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ギモンなんでも調べますPOP総研

POP総研とは、「POPにまつわる、さまざまなギモンや事象を解明し、CDショップとPOPのよりよき明日を切り拓く」ことを目指しひそかに設置された、日本初のPOP専門シンクタンク(!?)である。

「どんなにくだらないことでも大マジメに調査する」をモットーに、鋭く、ときにゆるりと斬り込んでいきたいと思います。ちなみにPOP総研では、研究員&研究テーマを常時募集中です!

文:井上ケンタロウ(研究員)

第1回 「POPは、いったいいつからはじまったのか?」

第1回目を飾るテーマはやっぱり、「POPの起源を探る」でしょう!
なんて、力強く言い出してはみたものの、そんなのわかるんだろうか……(といきなり弱気ですみません)。
まわりのショップ店員さんに話を聞いてみても、「そりゃあもう、けっこう昔からありましたよねえ」と、つれない答え。

途方にくれていると、我らが実行委員長・行さんよりナイスアドバイスが!
「70~80年代のレコード店のことが知りたければ、まずはパイド・パイパー・ハウスの長門さんに話を聞くべきだと思うよ」

パイド・パイパー・ハウスといえば、かの細野晴臣や山下達郎も常連だったという伝説のショップではありませんか!(なんてあたかも知っていたかのように書いてますが、ワタクシ76年生まれなので、もちろん行ったことはありません……)

そこでさっそく研究員は、伝説の店の元オーナー・長門芳郎さんのもとへと向かったのでした。

長門芳郎(ながと・よしろう)

デオデオ 東広島店 DISCCITY ホソカワさん
シュガー・ベイブ、ティン・パン・アレイ、細野晴臣のマネージャーを務めたのち、南青山のレコードショップ「パイド・パイパー・ハウス」の2代目オーナーに。ショップオーナーのかたわら、ピチカード・ファイブのマネージメント、海外アーティストのコンサートプロデュースなどを行う。閉店後はレーベルを設立し、数多くの海外アーティストのCDを制作。これまで企画監修を手がけた名盤リイシューは約千タイトル。
★編集長を務めるWEBマガジン「MINTS MAGAZINE」(毎月15日更新)
http://www.recomints.com/c/index.html
★8年目を迎えたFM音楽番組『ようこそ夢街名曲堂へ!』にレギュラー出演中。
番組内容・選曲リストは、公式ブログをご覧ください。リクエスト歓迎!
http://d.hatena.ne.jp/yumemachi/
70~80年代、音楽情報の発信基地だったパイド・パイパー・ハウス。
——いきなりですが、POPっていつからあったんでしょうか?
商品にセールスポイントを書いた簡単なカードをPOPというなら、僕らが中学生のとき(60年代)すでにあったよね。お店の店員さんが書いた「推薦盤!」とか「ベストセラー続行中!」みたいな。それは本屋や八百屋なんかにもあったと思うし、誰がいつはじめたかなんてわからないなあ(笑)。
はぁぁ……で、ですよね~(苦笑)。
さっそく出鼻をくじかれる研究員。でもそれを何とかするのが、POP総研スピリットではなかったか! 気にせず突き進もう。

——では、70~80年代にかけてのレコード店の状況って、どんなだったんでしょう?
店がオープンしたのが1975年の11月。輸入盤がたくさん入ってくるようになってレコード店が個性を持ちはじめたころ、そのあとすぐタワーレコードなどの外資系のショップがオープンする時期ですね(*)。ウチは価格競争ではそういうインポーター直営店には絶対勝てないから、魅力的な品揃えと店づくりをして、お客さんにいかに「もう1回来てみたいと思ってもらえるか」を考えましたね。
*タワーレコードが日本に進出したのは、1980年(一号店は札幌)。翌81年に渋谷店開店。
——当時POPは、どんなものを使っていたんですか?
商品には小さなプライスカード(裏が管理カードになっている)をつけていて、そこにタイトル、ヨーロッパ盤なのかアメリカ盤なのか、プロデューサーは誰か、また数行の簡単なコメントをつけていました。中でもプッシュしたいものには、画用紙に色マジックで書いたPOPを貼ったり、コーナー展開したり。当時のレコード店は今みたいに、どのCDにもPOPがついているような状態ではなかったので、そういう"リコメンドカードのはしり"だって言われたことはありますね。
——POPを使った販売手法自体が、まだ新しかったと!
大きいお店には、店として売らなければならない商品がある。でもウチは個人の店だから、何を売るのも自由。そのかわりリスクもある。だって10枚仕入れて1枚売れ残ったら、利益出ませんから(笑)。他の店では隅に置いてあるようなものでも、自分がこれぞ!って思う1枚があったら、どーんと仕入れて常に在庫を切らさない。だから、売れ筋のマドンナとかマイケル・ジャクソンは申し訳程度しか置いてないけど、ヴァン・ダイク・パークス、ドクター・ジョン、エルヴィス・コステロ、NRBQなんかはいつでも全部揃ってる、みたいな状態で(笑)。
店内の広さはわずか9坪ほど。エルビス・コステロがレコードを買いにきたことも!
——店頭からヒットをつくる、CDショップ大賞とも重なる話ですね。
輸入盤なのでサンプル盤なんかももちろんなくて、最初の内は店のスタッフがLPを社販で買って、店でかけて、お客さんにすすめたり。そうやっていると、お店のポリシーが伝わってお客さんとの会話のきっかけにもなる。そのうち信頼関係ができてきて、ここの店のオススメ5枚のうち4枚は当たりだったとか言って(笑)、何度も店に足を運んでくれるようになるんですよ。
——なるほど。長門さんがPOPを書くうえで心がけていたことは?
店が何をどういう理由でプッシュしているのかお客さんに伝える、その第一歩がPOP。だから"自分の言葉で書く"ことが大切。レコード会社の宣伝文句まんまのコメントではダメなんです。自分がいいと思ったものを発掘してヒットさせるというのがレコ屋やってる醍醐味であり、喜びですから。
——80年代後半になると、CDショップの状況は変わりましたか?
LPからCDに移行する過渡期で戸惑った店も多かったはずですが、ウチみたいな小さな店はさらに狭く深く、隙間を縫うような品揃えでやっていくしかなくて。結局、それが、渋谷系ブームとかにもつながっていくと思うんです。POPについては、手づくりだったのがだんだん形も立体的になって、派手なディスプレイが増えましたよね。タワーみたいにPOP製作専門の部署があったり。大型店が増えて品揃えもよくなったし、LPもCDも売れていた。独自のコーナーをつくったり、スタッフの個性をうまく出した店も多かったと思います。
——では、現在の店頭やPOPを見て思うところは?
好きな音楽を信じて売ってみるという思いや冒険心が足りないな、というのは感じます。店のつくりも画一的というか……。でも、中には頑張っている人もいて、それはPOPやディスプレイを見ればわかりますよ、「好きなヤツがやってるな」って。そういうのを見つけると、やっぱりうれしくなりますね。
開店10周年を記念して、ドクター・ジョンを招聘した(初来日)。
——ショップ店員のみなさんに一言お願いします。
私が店をやっていた当時は、インポーターから送られてくるアーティスト名とタイトル程度しか書いてない新譜リストやカット盤(デッドストック)リストを見て、仕入れ枚数を決めなくてはなりませんでした。自分の知識と経験を信じて博打を打つわけです。今はネットもあるし、とにかく情報も多いし、試聴もできる。相当マニアックなものでもどこでも買える。そんな中で他店と違う独自性を打ち出すのは、簡単じゃないですよね。結局は、「人」なんですけどね。POPにしてもつくった店員さんの趣味や熱意が伝わるものがいい。売る人の顔が見えるということかな。昔、ピチカート・ファイヴが海外でも評価されて、渋谷系といわれて注目されたように、小さなレコード屋が世界を変えることだってある。店員さんたちには、そんな夢を持っていてほしいですね。
と、POPの起源を探りにいった結果、予想外の広がりを見せた第1回。長門さん、貴重なお話、本当にありがとうございました! 次回も引き続き「POPの起源」、今度は、80年代初頭から外資系ショップを中心に広がっていった「大規模ディスプレイ型POP」について調査したいと思います。(つづく)
※ちなみに、当総研において「POP」とは、「店頭のCDまわりのコメントカード(リコメンドカード)を中心としたディスプレイ」と定義します。

研究レポート

  • ★POPはとても昔からあった(笑) 。
  • ★POPとは「お店のオススメする商品を伝えるツール」である。
  • ★お店が個性を持ちはじめた70年代、大がかりなディスプレイの登場は80年代。
  • ★POPは必ず“自分の言葉”で書こう。
  • ★1枚のPOP、ひとりの店員が世界を変えることだってある!

研究内容募集!!

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  • そんな方がいらっしゃいましたら、ぜひこちらまで。
    オモシロ&ステキな店頭POPも随時募集しております(画像を添付してお送りください)。

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