第9回CDショップ大賞2017 クラシック後期推薦盤

CDショップ大賞では部門賞も選出しています。第8回より、クラシック賞に関しては、前期(1月~6月発売)と後期(7月~12月発売)の年2回に分けて“推薦盤“を発表させていただいています。CDショップ・クラシック担当の有志の方にご推薦いただいた作品を「クラシック賞の推薦盤」といたしました。それぞれご参照、ご参考いただければと思います。(推薦盤の中からのみ部門賞「クラシック賞」が決定されるという事ではありません。)

第9回CDショップ大賞2017 クラシック後期推薦盤(アーティスト名五十音順)

■アリス=紗良・オット『ワンダーランド』
UCCG-1747(2016/9/9)

アリス=紗良・オット『ワンダーランド』(UCCG-1747)
着実にキャリアを積み重ねるアリス=紗良・オットの「ワンダーランド」と題されたグリーグのアルバム。
低音の落ち着いた響きと共に揺れ動くメロディーの暖かい表現が、北欧の表情豊かな自然の表情を感じさせ、それを名匠サロネンの指揮するオーケストラが雰囲気豊かに包み込んでいる。ブックレットには自身によるエッセイと可愛いステッカーが封入され、まさにアリス・イン・ワンダーランド!
(山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

■郷古廉『J.S.バッハ:無伴奏ソナタ第2番&パルティータ第2番 / バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第2番』
OVCL-00614(2016/11/18)

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前作に続きさらなる飛躍が目覚ましい注目のヴァイオリニスト、郷古廉のセカンド・アルバム。無伴奏のバッハ2曲とバルトーク(今回はピアノとデュオのソナタ2番)を配置するセンスもさることながら、演奏で聴き手を納得させるだけの技量と力を有した若手随一の音楽性も魅力的です。録音も優秀。
(TOWER RECORDS 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

■ジョナサン・ノット 東京交響楽団『ブルックナー:交響曲 第8番』
OVCL-00608(2016/12/16)

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2014年から東京交響楽団の音楽監督を務めるジョナサン・ノット。待望の両者共演CDが初登場しました。スコアの深い読み込みと効果的な整理により各パートを際だせ、盤石の基壇の上にオーケストラを立体感に響かせるノットの手腕は素晴らしいもの。高解像度の録音がそれらを余すところなく捉え、雄弁なブルックナー像が立ち上がります。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

■鈴木大介『武満徹 没後20年記念 森のなかで』
BZCS-3090(2016/9/14)

鈴木大介『武満徹 没後20年記念 森のなかで』
2016年に没後20年を迎えた武満徹の映画作品を中心に、今や名実ともに日本を代表するギタリストとなった鈴木大介が、これまでの思いも込めたオール武満アルバムを発売。最後の作品となったギターのための「森のなかで」を20年振りに再録音した意味が確認できる素晴らしいアルバムです。鈴木本人の作品解説も魅力的で、武満の才能あふれる軌跡を確認できます。
(TOWER RECORDS 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

■反田恭平『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲』
COGQ-97(2016/11/23)

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リリース前から話題となった、昨今のクラシック音楽界を賑わす二人の若手、反田恭平とバッティストーニの共演。
冒頭の弱音からクライマックスまで、双方の持ち味であるダイナミックな音の運びと細やかかつクールな歌心に溢れた、聴かせどころ満載の1枚。後半のパガニーニ狂詩曲も、ピアノと管弦楽との熱い丁丁発止が最後まで聴き手を惹き付ける。
(山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

■田部京子、小林研一郎、日本フィルハーモニー交響楽団『モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番 K.331 ピアノ協奏曲 第23番 K.488』
OVCT-00125(2016/11/18)

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田部京子の演奏するモーツァルトは、一般的な天才モーツァルト像とは違った、作品の充実度を最大限に表現する丁寧な語り口が魅力。
一音一音が慈しむように弾かれていき、音楽の進行に自然に身を委ねていく陶酔感は特筆もの。協奏曲でのオーケストラのサポートも暖かく、美しい。録音の素晴らしさとともに、モーツァルトの音楽の魅力を再発見できる1枚。
(山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

■塚越慎子『伊福部昭:ラウダ・コンチェルタータ セジョルネ:マリンバ協奏曲 』
OVCC-00135(2016/10/21)

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塚越慎子、初のコンチェルト・アルバム。土の香りを感じさせる伊福部昭は、楽器の特性を生かし切った透明な響きと力強いタッチで、トランス的なクライマックスまで聴く者を引き付けて離しません。ロマン溢れるセジョルネも深く美しく歌い上げられ、フラメンコに触発された後半で聴かせるしなやかなリズム感も素晴らしいもの。彼女の音楽への真摯な対峙が一つの実を結んだアルバムです。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)

 

■マックス・ポンマー 札幌交響楽団『シューマン:交響曲 第4番 J.シュトラウス II:皇帝円舞曲 R.シュトラウス:「ツァラトゥストラはかく語りき」』
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2015年以来首席指揮者を務めるマックス・ポンマーと札響の共演盤第3弾。今回もドイツ音楽の本流を行くポンマーの統率力と、札響の透明度の高い精緻なアンサンブルが融合した、日本のオケではかつて聴くことができなかった程の完成度を持った注目のアルバムです。R.シュトラウスでの雄大なスケール感とオルガン含む録音の妙、シューマンの細かな描写のニュアンスなど、聴き所満載です。
(TOWER RECORDS 商品本部 洋楽2部 Classic Buyer 北村 晋)

 

■村治佳織『ラプソディー・ジャパン』
UCCD-1435(2016/10/26)/strong>

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5年ぶりの新録音によるアルバムは、自身、副題を「ふるさと」と名付けるほど、故国・日本を見つめ直す楽曲で構成。
古来から歌い継がれる名曲から、どれもが美しく情緒的な自身の作曲による作品、また活動休止前に盛んに演奏していたという「コユンババ」など、彼女の想いが凝縮されたアルバム。村治奏一氏との温もりのあるデュオも新鮮で素晴らしい。
(山野楽器 商品部 チーフMD 峯岡 隆)

 

■横坂源『J.S.バッハ:ガンバ・ソナタ集』
WPCS-13535(2016/9/14)/strong>

横坂源『J.S.バッハ:ガンバ・ソナタ集』(WPCS-13535)
実力派で知られるチェリスト横坂源が、満を持してのCDデビューとなりました。チェロという楽器の特性を生かした、伸びやかな表情がまず魅力的。藤井一興のピアノもまた歌心に溢れ、両者の穏やかな会話を思わせるアンサンブルで、自然な美しさに満ちた音楽が紡がれています。モダン楽器ならではのバッハを満喫する愉楽のアルバム。
(HMV 商品本部 クラシックバイヤー 久保 昭)