全国のスゴいお店を紹介していく「つのはず誠の“元気が出る<CD>ショップ”」。第87回は愛知県名古屋市の音楽堂サカエチカ店さんの後編です。(@ongakudo_jp。以下、敬称略で呼びます。) 前回はこちら。
前回、今回と名古屋の新生・音楽堂を取り上げていますが、数年前の同店と比べ、最も変わったな~と思ったのが、下の“おしゃべり通信”。実は、お店を紹介する目的ではなく、出張のついでに立ち寄ったのですが、あまりにツボったコーナー展開に感心した後、このスタッフ通信でトドメを刺され、気づいたらお店で1万5千円ほどお金を使っていました。(因みに、ポイントカードは1000円スタンプ9個で500円値引き。有効期限なしなので、今度使います!)
お店の入口付近に貼られたスタッフさんによる「おしゃべり通信」。このファミリアーな展開と、この手書き壁新聞風の印刷がなんとも胸に響きます。↑ 写真をクリック! ↑
さて、音楽堂と言えば、ネクストブレイクのクラシック、ジャズ、またそれらのポップス的なクロスオーバー作品が、まだオリコン100位にも入らないうちから、じゃんじゃか売れるお店として業界的に知られてきました。現在は、そういった特長はやはり健在でありつつ、下の“『関ジャニ∞の仕分け』のカラオケバトルでMay J.の連勝をストップさせた”なんてある種下世話、でもとても明解な表現も加わっています。確かに、サラ オレインというアーティスト名、私もすぐに思い出せないし、この「関ジャニ∞ × May J.× カラオケバトル」といったキーワードでの展開は有難い!(ちなみに、May J.は、連勝ストップ時期に、『アナ雪』で別の評価も加わり、決してマイナスにはなっていません。世の中、努力の人には上手くできていますよね。)
賑やかなJ-POPは飽きたけど、何を聴いていいのか分からない・・・という方には、こちらのクラシック&クロスオーバー系のコーナー(ここでは“大人の音楽”コーナー)がオススメ。
お店の南側は、上原ひろみにワンコイン・ベストに、『chazz』に『アビーロード』カバーと、手に取りやすいクラジャズ系の作品がズラリ。ちなみにワタクシ、『chazz』の巻き帯にて推薦文を書いております~。
このコーナーが最大ホームランかも!「名前は憶えてないのですが、あのMay J.を倒した女の子の・・・」みたいな問い合わせの多さから、作っちゃった感じがリスナー目線で素晴らしい!
クラシック・コーナー全体も、以前なら大型パネルだけで綺麗に見せていたのに、パネルの近くにイケメンぶりを強調する似顔イラストがあったり、コーラス系のCD、DVDを分かりやすく特集して陳列したり、知識や知恵に親しみやすさが加わると、それが謙虚に見えて結果として物凄いチカラを発揮するんだな~と実感しました。因みに、私がこちらのお店の品揃えで「あーっ!これ、買うつもりで1年間も忘れてた~~!!」と気づかされたのが、歌謡曲系のシンガーソングライター小田純平『.R.O.O.T.S.』でした。DVD付きだし、ネットでサクっと買えばいくらか安いんだろうけど、この作品に関して何の恩もない通販サイトにお金を落とすより、こうしてその魅力を思い出させてくれたお店に感謝して対価を支払った方が気持ちいいのです!
次に、今回はアルバム・ランキングを見てみます。
出たーっ!!上品なオバ様方に大人気のクラシック系のイケメン大集合!この展開のデカさも音楽堂名物。アモリ・ヴァッシーリのイラスト&コメントもいい感じ。
大人ボーカル&コーラス系の名盤だけでピラミッド表示。ここにも音楽堂ならではのノウハウが結集!
オルゴールやインスト系は、della社のものを単純に並べているお店も多いのですが(それでも堅調に売れているので問題ないのですが)、ここではさらに内容を拡充。『最後から二番目の恋』のサントラって、軽やかだし確かにこのコーナーが合っているかも~。
順位 | 作品名 | アーティスト名 |
---|---|---|
1 | smart | Hey!Say!JUMP |
2 | アナと雪の女王 | (サウンドトラック) |
3 | AMIGO | ウカスカジー |
4 | THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト | X JAPAN |
5 | Alfee Get Requests! 2 | THE ALFEE |
6 | Ballada | 安室奈美恵 |
7 | ザ・ハンティング・パーティー | リンキン・パーク |
8 | Heartful Song Covers | May J. |
9 | BEST All Singles & Covers Hits | BENI |
10 | アビイ・ロード・ソナタ | 1966 Quartet |
次点 | 美しき愛の詩~Una Parte Di Me Japan Edition | アモリ・ヴァッシーリ |
次点 | ALIVE | 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト |
次点 | AGAIN | 吉田拓郎 |
シングルは、ポップスと演歌のコラボが実に興味深かったのですが、アルバムでは、ジャニーズや同性人気の高い女性ソロなどよりポップス色が強くなりつつ、10位以下で、ビートルズとクラシックの融合作品、テノール歌手のヴァッシーリ、そして吉田拓郎のセルフカバー中心のアルバムが健闘し、ますますカオスなランキングとなっています。勿論、こんな風になっているのは、単に人通りの多い地下街の一角にあるからではなく、あの手この手で♪おいでおいで~(by「夜へ急ぐ人」)と作品をプッシュされているからでしょう。
また、ランキングには現れていませんが、落語作品も全体として大きなヒットになっているとのこと。私、思うのですが、イエス/ノーテストみたいなので、こういう性格(あるいは音楽好き)だと、この噺家がオススメみたいなのがあると、いいな~と思っているのですが、そういうものでもないんでしょうか。私は、好きなCDはコンプリートしたがる癖があるので(笑)、落語にハマってしまうのも怖いですが、五十路も見えてきた今日この頃、その入口が欲しいな~とも思います。
落語CDも噺家別に超充実。目撃系のトリビア情報も等身大でいいですね。
村岡花子の再注目で、すかさず朗読コーナーを作るところも立派!確かに「子供たちに伝えたい名作」です。
ヘッドホンやイヤホンもすごい数・・・ここにもコメントカードがあるので、自分にあったのが選べそうです。
因みに、サカエチカ店内には、音楽関連の雑貨コーナー「おんぷらざ♪」もあります。ここも音楽スタッフならではのアイデア満載で面白そうです。私などは、音楽しか趣味がなく見識の狭さが長い間コンプレックスでもありましたが、音楽が中心であれば、血肉の通った数値分析も、読み手や聴き手を意識した文章の執筆もどうにかこうにか出来ております。ですから、これまでサバイブされてきたCDショップの皆様も、音楽を中心とした様々なアイデアがあれこれと出せると思います。お店を見ていて、そんなことも気づかされ、とっても勉強になりました。またお邪魔させて下さ~い♪
先月発売になったバンド、空想委員会のメジャーデビューアルバム『種の起源』について私なりの意見。CDの帯に“恋愛敗者の心の声”とあり、ラジオでも“モテない”などの自虐的なコメントが多かったので、これは大いに共感できるのでは(笑)と思い、CDを聞いてみたら・・・筋が1本通った音楽性で、ある種モテてるやないかい!!とツッこんでしまいました。メロディアスなギターロック、ストレートで濁りのないボーカル、ブックレットに知的な手書き文字で書かれた歌詞は世の中の光と影を鋭く切り込んでいる感じで◎。ポスト・スピッツのダサカッコイイ版がback numberとしたら、彼らはさらにback numberを都会的にした感じで、これまた今後売れそうな感じがしました♪