第10回CDショップ大賞2018 後期クラシック推薦盤の発表!

CDショップ大賞では第8回より、前期(1月〜6月発売)と後期(7月~12月発売)の年2回に分けて“クラシック推薦盤“を発表させていただいております。第10回後期もCDショップ・クラシック担当の有志にそれぞれご推薦いただいた8作品を「後期クラシック推薦盤」といたしました。
(推薦盤の中からのみ部門賞「クラシック賞」が決定されるという事ではありません。)

【第10回CDショップ大賞2018 クラシック後期推薦盤】(アーティスト名五十音順)
(アーティスト・演奏者名/タイトル/(品番)/発売日)

上野耕平/『BREATH-J.S.Bach×Kohei Ueno-』(COCQ85411)2017/12/20
「驚異的!3種のサキソフォンでバッハの『無伴奏』」
バリトンで『無伴奏チェロ第1番』、ソプラノで『無伴奏フルート・パルティータ』、そしてアルトによる『無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番』を収録。録音場所として選ばれたドイツの古い教会の音響を美しく拾った透明感のある音で、原曲の重音も残響を利用して自然に表現しています。中でも『シャコンヌ』などで聴かせる超絶技巧と表現力は凄まじく、サキソフォンの観念を超えるような音楽性も素晴らしいもの。全音楽ファンに聴いて頂きたい圧倒的な一枚です。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)
COCQ-85411「BREATH」ジャケ写

エリシュカ&札幌交響楽団/『ブラームス:交響曲第1番、他』(ALT374)2017/11/18
「情熱と格調の高さを兼ね備えた稀代の名演」
昨年10月の同響との演奏会をもって、日本での指揮活動を引退したエリシュカによるブラームス完結編。この盤は昨年3月札幌での収録ですが、東京公演も行ったその時の全プログラムのアルバムがこちらです。ライヴならではの刻々と移り変わる臨場感と、全体に漲る音楽への情熱とパワー、そしてエリシュカらしい格調の高さを聴き手に感じさせる、素晴らしい演奏です。(タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)
エリシュカ&札幌交響楽団:ブラームス:交響曲第1番、他(ALT374)

上岡敏之&新日本フィル/『ベルリオーズ:幻想交響曲』(OVCL00647)2017/12/20
「個性爆発で大評判となった公演が待望のCD化!」
第一楽章から、柔らかな歌い出しと波打つように振幅の大きな表現、徐々に、しかし確実に築かれていくクライマックスがじわじわと引き付けます。第二楽章の細やかな歌い回しも非常に魅力的ですが、なかでも上岡敏之らしさが大きく生きるのが第四、第五楽章。テヌートを効かせた独特のアーキュティレーションと鋭いアタックとの対比で、悪夢と地獄の不気味さがとことん強調され、作品の狂気をダイナミックに描き出しています。独特なリズムへのこだわりなど細部も見事。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)
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高橋悠治/『エリック・サティ 新・ピアノ作品集』(COCQ-85373) 2017/9/20
「40年ぶりにサティに帰ってきた高橋悠治の今を聴く!」
我が国におけるサティ演奏の草分け的な存在の一人、高橋悠治が40年ぶりにサティを録音。その端正なフォルムと温もりに溢れた演奏は、 現代曲演奏のプロとしての存在感とは異なる、独特の光を放っています。ジムノペディ、ノクチュルヌ、グノシェンヌといったサティ・ベストともいえるこのアルバム。
サティ演奏の新たなスタンダードとして長く聴かれることでしょう。
ワンポイント録音の自然な空気感を、高音質UHQCDによってもれなく再現しています。
(山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)
takahashiyuji J写

ノット&東京交響楽団/『ブルックナー:交響曲第5番』(OVCL00637)2017/10/18
「真摯で実直な正統的ブルックナー演奏」
音楽監督ジョナサン・ノットと東京交響楽団との録音第3弾は、2016年録音の第8番に続き、重量級作品である「第5番」。派手な装飾を避けた真摯な演奏を基とし、作品が本来持つ音楽性を純粋なまでに高めた演奏は好感が持てます。昨今人気が更に高まっているこの巨大な「第5番」を純粋に味わいたいリスナーに相応しいアルバム。SACDハイブリッド盤。
(タワーレコード商品本部洋楽部CLASSICバイヤー 北村 晋)
EXCL-80-H14

アンドレア・バッティストーニ指揮&東京フィルハーモニー交響楽団
  /ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》
   バーンスタイン:『ウエスト・サイド物語』より「シンフォニック・ダンス」
(COCQ85378)2017/10/18
「『春の祭典』に、新時代の名盤がまた一つ!」
バッティストーニらしく細部まで歌い込まれ、生き物のように蠢く有機的な表現で、『春の祭典』が持つ凶暴かつ妖艶な味わいを描き出しています。複雑なオーケストレーションをレイヤーに分けて解き明かすような解像度は、録音の良さはもちろん、深いスコアの読み込みと統率の賜物でしょう。細やかなアーティキュレーションの工夫から、聴くものをハッとさせるアイデアまでが満載。素晴らしい躍動感も聴きどころです。突っ走り、弾ける『ウエスト・サイド』もたいへん魅力的。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)
COCQ-85378_バッティストーニ「春の祭典」ジャケ写

パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)NHK交響楽団/『R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき&メタモルフォーゼン』(SICC-10219)2017/8/23
「パーヴォ&N響、充実のR・シュトラウス3部作完結!」
今最も多忙な指揮者の一人パーヴォ・ヤルヴィが、N響との相性の良さを余すところなく発揮し、新たなシュトラウスの名盤が誕生しました。
特に「ツァラトゥストラ」では持ち味の鋭角なリズム感と明快なダイナミクスが壮大な音楽の流れに新鮮な魅力を加えています。さらにSA-CDハイブリッド・マルチチャンネル録音により、対応機器で鑑賞すればそこは常にサントリーホールの特等席です。(山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)
パーヴォ・ヤルヴィ&NHK交響楽団/R・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき、メタモルフォーゼン(SICC-10219)

宮田大/『木洩れ日』(NF-25503)2017/10/6
「うたうチェリスト、宮田大が名器で奏でる至高の名曲集」
1698年製ストラディヴァリウス「シャモニー」を新たに得たチェリスト宮田大が取り組んだのは、長年弾き込んできた愛する小品集。
中でもカッチーニのアヴェ・マリアで聴ける独特のメランコリーの表現には思わずため息が。ベーゼンドルファーの芯のある響きを絶妙にコントロールするジェルネのピアノも素晴らしい。
(山野楽器 営業本部 チーフMD 峯岡 隆)
宮田太『木洩れ日』