『ユートピア』はドキリとしましたから)、やはりお店のセンスの良さがくっきり。
こちらはシングル・レコードのコーナー。マニアックなものから、『あまちゃん』から入った懐メロ入門者向けの大ヒットレコードまで多数。より、ディープな世界に浸りたい方は、アーカイヴァー鈴木啓之先生にご相談すべし!
順位 | 作品名 | アーティスト名 |
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1 | ジャズ・スタンダードを歌う | ジュディ・オング |
2 | さよなら こんにちは (+9) | 伊藤つかさ |
3 | サザエさん音楽大全 | オムニバス |
4 | ゴールデン☆ベスト | 尾藤イサオ |
5 | in アメリカ 1950 | 美空ひばり&川田晴久 |
6 | 想い出のワルツ tribute 三人娘 | 雪村いづみ with 前田憲男とウィンドブレイカーズ |
7 | ゴールデン☆ベスト | ザ・タイガ―ス |
8 | るなぱあく | 庄野真代 |
9 | ホームレコーディング・デモVOL.9 | タケカワユキヒデ |
10 | 永久保存盤 ソノシート誕生40周年記念 朝日ソノラマ大全集 |
オムニバス |
※この他にも しばたはつみ「ひとめ惚れ」、マザー・グース「マリン・ブルー」などの7インチシングル、山下達郎の「クリスマス・イブ」30周年シングルも大ヒット中♪
本来なら、1位~10位すべて太字で書きたいところですが、ここでは他のお店でも好調なものを除いて、とりわけ好調なものに注目してみました~。1位&2位は下記ご説明の通り。4位は、999円で尾藤イサオのゴルベス!聞くたびにパンチを食らいそうです。10位は2008年の大全モノですが、ここで初めて発見した人も多そう。やはり、こういう昭和歌謡ジャンルもミュージックソムリエの必要性をひしひしと感じます。最後に、店長の杉本博士さん(きっと歌謡博士!)よりオススメアルバムをご紹介いただきました。
ジュディ・オング 『ジャズ・スタンダードを歌う』
当店「ディスクユニオン昭和歌謡館」と連動したレーベル「昭和歌謡ジュークボックス」を店舗オープンと共にスタートさせました。スタッフ自身が皆さんに紹介したい!と熱く願う名作を続々と復刻リリースしていくというレーベルのコンセプトを具現化した第1弾CDです。
店内中央の「あ」から始まる歌謡曲ポップスのCDコーナー。新品と中古が入り混じっていて、お客様には親切です。
廃盤CDコーナーには、幻と思われていたBOXがゴロゴロ!B○○K・○FF(○は伏せ字の丸です)のように無知(爆)ゆえの捨て値はありませんが、レア度に応じた適価で、損はしないと思います。
天井近くには、レコード・ジャケットがズラリ!こういう飾り付けもお店の雰囲気を醸し出してますよね~。
こちらに来て、最も驚いたのが、歌謡曲・演歌系の新譜(例えば、島倉千代子の追悼盤や坂本冬美のカバー・アルバムなど)や新たに編纂されたオムニバス盤もちゃんとプッシュされている点。確かに、レコードで持っていた作品をEPやCDで買い直すだけでは新たな発見はありませんし、味気ないですよね。昭和歌謡に限定しても、脳をリフレッシュできる方策があるのだなぁと勉強になりました!またお邪魔させて下さ~い♪
唐突ですが、2013年の私の独断5選を発表します。5位:「ふるさとは今もかわらず」/新沼謙治・・・新沼さんの気持ちよさそうな顔がまた良いです(笑) 4位:「恋するフォーチュンクッキー」/AKB48・・・基本、握手券アンチな私ですが、これは大衆ソングを目指している事がひしひしと伝わってきました。3位:「栄光の男」/サザンオールスターズ・・歌詞に泣かされました。中年男のみならず、苦境の中を頑張っている女性や若い人も共感できるはず。2位:「Bi-Li-Li Emotion」/Superfly・・・歌謡ロックは大好物なのです。それを大胆に歌いきる越智志帆が素敵。そして堂々(?)の1位:「インベーダー インベーダー」/きゃりーぱみゅぱみゅ・・・生歌&生演奏派の私ですが、「にんじゃりばんばん」とこれは中毒性にヤられました。来年は、曲の良さがもっともっと伝わる世の中になればいいなと思っております。私も頑張ります!