第2回 準大賞受賞アーティスト 清竜人 インタビュー

第2回CDショップ大賞2010 準大賞受賞作品
清 竜人「PHILOSOPHY」

(インタビュー:2009.12月)

──叔母が拾ってきたギターに触ったのが、15歳のとき。16歳の夏には音源の自主制作を始め、17歳で全国高校生バンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2006」の、グランプリを獲得。18歳で映画「僕の彼女はサイボーグ」への挿入歌を提供し、シングル「Morning Sun」でデビューを果たしたのが19歳。そして20歳でCDショップ大賞 準大賞に選ばれる。1年ごとに転機を迎えている清 竜人というアーティストは、そもそもなぜ、音楽を始めようと思ったのだろう?

すごく単純な理由なんですけど、まわりの友達がバンドを始めたのを見て、自分もやりたいって思ったのがきっかけです。叔母からギターをもらって、最低限のコードを覚えて、「無理でもいいから自分で1曲作ってみよう」と思って。おぼつかないコード進行で曲を作ってみたら、意外とすんなりいったんです。それが面白かったのかな。

あまり真面目ではなかったんですけど、幼少の頃からずっと、母親にクラシックピアノを習わされていたんです。あとは父親がクール・アンド・ザ・ギャングとか80年代の音楽が好きだったから、その影響も大きいと思います。

音楽を始めてからの5年間は……長かったですね。最初の頃は反抗期だったので、メロディも歌詞も、今より攻撃的で角張っていたと思うし、18のときに上京して生活環境が変わったことで、自分が感じていた以上の変化があったと思うんです。でもそういうことが、自分の中では具体的によくわからなくて。だからずっとマイペースで来たような感じもするけど、無我夢中でもあったんじゃないかと思います。

──清らかさとクールさ、そして情熱を秘めていて、まるで静かな炎のような曲を生み出す彼が、最近気になっているのは意外にも子供番組。「音楽が気になっていて、番組観覧にまで行った」と語ったが、最初に買ったアルバムは、童謡ではないそうだ。

大阪にいた頃はお小遣いもなかったので、近所のレンタルショップに行っていたんじゃないかなと思います。だから最初に買ったものは、高校生ぐらいのときに大阪のマルビルの中のタワーレコードで買った、湯川潮音さんのアルバムだと思います。何かで湯川さんの名前を見て、気になっていたので、何枚かまとめて買いました。

たぶん店に行く前にラジオやテレビで曲を聴いて知っていたので、試聴することはなかったです。アルバムを買ってから何回か、湯川さんのライブに行ったのですが、それがすごくよかったので、時間があればまた行きたいです。

──1月20日にシングル「痛いよ」をリリースしたばかり(インタビュー当時)。恋人を思うあまり、彼女の過去が気になってしょうがない。そんな切なくて苦しい男心をのせた歌は、昨年12月から着うた(R)で先行配信がスタート。そしてなんとリリースに合わせて掲載された歌詞サイト「デジ歌詞 JOYSOUND」で、歌詞閲覧数デイリーチャート1位(配信日付)を記録した。

自問自答してそれを歌詞に込める作り方をしているので、そのとき自分が思っていることが、詞に反映されていると思うんです。でもこの曲に関して言うと、自分のつたない恋愛経験の引き出しから出してきた部分もあるんですけど、今までの実体験というより、これから先の自分が、愛やら恋やらを抱いたときにどうなっていくのかなっていう、想像で作った部分が大きいですね。

──詞や曲だけではなく、「声の心地よさ」を評価したCDショップ店員も多い。自身は自分の声について、どう思っているのだろう?

音楽を始めたばかりの頃は3人でバンドをやっていて、そのときのメンバーから「声が悪い」って言われていたので、自分では声が良いなんて自覚もなくて。だから単純にうれしいですけど、ちょっと半信半疑なところもあります。話しているときに自分の体から聞こえてくる声と、スタジオで聴く声が違うので、どっちが自分の声なのかわからないんです(笑)。でもあの、そう言っていただけると、ライブを頑張りたいなって思えるようになります(はにかんだ表情で)。体力がないほうなのでちょっとずつ頑張って、ライブの本数を増やしていきたいです。

最近全国のショップの方とお話しする機会が増えたんですけど、すごくほめてくださる方が何人もいらして、それが本当にうれしいんです。その「うれしい気持ち」を自分なりに出しているつもりなんですけど、リアクションが大きいほうではないので、受け止めていただけているかどうかは……わからないですね(笑)。

文:朴 順梨

タワーレコード 梅田大阪マルビル店に行ってきた!