第10回CDショップ大賞2018 前期クラシック推薦盤

CDショップ大賞では部門賞も選出しています。第8回より、クラシック賞に関しては、前期(1月〜6月発売)と後期(7月~12月発売)の年2回に分けて“推薦盤“を発表させていただいております。

第10回前期もCDショップ・クラシック担当の有志にそれぞれご推薦いただいた作品を「クラシック賞の推薦盤」とし、ご紹介致します。是非、聴いていただけたら嬉しいです。(推薦盤の中からのみ部門賞「クラシック賞」が決定されるという事ではありません。)

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【第10回CDショップ大賞2018 クラシック前期推薦盤】(アーティスト名五十音順)

(アーティスト・演奏者名/タイトル/(品番)/発売日)

■飯森範親(指揮)山形交響楽団/モーツァルト:交響曲全集(OVCL-00630)2017/4/19

「邦人演奏家による初の快挙」

飯森範親の指揮のもと、数々の名演をリリースしてきた山形交響楽団が10年かけて完成させた日本人による初の全集。番号順に収められ、モーツァルトの成長とともに聴き進めていく楽しみが味わえます。一部オリジナル楽器を使ったピリオド奏法による演奏は、特に第1~6番に豊かな表情を加えています。(山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)

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■加藤訓子/J.S.バッハ:マリンバのための無伴奏作品集(CKD586S)2017/5/26

「優秀録音が引き立てる、マリンバとバッハの美しい出会い」

ライヒやペルトといった現代の作曲家たちから篤く信頼される世界的パーカッショニスト、加藤訓子の英LINN4枚目のアルバムは、初のバッハ作品集となりました。無伴奏チェロ、無伴奏ヴァイオリンを中心に全てマリンバのソロで収め、この楽器ならではの、現代作品とはまた違った表現を楽しませてくれます。今回もまた録音がたいへん秀逸で、どこからともなく響いてくるような高音域を、ずっしりと豊かな低音が支える心地よい音場を作り出します。日本発売分のみSACDというのも嬉しいところです。(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

加藤訓子/J.S.バッハ:マリンバのための無伴奏作品集(CKD586S)

■小山実稚恵/バッハ:ゴルトベルク変奏曲(SICC19032)2017/5/3

「初録音のゴルトベルクは、圧倒的な表現力」

彼女にとって初のバッハアルバムが完成。1987年のデビュー以来、30作目にして初めてのバッハというのはある意味驚きを持って迎えられましたが、そこにあるのは熟考された確固たる概念と、安定感のあるテクニックが同居した比類の無い演奏です。やはり1曲目の「アリア」から引き込まれます。(タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)

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■ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団/ショスタコーヴィチ:交響曲10番(OVCL-628) 2017/5/24

「渾身の演奏は、ショスタコーヴィチ演奏の新たな夜明け」

これまでにもいくつかあった日本におけるショスタコーヴィチ演奏史の中でも、指折りの記録といっていい壮絶な演奏。怒涛の第二楽章(トラック2)は、4分少しで駆け抜ける快速ながらも、目先に流されない確固たる精神力と技術力の高さにより聴く者の胸を打ちます。今後の展開が楽しみなノット&東京響の最新盤。(タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)

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■藤木大地/死んだ男の残したものは(KKC046)2017/4/7

「古今東西の名歌をウィーンが認めた美声で聴く」

今年、ウィーン国立歌劇場へのデビューも果たしたカウンターテナー、藤木大地のデビュー・アルバム。耳にすっと馴染む、まっすぐで美しい歌声がまず大きな魅力です。イギリス民謡と日本の歌を中心に、名曲ばかりを控えめな編曲で収めており、豪華な共演陣と共に、豊かな音楽性でその美しさをたっぷりと引き出します。中でも、武満徹と谷川俊太郎による傑作『死んだ男の残したものは』は力加減のたいへん難しい作品ですが、歌い込まれた迫真の表現で切々と聴かせています。 (HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

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■堀米ゆず子(ヴァイオリン)アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団<ブルッフ>ジョアン・ファレッタ(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 <ブラームス>/ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(OVCL-00609)2017/1/25

「世界的奏者による風格の味わい」

ヴァイオリン協奏曲の2大名曲を、妖艶かつ濃厚に奏でているさすがの名演です。特にブルッフの第1楽章!オーケストラの充実した重低音と溶け合い、名器グァルネリ・デル・ジェスの豊かな響きがホールを満たしています。堀米ゆず子自身で綴られたエッセイも楽しい。 (山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)

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■OBSESSION(三舩優子&堀越彰)/OBSESSION(OVCT00132)2017/5/24

「ピアノ×ドラムのデュオが聴かせる新しい音楽表現の楽しみ」

CDやコンサートはもちろん、教育活動などでも多彩な活躍をみせるピアノの三舩優子と、山下洋輔との共演などで知られるドラムの堀越彰によるユニットOBSESSIONのファースト・アルバム。クラシックの名曲から近現代作品までを二人のアレンジで収録しています。シチェドリンやアルベニスなどではジャズのエッジを効かせた激しい攻防で、異色のデュオならではの音楽的な真剣勝負の醍醐味を堪能させてくれます。また、ボロディンやサティでは遊び心と優しい対話が楽しめ、2つの楽器が織り成す別の側面を聴かせます。二人の今後の展開に大きな可能性を感じるアルバムです。(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

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■宮下宣子&三浦はつみ/サクバットの祈り(NIKU9008)2017/4/10

「日本のサクバット演奏史に残る、歴史的演奏」

日本の女性トロンボーン奏者の草分け的な存在であり、最近ではトロンボーンの古楽器サクバットのパイオニアとしても知られる宮下宣子のソロと、オルガン伴奏による貴重なアルバムが登場。サクバットの柔らかな音色と芳醇なオルガンの響きの調和が美しく、多くの方々に聴いてもらいたい盤です。誰もが知っている5曲目の「主よ、人の望みの喜びよ」の自然な響きをまずは一聴を。 (タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)

宮下宣子&三浦はつみ/サクバットの祈り(NIKU9008 )

■山田姉妹/あなた(COCG-85333) 2017/2/22

「あの頃の歌が、今生まれ変わる」

昭和の有名な曲を、音楽大学の声楽科を優秀な成績で卒業した平成生まれの双子が歌いあげるこのCDは、発売以来話題を呼んでいます。ストレートに歌い上げる彼女たちのデュオは、驚くほど純粋に歌詞に込められた感情や、楽曲の素晴らしさを聴き手に伝えてくれます。特に1曲目「翼をください」や、10曲目の「なごり雪」は胸を打つ感動が!(タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)

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■渡辺玲子(ヴァイオリン)江口玲(ピアノ)/AIR & DANCE on Violin(FOCD-9745) 2017/4/5

「名人芸を名器で聴かせる、小品の楽しみ」

名手渡辺玲子によるヴァイオリン名曲集。とにかく楽しい1枚。ピアノの江口玲も歌心満点の伴奏です。クラシック音楽を楽しむならこの曲、という選曲も見事。「ばらの騎士」のワルツに聴かれるような1736年製グァルネリ・デル・ジェス「ムンツ」と、ホロヴィッツが愛した1912年製ニューヨーク・スタインウェイCD75の見事な融合と優秀な録音が、このCDを魅力あるものにしています。(山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)

渡辺玲子(ヴァイオリン)江口玲(ピアノ)/AIR & DANCE on Violin (FOCD-9745)